2015年4月30日木曜日

17年 南海vs名古屋 9回戦


7月16日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 南海     30勝22敗 0.577 川崎徳次 石田光彦
0 0 0 0 0 5 1 0 X 6 名古屋 18勝34敗1分 0.346 石丸進一 河村章

勝利投手 河村章       4勝10敗
敗戦投手 川崎徳次 10勝8敗

二塁打 (南)北原 (名)本田
本塁打 (名)岩本章 2号

勝利打点 飯塚誠 3

猛打賞 猪子利男 3


川崎徳次、突然の乱調

 南海は初回、先頭の国久松一が左前打で出塁、猪子利男が右前打で続いて無死一二塁、北原昇の左中間二塁打で二者還り2点を先制する。

 南海は3回、先頭の国久が四球で出塁、猪子の一塁線送りバントをファースト飯塚誠がファンブル、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、北原がセオリーどおり三塁手に捕らせる送りバントを決めて一死二三塁、岩本義行は四球で一死満塁、名古屋ベンチはここで先発の石丸進一をあきらめて河村章をマウンドに送り、河村が岡村俊昭を二飛、川崎徳次を遊飛に打ち取りスリーアウトチェンジ。

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、岩本章の遊ゴロでランナーが入れ替わり、本田親喜の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 名古屋は4回、先頭の岩本章が四球で出塁するが、本田の三ゴロが又も「5-4-3」と渡ってダブルプレー。南海内野陣は、柳鶴震-北原昇-中村金治のトリオで2つのゲッツーを決めた。

 南海先発の川崎は内野陣の好守に助けられて4回まで無安打。5回、飯塚に初ヒットとなる右前打を許すが後続を抑えてここまで無失点。その川崎が6回、突如として崩れた。

 名古屋は6回、二死後岩本章が左前打で出塁、本田も左前打、吉田猪佐喜の中前打をセンター岩本義行が後逸、二走岩本章に続いて一走本田も還って2-2の同点、古川清蔵が四球を選んで二死一二塁、飯塚が左前に逆転タイムリーを放って3-2、一走古川は三塁に進み、飯塚が二盗を決めて二死二三塁、木村進一が左前に2点タイムリーを放ってこの回一挙5点、5-2とする。

 南海は7回から川崎に代えて石田光彦をマウンドに送る。

 名古屋は7回、一死後岩本章がレフトスタンドにホームランを叩き込んで6-2として試合を決める。


 3回途中からリリーフのマウンドに上がった河村章は6回3分の2を投げて6安打2四球1三振無失点の好投を見せて4勝目をあげる。


 南海は川崎徳次の突然の乱調、センター岩本義行のエラーが響いて2連敗、7月に入り1勝8敗となった。このうち、名古屋には0勝4敗である。




 

2015年4月29日水曜日

17年 阪神vs朝日 9回戦


7月15日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 1 0 0 2 阪神 27勝24敗2分 0.529 渡辺誠太郎 御園生崇男
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 22勝27敗2分 0.449 林安夫 福士勇

勝利投手 御園生崇男 6勝6敗
敗戦投手 林安夫    11勝13敗

二塁打 (神)塚本 (朝)林

勝利打点 カイザー田中義雄 1


走塁が明暗を分ける

 阪神は渡辺誠太郎が4月16日以来となる今季3度目の先発、朝日は林安夫で応戦する。

 朝日は2回、本日も五番に入っている打撃好調の早川平一が三塁に内野安打、広田修三が送って一死二塁、岩田次男の左前打で一死一三塁、林安夫の右犠飛で1点を先制する。

 阪神は3回からライトの松尾五郎を下げて御園生崇男が入りピッチャー、先発の渡辺がマウンドを降りて玉置玉一が入りライト。

 自らの先制犠飛に気を良くした林は5回まで阪神打線を2安打無得点に抑えてきたが6回に捕まった。

 阪神は6回、一死後土井垣武が左前打、藤井勇も左前に流し打って一死一二塁、土井垣が単独三盗を決めて一死一三塁、ここはノーサインで走ったか藤井のサイン見逃しか、御園生が中前に同点タイムリーを放って1-1とする。

 阪神は7回、一死後塚本博睦がレフト線に二塁打、金田正泰が四球を選んで一死一二塁、朝日竹内愛一監督は先発の林から福士勇にスイッチ、ここで塚本が単独三盗を決めて一死一三塁、カイザー田中義雄の左犠飛で2-1と勝ち越す。


 3回からリリーフのマウンドに立った御園生崇男は7イニングを1安打3四球1三振無失点に抑えて6勝目をマークする。6回には同点打も放った。野口二郎に次ぐ二刀流でもある。


 朝日は初回の一死一二塁の場面で伊勢川真澄のサードライナーに三走五味芳夫が帰れずダブルプレー。3回の一死一塁でも伊勢川の二飛に鬼頭政一が帰れずダブルプレー、ここは「打走法」の可能性が高い。更に、8回の一死一塁でも鬼頭のファーストライナーに坪内が還れずダブルプレー、ここも「打走法」の可能性がある。このところ朝日は積極的な走塁を見せているが、この日は裏目に出た。好走と暴走は紙一重でもある。


 一方、阪神は2つの三盗を得点に結びつけた。6回の土井垣武の三盗も8回の塚本博睦の三盗も一二塁からの単独三盗であった。一走のサイン見逃しではなく、「盗めれば走れ」の指示が出ていたものと考えられる。この試合の明暗は、両チームの走塁の差にあった。




 

17年 阪急vs黒鷲 8回戦


7月15日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 26勝21敗2分 0.553 天保義夫
0 0 1 0 0 0 0 3 X 4 黒鷲 12勝35敗3分 0.255 畑福俊英

勝利投手 畑福俊英 2勝4敗
敗戦投手 天保義夫 2勝4敗

三塁打 (黒)木下

勝利打点 なし


畑福俊英、完封と決勝ホームスチール

 畑福俊英の「怪人伝説」がまた一つ増えた。阪急を4安打完封したこの試合で、決勝のホームスチールを決めたのでした。

 阪急は初回、一死後上田藤夫がストレートの四球で出塁、しかし黒田健吾の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は3回、先頭の日比野武が四球で出塁、中村栄は二飛に倒れて一死一塁、天保義夫の二ゴロが「4-6-3」と渡って又もダブルプレー。今日も畑福のナックルが冴えているようだ。

 黒鷲は3回裏、先頭の畑福が三塁に内野安打、トップに返り山田潔が送って一死二塁、寺内一隆監督は三振、玉腰忠義の中前打で畑福は三塁にストップして二死一三塁、ここでダブルスチールを決める。畑福の本盗が決勝点となった。

 4回~7回は無安打だった黒鷲は8回、先頭の畑福が左前打を放って出塁、トップに返り山田も左前打、寺内の投前バントはピッチャー天保が三塁に送球して畑福は三封、玉腰は三振に倒れて二死一二塁、ここで四番木下政文が左中間を深々と破る三塁打、二者還って3-0、富松信彦の左前タイムリーで4-0として試合を決める。


 畑福俊英は4安打1四球3三振で今季2度目の完封、2勝目をあげる。3回には巨体を揺すって玉腰とダブルスチールを決め、決勝ホームスチールを記録した。8回の追加点のきっかけとなったのも先頭打者畑福のレフト前ヒットであった。これが木下政文の試合を決める三塁打につながるのである。


*畑福俊英は阪急打線を4安打に抑える完封。





*黒鷲3回の攻撃、三走畑福、一走玉腰の場面でダブルスチールをきめた。



 

2015年4月28日火曜日

17年 巨人vs南海 8回戦


7月15日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 2 0 0 1 0 0 4 巨人 35勝15敗1分 0.700 須田博
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 南海 30勝21敗 0.588 神田武夫 石田光彦 長谷川善三

勝利投手 須田博       9勝3敗
敗戦投手 神田武夫 15勝10敗

二塁打 (巨)白石
三塁打 (巨)呉

勝利打点 なし


須田博 9勝目


 もはや首位攻防戦とは言えない4.5ゲーム差がついた巨人vs南海8回戦は須田博と神田武夫の先発で午後2時58分、島秀之助主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は2回、五番に入った先頭の白石敏男がレフト線にヒット、楠安夫の中前打で白石は三塁に進み無死一三塁、伊藤健太郎は三振に倒れて一死一三塁、坂本茂の打席で神田が痛恨のボークを犯して白石が生還、1点を先制する。

 巨人は4回、一死後坂本がライト線にヒット、須田の三塁内野安打で一死一二塁、トップに返り呉波が右中間に三塁打を放ち3-0とする。

 南海は4回裏、先頭の国久松一が三前にセーフティバントを決めて出塁、猪子利男が送って一死二塁、北原昇は三ゴロに倒れるが、岩本義行が中前にタイムリーを放って1-3と詰め寄る。
 南海は5回から先発の神田に代えて石田光彦をマウンドに送る。


 しかし巨人は7回、一死後白石がセンター左奥に二塁打、楠は投ゴロに倒れて二死二塁、伊藤の二ゴロを名手北原がエラーする間に白石が還り4-1とする。

 須田博は南海打線を2安打に抑え、2四球1死球無三振の完投で9勝目をあげる。


 トップに返り咲いた呉波は4打数2安打、五番に入った白石敏男も4打数2安打。イチローが王の通算得点記録を抜いたように、一番打者はクリーンナップに比べて得点が多いのが常ですが、一番呉の得点ゼロに対して五番白石は2得点をマークし勝利に貢献した。


 これで5.5ゲーム差、この試合を南海が勝って3.5ゲーム差に詰めていればペナントレースの行方は分からなかったかもしれない。



 

He caught that. Did you see that?



 このところ「MLB.com」の画像ばかりですが、百聞は一見に如かず、まぁ見てみてください(笑)。


 好調カンザスシティの左翼手アレックス・ゴードンの「ダイブ」をご覧ください。日本のプレイヤーにこれほどのファイティングスピリットを求めることは可能でしょうか?


 ゴードンは2011年から4年連続ゴールドグラブ賞ですが、むべなるかなというところでしょうか。


 対戦相手ホワイトソックスのシャツを着た観客が当然ファウルだと思って捕ろうと手を伸ばしますが目の前にゴードンが飛び込んできて思わず手を引き、更にゴードンの体をガードしてひっくり返りました。ゴードンのスーパーダイブ以上のファインプレーと見ましたがいかがでしょうか。角度を変えて何度か見ていただければご理解いただけると思います。




http://m.mlb.com/video/topic/11493214/v90860783/must-c-catch-gordon-dives-into-seats-for-the-grab





 

2015年4月26日日曜日

でんぐり返し



 画像はご覧いただけましたでしょうか。


 フィラデルフィア・フィリーズの遊撃手フレディ・ガルビスのプレーは「ダイビングスロー」と言うより「でんぐり返し投げ」と日本式に呼んだ方がしっくりくるのではないでしょうか。筆者の約50年に亘る野球観戦歴でも初めて見るプレーです。ガルビスはヤンキースの田中が大リーグで初めてホームランを打たれた選手として知られていますが、このプレーには「田中もビックリ」でしょう。むしろこんなプレーをする選手にホームランを打たれたことを誇りに感じるのではないでしょうか。因みに当ブログは「野球人」と認めた場合は‟呼び捨て”とさせていただいております。したがって「マー君」の表示はしておりませんのでご了承ください。「祐ちゃん」は「野球人」として認定しておりませんので、斎藤氏は「祐ちゃん」と表記させていただいております。


 コロラド・ロッキーズのノーラン・アレナドのプレーは「とっとこ送球によるダブルプレー」と名付けましょうか。大リーガーと日本人の違いは、何と言っても肩に尽きると思います。アレナドは2013年、14年と2年連続ゴールドグラブ賞ですからこの程度は朝飯前というところでしょうか。




 

こんなの初めて見た!





 さぁ皆さん、いよいよ大リーグが開幕しました。今年も「三冠への道 2015」をお届けしていきますのでしばしお待ちください。

 本日はアンビリーバブルなプレーの画像をお届けします。「MLB.com」の画像をコピーしたものですから、肖像権の侵害に該当するかは分かりません。また、いつまで保存されているかも分かりませんのでご了承ください。

 いろいろうるさい時代ですからディスクレーマーが長くなりましたが、画像をご覧いただければ全てが理解できると思います。こんなプレーが見れるから「MLB.com」の画像チェックはやめられません(笑)。

 冒頭、しばらくCMが入る場合がありますが我慢して見てください。


Must C: Galvis makes diving play

http://m.mlb.com/video/topic/11493214/v89157583/must-c-clips-galvis-incredible-dive-throw-to-1st



Must C: Arenado is superhuman

http://m.mlb.com/video/topic/11493214/v88332583/must-c-combo-arenado-exhibits-supernatural-defense




 

17年 大洋vs名古屋 8回戦


7月15日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 1 0 0 0 2 大洋     27勝19敗3分 0.587 三富恒雄 野口二郎
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 名古屋 17勝34敗1分 0.333 西沢道夫 河村章

勝利投手 野口二郎 18勝9敗
敗戦投手 河村章      3勝10敗

二塁打 (大)野口二郎

勝利打点 野口二郎 6


二刀流・野口二郎

 大洋は初回、先頭の中村信一がストレートの四球、浅岡三郎もワンスリーから四球を選んで無死一二塁、濃人渉の三前バントが内野安打となって無死満塁、野口明もワンスリーから押出し四球を選んで1点を先制、名古屋先発の西沢道夫はここで降板する。代わった河村章が山川喜作を浅い左飛、祖父江東一郎を二直、三富恒雄を二ゴロに抑えてこの回1点止まり。

 大洋先発の三富はぴりっとせず、1回、2回と得点圏に走者を送る不安定なピッチング、何とか無得点に抑えたが、大洋ベンチは3回から三富に代えて野口二郎をマウンドに送り込む。

 名古屋は3回、先頭の本田親喜監督が三塁に内野安打、木村進一が送って一死二塁、岩本章は三振に倒れるが、吉田猪佐喜が右前に同点タイムリーを放って1-1とする。ここはエース野口投入が裏目に出たかに見えた。

 大洋は6回、二死後祖父江に代わる代打西岡義晴が右前にヒット、ここで野口二郎が左中間に決勝のタイムリー二塁打を放ち2-1とする。

 投手・野口二郎は4回、5回とヒットを許すが尻上がりに調子を上げて6回以降名古屋打線を無得点に抑え、打者・野口二郎が叩き出した決勝点を守り抜いた。


 二刀流・野口二郎の活躍ばかりが目に付くが、6回二死から代打に出て右前打を放ち決勝のホームを踏んだ西岡義晴の活躍も見逃せない。西岡は今季3安打を記録して球界を去ることとなるが、その内の1本がこの日の貴重な1安打であった。




*野口二郎は3回~5回に5安打を許すが6回以降を無安打に抑えて18勝目をマークする。





 

17年 朝日vs阪神 8回戦


7月13日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 1 0 2 4 朝日 22勝26敗2分 0.458 福士勇
0 0 0 0 1 0 1 0 1 3 阪神 26勝24敗2分 0.520 御園生崇男

勝利投手 福士勇        8勝4敗
敗戦投手 御園生崇男 5勝6敗

二塁打 (朝)室脇

勝利打点 なし


粘りの朝日

 朝日は初回、先頭の坪内道則が三塁に内野安打、五味芳夫は強硬策に出て二ゴロ、これをセカンド平林栄治がエラーして無死一二塁、ここで消極策に出て鬼頭政一は送りバント、これが投飛となって失敗、伊勢川真澄の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪神は1回裏、先頭の塚本博睦が四球で出塁、松尾五郎も強攻策に出るが遊ゴロ、「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪神は2回、先頭の土井垣武が四球で出塁、御園生崇男は一塁線にバント、これが内野安打となって無死一二塁、カイザー田中義雄も三塁線にバント、これをサード酒沢政夫が捕って直接サードベースを踏み二走土井垣は封殺、田中はセオリー通り三塁手に捕らせるバントを試みたが芯に当たって強過ぎたようだ。一死一二塁から玉置玉一の遊ゴロが「6-4-3」と渡って又もやダブルプレー。

 朝日は3回、一死後室脇正信がレフト線に二塁打、トップに返り坪内はストレートの四球、五味は右飛に倒れて二死一二塁、鬼頭の二ゴロをセカンド平林が又もエラー、この間に二走室脇が還って1点を先制する。

 阪神は4回の守備からセカンドを平林から三輪裕章に交代した。

 阪神は5回、二死後三輪裕章が四球を選んで出塁、トップに返り塚本の打席で三輪は二盗に成功、塚本の遊ゴロをショート五味がエラー、二死一三塁から塚本が二盗、キャッチャー伊勢川からの送球を二塁ベースカバーの五味が後逸する間に三走三輪が還って1-1の同点に追い付く。

 五味芳夫は3回にも遊ゴロを一塁に低投しておりこれで3エラーとなったが交代はなし、平林とは積み重ねてきた実績の差でしょう。

 朝日は7回、先頭の福士勇が左前打で出塁、酒沢に代わる代打浅原直人の二ゴロでランナーが入れ替わり、ワイルドピッチで浅原は二進、室脇が死球を受けて一死一二塁、トップに返り坪内の中飛で二走浅原はタッチアップから三塁に進み二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて2-1、ショート野口昇からの折り返しの送球が悪送球となったが浅原には本盗、室脇には二盗が記録されている。

 阪神は7回裏、先頭の田中が左前打、玉置が送って一死二塁、野口の中前打で田中は三塁ストップ、一死一三塁から一走野口が偽走を見せて一二塁間に挟まれる間に三走田中がホームインして2-2の同点、野口は「2-4-3-6-3」でタッチアウトとなったがトリックプレーが成功した。田中には本盗は記録されない。

 阪神は8回、先頭の塚本が右中間にヒット、二番松尾は初球、2球目とファウル、3球目を打って三ゴロ、「5-4-3」と渡ってダブルプレー。2つのファウルはバント失敗の可能性が高いと推測される。

 阪神は9回の守備からレフトを松尾五郎から金田正泰に交代する。守備を固めたはずであったが・・・。

 朝日は9回、先頭の福士がツーナッシングと追い込まれながら粘って四球で出塁、岩田次男は5球ファウルで粘った末に左前打、これを守備固めに入ったはずのレフト金田が後逸する間に一走福士がホームインして3-2と勝越し、打者走者の岩田も三塁に進み、室脇は四球で一死一三塁、トップに返り坪内の中犠飛で4-2とリードを広げる。

 阪神は9回裏、先頭の土井垣が左前打、福士からの牽制球をファースト広田修三が後逸して土井垣は二進、御園生の二ゴロで三進、田中の三塁内野安打で土井垣が還り3-4、玉置に代わる代打若林忠志監督の三ゴロの間に田中が二進して二死二塁、一打同点のチャンスを迎えたが野口は中飛に倒れてゲームセット。


 戦後守備の名手となる金田正泰としては痛恨の後逸となった。ルーキーシーズンの、このエラーをきっかけに守備の練習に励んだのかもしれない。


 福士勇は粘りのピッチングで6安打5四球1三振の完投、8勝目をあげる。


 朝日は竹内イズムが浸透して粘りのチームとなっている。9回の福士と岩田の打席はその典型でしょう。坪内道則の犠飛による追加点が効いた。坪内は今季4本目の犠飛を記録して現在「犠飛王」である。当時は軍部からの要請又は軍部の顔色をうかがって「犠飛」は「犠打」として記録されていませんが、当ブログで独自に集計しています。









 

2015年4月25日土曜日

17年 黒鷲vs阪急 7回戦


7月13日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 黒鷲 11勝35敗3分 0.239 石原繁三
0 0 0 1 0 0 0 0 X 1 阪急 26勝20敗2分 0.565 橋本正吾

勝利投手 橋本正吾 2勝1敗
敗戦投手 石原繁三 7勝15敗

二塁打 (急)中島

勝利打点 なし

橋本正吾4安打完封


 黒鷲は初回、一死後山田潔が中前打、玉腰忠義も右翼線ヒットで続いて一死一二塁、ピッチャー橋本正吾の二塁牽制が悪送球となって一死二三塁と先制のチャンス、しかし木下政文は浅い中飛、富松信彦は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。2回、3回は三者凡退。

 阪急は2回、一死後森田定雄が中前打を放つが中島喬の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は3回、先頭の日比野武が左前打で出塁、中村栄の三前送りバントはサード玉腰が二塁に送球して日比野は二封、橋本の三ゴロが「5-4-3」と渡って又もダブルプレー。

 阪急は4回、一死後上田藤夫が三塁に内野安打、黒田健吾の右前打で一死一三塁、ここは「打走法」でしょう。黒田が二盗を決めて一死二三塁、ここでキャッチャー木下が痛恨のパスボール、三走上田が還って1点を先制する。


 4回も三者凡退に抑えた橋本は5回、一死後杉江文二に左前打を許し木村孝平の遊ゴロをショート中村が失して一死一二塁、石原繁三の右飛で二走杉江がタッチアップから三塁を狙うがライト中島喬からの好返球にタッチアウト。6回も一死後山田に左前打を許し、玉腰は三飛に打ち取るが木下に四球を与えて二死一二塁、しかしここも踏ん張って富松を一ゴロに打ち取る。


 7回以降を三者凡退に抑えた橋本正吾は4安打1四球1三振で今季初完封、2勝目をあげる。三者凡退6回という内容の濃いピッチングであった。橋本は今季を限りにプロの世界を去ることとなり、この試合が通算5完封の最後の完封であった。戦争の時代を生き抜き、戦後は昭和21年の都市対抗に広島鯉城園のピッチャーとして出場して、1回戦で優勝した大日本土木に敗れた。橋本は藤村冨美男と同学年で呉港中学では同僚であったはずだが、昭和9年の夏の甲子園優勝メンバーには橋本の名は認められない。







*昭和21年都市対抗に出場した広島鯉園城ナイン。橋本正吾が先発した。都市対抗野球大会60年史より。









*昭和9年夏の甲子園優勝時の呉港中学ナイン。橋本正吾の名前は見られない。全国高等学校野球選手権大会50年史より。











 

二者連続ホームラン



 お伝えしたとおり北原昇、岩本義行が二者連続ホームランを放ちました。プロ野球史上6度目の出来事です。


 二者連続ホームランはこれまで5回記録されています。昭和12年10月4日、タイガースの山口政信と藤井勇が金鯱の古谷倉之助から連発弾を放ったの最初でした。同月7日にジャイアンツの筒井修と水原茂、同月28日にジャイアンツの中島治康と永沢富士雄、同月30日に阪急の山下好一と山下実、同年11月7日にライオンの水谷則一と浅原直人が連発弾を記録しました。


 何と過去の5回は全て昭和12年秋季リーグ戦で記録されたものです。あれからボールが飛ばなくなり、5年ぶりの快挙でした。


http://shokuyakyu.blogspot.jp/2010/09/vs_505.html


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17年 大洋vs南海 9回戦


7月13日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 大洋 26勝19敗3分 0.578 重松通雄
0 0 0 0 0 0 2 0 X 2 南海 30勝20敗 0.600 川崎徳次

勝利投手 川崎徳次 10勝7敗
敗戦投手 重松通雄   0勝1敗

本塁打 (南)北原 1号、岩本 5号

勝利打点 岩本義行 4


北原、岩本連続弾

 大洋は復帰後2度目の登板となる重松通雄、6連敗の南海は川崎徳次が先発。午後3時24分、横沢三郎主審の右手が上がりプレイボール。

 大洋は2回、一死後村松長太郎が四球を選んで出塁、祖父江東一郎は二飛に倒れるが山川喜作が中前打を放って二死一二塁、重松が中前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 重松通雄は自ら叩き出した1点を守って好投を続ける。1回、二死から北原昇をストレートの四球で歩かせ二盗を決められるが、岩本義行をツースリーから三振に打ち取る。一昨日1試合3本塁打の日本記録を樹立した岩本に真っ向勝負を挑み、歩かせることなく打ち取った。真っ向勝負と言っても重松は下手投げです。但し、阪急時代の重松は読売新聞に「下手からの快速球」と書かれており、この日の試合を伝える読売新聞も「重松の下手投剛球」と書いている。兵役のため2年のブランクがありながら、球威は衰えていないようだ。

 2回、二死後川崎に左前打を許すが八木進を二ゴロに打ち取る。3回以降は一人の走者も許さず6回まで1安打1四球無失点。

 南海は7回、先頭の北原がワンボールからの2球目をレフトスタンドに同点ホームラン、岩本も初球ファウル後の2球目をレフトスタンドに逆転ホームラン、2-1とリードを奪う。


 川崎徳次は3回以降大洋打線を2安打無得点に抑え、4安打3四球9三振の完投で10勝目をあげ、南海の連敗は6でストップした。


 重松通雄も8回を完投して3安打2四球3三振2失点。2本の被本塁打について、翌日の読売新聞・鈴木惣太郎の論評は「この二投は球速を欠いていた」と伝えている。





*北原昇、岩本義行が連続ホームランを放った場面。





 

2015年4月24日金曜日

17年 巨人vs名古屋 9回戦


7月13日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 2 0 0 0 0 0 0 0  0   0  2 巨人     34勝15敗1分 0.694 川畑博 広瀬習一
0 0 0 2 0 0 0 0 0  0 1X  3 名古屋 17勝33敗1分 0.340 河村章 石丸進一

勝利投手 石丸進一   8勝9敗
敗戦投手 広瀬習一 14勝6敗

二塁打 (巨)川畑 (名)飯塚

勝利打点 木村進一 2


木村進一、サヨナラセーフティバント

 巨人は川畑博、名古屋は河村章の先発で午後1時7分、池田豊主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は2回、一死後楠安夫が中前打を放って出塁、伊藤健太郎は三振に倒れるが、坂本茂が三塁に内野安打、ここで川畑が右中間を破り二者還って2点を先制する。

 名古屋は4回、一死後古川清蔵が左前打で出塁、飯塚誠が左中間に二塁打を放って一死二三塁、巨人ベンチはここで先発の川畑から広瀬習一にスイッチ、河村章が中前に同点タイムリーを放って2-2とする。

 名古屋先発の河村は3回以降9回まで巨人打線を何とか無得点に抑える。広瀬も5回以降名古屋打線を1安打無得点に抑えて試合は延長戦に突入。

 巨人は10回表、先頭の中島治康が四球を選んで出塁、川上哲治の二ゴロをセカンド石丸藤吉がエラー、名古屋ベンチはここで河村に代えて二番手として石丸進一を投入、楠安夫の投前送りバントを石丸がダッシュよく飛び出して三塁に送球し中島を三封、林清一の三ゴロで楠が二封されて二死一三塁、続く坂本の打席で三走中島が「2-1-5」で刺されてスリーアウトチェンジ。これはいくつかの可能性が考えられる。一走林がディレードスチールを試み、キャッチャー古川はとりあえずピッチャー石丸進一に送球、離塁していた三走中島を刺した。キャッチャー古川からの返球が悪く石丸が落としたのを見て中島がスタートを切ろうとしたが石丸からの送球にタッチアウト。ダブルスチールを試みたがキャッチャー古川の二塁送球をピッチャー石丸がカットしてホームをうかがっていた中島を刺した。というようなことが想定できます。

 名古屋の10回裏と巨人の11回表は共に三者凡退。

 名古屋は11回裏、先頭の古川は捕飛に倒れるが、飯塚の二ゴロをセカンド坂本がエラー、ピッチャー広瀬の一塁牽制が悪送球となって飯塚は二進、石丸進一の遊ゴロの間に飯塚が三進して二死三塁、木村進一は初球ファウル、2球目ボール、3球目ファウル、4球目ボールでカウントはツーツー、ここで劇的な三前サヨナラセーフティバントを決めて名古屋が接戦を制す。木村は4月26日の黒鷲戦でも延長11回裏にサヨナラホームランを放っている。


 巨人は勢いのある好調名古屋に何故川畑博を先発させたのか。ここは中一日でも頭から広瀬習一でいくべきではなかったか。


 木村進一は第一打席で一死一塁から送りバントを決め、第二打席でも一死一塁から送りバント、11回裏の第五打席ではツーストライクからサヨナラのセーフティバントを決めた。木村は戦争で右手首を失うが、戦後は西村進一と改名して母校平安高校の監督となり、義手にボールを乗せて片手一本のノックで後輩を鍛え上げ、甲子園優勝に導くこととなる。





*延長11回裏、木村進一はサヨナラセーフティバントを決めた。内野安打をダイヤモンドで囲ってある場合はバントヒットを意味しますが、記録者によってはバントヒットではない可能性もありますのでご了承ください。スコアカードの記載方法は人によって癖があるものです。
























 

2015年4月23日木曜日

17年 阪急vs阪神 9回戦


7月12日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 4 1 0 4 1 0 0 12 阪急 25勝20敗2分 0.556 森弘太郎
2 0 0 0 0 2 0 0 0  4  阪神 26勝23敗2分 0.531 若林忠志 木下勇 藤村隆男 渡辺誠太郎

勝利投手 森弘太郎 12勝7敗
敗戦投手 若林忠志 11勝7敗

二塁打 (急)中島2 (神)藤井
三塁打 (急)池田

勝利打点 中島喬 2

猛打賞 (急)上田藤夫 2 (神)御園生崇男 2


中島喬、タイムリー二塁打2本

 阪急は初回、先頭のフランク山田伝が中前打、上田藤夫の一塁線バントが内野安打となって無死一二塁、黒田健吾がストレートの四球を選んで無死満塁と絶好のチャンス、四番山下好一の左前先制タイムリーで1-0、五番森田定雄の中犠飛で2-0とする。

 阪神はその裏、先頭の塚本博睦が三前にセーフティバントを決めて出塁、金田正泰の投ゴロが野選を誘い無死一二塁、御園生崇男のレフト線タイムリーで1-2、一走の駿足金田は三塁に進み、打者走者の御園生も二塁に向かうがレフト山下好一から「7-5-3」と送球されてタッチアウト。二塁打の場合、一塁手は一塁ベースを回った打者走者を追いかけるのがセオリーです。二遊間は中継プレーのため忙しくなる可能性があるので二塁ベースカバーには一塁手が入る必要性が生じる可能性があるからです。阪急守備陣はセオリー通りのシフトを取り、レフト山下好一は一走金田が三塁に走ったためサード黒田健吾に送球し、黒田が二塁は間に合うと見て打者走者の御園生を追いかけてきたファースト森田定雄に送球したか、レフト線二塁打なので二塁ベースカバーにはセカンド上田が入っており単に御園生がオーバーランしてタッチアウトになったかでしょう。と言うことで一死三塁、土井垣武が四球を選んで一死一三塁、藤井勇の一ゴロの間に三走金田が還って2-2の同点に追い付く。

 阪急は3回、一死後上田が右前打で出塁、黒田も右前打、山下好一は中飛に倒れるが森田が四球を選んで二死満塁、ここで中島喬が左中間に二塁打を放ち二者還って4-2、池田久之も右中間に三塁打を放って二者を迎え入れ6-2として阪神先発の若林忠志をKO、このところ若林はどうも調子が悪い。二番手の木下勇が中村栄を二飛に打ち取りスリーアウトチェンジ。

 阪急は4回、一死後山田、上田、黒田が3連続四球、山下好一の中犠飛で7-2とリードを広げる。

 阪神は6回から三番手の藤村隆男がマウンドに上がるが火に油を注ぐ結果となった。

 阪急は6回表、二死後黒田が中前打、山下好一は四球、森田の三ゴロをサード土井垣が失する間に二走黒田が還って8-2、中島が又も痛烈に左中間を破る二塁打を放って9-2、日比野武が左前に2点タイムリーを放って11-2として試合を決める。阪神は四番手として渡辺誠太郎がマウンドに上がり、中村は捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪神は6回裏、一死後土井垣がセンター左にヒット、藤井のライト線二塁打で一死二三塁、カイザー田中義雄の痛烈な当たりはサードライナー、二走藤井が飛び出していたのでサード黒田は二塁に送球するがこれが悪送球、三走土井垣が還って3-11、渡辺の右前タイムリーで4-11とするが焼け石に水。

 阪急は7回、一死後山田が遊失に生きると二盗に成功、上田の左前タイムリーで12-4とダメ押しのダメ押し。

 森弘太郎は大量得点をバックに7安打1四球2三振の完投で12勝12勝目をあげる。


 六番中島喬が2本のタイムリー二塁打を放って3打点、七番の池田久之が2打点、池田の後にマスクを被り七番に入った日比野武が2打点と、クリーンナップの後の打者の活躍が勝因となった。3回に2点タイムリー三塁打を放った池田は直後に日比野と交代しており、三塁に滑り込んだ際、足を挫いたのかもしれない。このところ打撃好調の池田は少し戦列を離れることとなる。





 

17年 朝日vs黒鷲 8回戦


7月12日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 21勝26敗2分 0.447 林安夫
0 0 0 0 0 0 3 0 X 3 黒鷲 11勝34敗3分 0.244 金子裕

勝利投手 金子裕   3勝5敗
敗戦投手 林安夫 11勝12敗

二塁打 (黒)富松

勝利打点 金子裕 2

猛打賞 (黒)金子裕 1


金子裕、完投勝利&勝利打点&猛打賞

 朝日は初回、先頭の坪内道則が中前打から二盗に成功、五味芳夫がセンター右にヒットを放ち無死一三塁、鬼頭政一の投ゴロをピッチャー金子裕がエラーする間に三走坪内が還って1点を先制、しかしここから黒鷲先発の金子裕が踏ん張り、伊勢川真澄は一飛、早川平一は三ゴロ、広田修三は左飛に倒れる。

 黒鷲は朝日先発の林安夫かあ6回まで4安打を奪うが2つの併殺もあって無得点。

 黒鷲は7回、先頭の富松信彦が左中間に流し打って二塁打、杉山東洋夫の一塁内野安打で無死一三塁、杉山に代走鈴木秀雄を起用、杉江文二の左前タイムリーで1-1の同点、木村孝平の投前送りバントはピッチャー林が三塁に送球して二走鈴木は三封、一死一二塁から金子裕が中前にタイムリーを放って2-1と逆転に成功、トップに返り渡辺絢吾は中飛に倒れるが、山田潔の遊ゴロをショート五味が一塁に悪送球する間に二走木村が生還して3-1とする。


 金子裕は初回の1失点だけで5安打2四球3三振、自責点ゼロの完投、3勝目をあげる。自責点ゼロとは言え自らのエラーで失点したものであった。但し、バッティングではピッチング以上の活躍を見せ、3打数3安打1打点、猛打賞と勝利打点も記録した。




*金子裕は5安打完投勝利、3打数3安打、猛打賞、勝利打点を記録した。











 

2015年4月21日火曜日

17年 南海vs巨人 7回戦


7月12日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 南海 29勝20敗 0.592 川崎徳次 神田武夫 石田光彦
0 0 0 0 1 1 1 5 X 8 巨人 34勝14敗1分 0.708 須田博
 
勝利投手 須田博       8勝3敗
敗戦投手 神田武夫 15勝9敗

二塁打 (南)柳、岡村 (巨)中島、坂本
三塁打 (巨)呉

勝利打点 中島治康 9

猛打賞 (巨)坂本茂 2


南海6連敗

 5連敗で首位巨人から4.5ゲーム差と引き離された南海は3回、先頭の川崎徳次が中前打で出塁、八木進が送って一死二塁、柳鶴震が右中間に二塁打を放って1点を先制する。

 巨人は5回、先頭の呉波が流し打って左中間を抜く。レフト国久松一からの返球が悪送球となる間に呉は一気にホームを駆け抜け1-1の同点、記録は呉の三塁打と国久のエラーであった。

 巨人は6回、先頭の水原茂が四球を選んで出塁、南海ベンチはここで先発の川崎から神田武夫にスイッチ、しかし中島治康が左中間に二塁打を放って水原が還り2-1と勝ち越す。

 巨人は7回、先頭の呉がツーナッシングと追い込まれながら四球を選んで出塁、白石敏男にトップバッターの座を奪還された呉も必死である。坂本茂の右前打で無死一三塁、ここは「打走法」がかかっていたか。須田博のセカンドライナーに坂本が飛び出しゲッツー、二死三塁からトップに返り白石が右前タイムリーを放って3-1とする。

 巨人は8回、先頭の中島の遊ゴロをショート猪子利男がエラー、川上哲治が中前打、楠安夫は三振に倒れるが林清一が左前打を放って一死満塁、呉がストレートの押出し四球を選んで4-1、坂本がレフト線に二塁打を放って6-1、南海ベンチは神田から三番手の石田光彦にスイッチ、須田が四球を選んで再度一死満塁、トップに返り白石の遊ゴロが野選を誘い7-1、水原の中犠飛で8-1として試合を決める。

 須田博は5安打2四球2三振の完投で8勝目をマークする。

 南海は三本柱を注ぎ込んだが完敗、泥沼の6連敗となった。



 

2015年4月20日月曜日

17年 名古屋vs大洋 7回戦


7月12日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0  1  2 名古屋 16勝33敗1分 0.327 石丸進一 西沢道夫
0 0 0 0 0 1 0 0 0  0  1 大洋     26勝18敗3分 0.591 野口二郎

勝利投手 西沢道夫   2勝4敗
敗戦投手 野口二郎 17勝9敗

本塁打 (大)野口明 2号

勝利打点 岩本章 1


西沢道夫、パーフェクトリリーフ

 名古屋は石丸進一が先発してセカンドは石丸藤吉、大洋は野口二郎-野口明のバッテリー、兄弟対決となった。両投手が先発で対決するのは5月18日の4回戦以来二度目のこととなる。

 名古屋は初回、一死後岩本章がストレートの四球で出塁、桝嘉一の一ゴロの間に岩本は二進、吉田猪佐喜が中前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 大洋も1回裏、一死後濃人渉が左前打で出塁するが、浅岡三郎の投ゴロはピッチャー石丸進一が二塁ベースカバーのセカンド石丸藤吉に送球、更に一塁に転送されて「1-4-3」と渡るダブルプレー。

 名古屋は2回、先頭の芳賀直一が三塁に内野安打、石丸進一が送って一死二塁とするが、トップに返り石丸藤吉は中飛、岩本は遊ゴロに倒れて追加点はならず。名古屋は3回以降、野口二郎に無安打に抑えられる。

 大洋は2回、野口明の左前打と山川喜作の遊失で二死一二塁とするが佐藤武夫は投ゴロに倒れる。3回も中村信一の中前打と浅岡の四球で二死一二塁とするが野口二郎は三振に倒れてこの回も無得点。

 4回、5回も走者を出しながら石丸進一から得点を奪えなかった大洋は6回、一死後野口明がレフトスタンドに同点ホームランを放って力投を続ける弟を援護する。

 名古屋は7回から石丸進一に代えて西沢道夫をマウンドに送り込む。延長28回以降不甲斐ない投球が続いていた西沢がこの試合では見違えるようなピッチングを見せ、9回まで三者凡退を続ける。

 名古屋は10回表、先頭の西沢が左前打を放って出塁、トップに返り石丸藤吉が送りバントを決めて一死二塁、岩本が左前に決勝タイムリーを放ち2-1と勝ち越す。


 西沢道夫は10回裏も三者凡退に抑えて4イニングをパーフェクトリリーフ、2勝目をあげる。野口明の同点ホームランで大洋に傾きかけた試合の流れを自軍に引き戻し、延長10回にはヒットで出塁して決勝のホームを踏む活躍であった。





 

2015年4月19日日曜日

17年 第11節 週間MVP



 今節は巨人が4勝1敗、名古屋が4勝2敗、阪神が3勝2敗1分、大洋が3勝2敗、朝日が2勝2敗、阪急が2勝2敗、黒鷲が1勝3敗1分、南海が0勝5敗であった。

 今季低迷を続けていた名古屋が快進撃を見せ、巨人を破り南海に3連勝した。その南海は5連敗、前節まで巨人との優勝争いを繰り広げてきたが脱落した。



週間MVP

投手部門

 大洋 野口二郎 2

 今節3勝1敗2完封。7月1日の朝日戦は1安打完封、10日の南海戦は3安打完封であった。

 巨人 広瀬習一 3

 今節2勝0敗。11日の大洋戦では巨人キラー三富恒雄との投げ合いを制す。

 名古屋 石丸進一 1

 リリーフで2勝。2日は巨人を破り、5日の南海戦では延長12回に決勝打も放ち、名古屋の快進撃に貢献した。


打撃部門

 南海 岩本義行 4

 今節19打数9安打4得点5打点、3本塁打。11日の名古屋戦で一試合3本塁打の日本記録を樹立した。

 巨人 中島治康 3

 今節19打数9安打6得点3打点、1本塁打。猛打賞2回、無安打も2回と相変わらず波は大きいが、巨人の独走態勢構築に貢献した。

 名古屋 岩本章 1

 今節23打数5安打ながら3得点6打点、1本塁打。2日の巨人戦では須田博から決勝本塁打を放ち、11日の南海戦では5打点を記録した。



殊勲賞

 阪神 三輪八郎 1

 1日の黒鷲戦で3安打完封、今季初勝利を飾った。

 名古屋 河村章 1

 4日の南海戦で完封勝利、打っても2打数2安打を記録した。

 朝日 早川平一 2

 10日の阪急戦で猛打賞を記録する。出番は少ないがいいバッティングを見せており、五番にも起用されるようになってきた。



敢闘賞

 巨人 白石敏男 1

 今節15打数4安打6四球。1日の名古屋戦では3四球、10日の名古屋戦では2個の押出し四球を選ぶ。このところ下位に落とされていたが、出塁率の高さを評価されて呉波からトップバッターの座を奪い返した。

 阪神 土井垣武 1

 今節28打数9安打。11日の阪急戦では延長16回表に決勝打を放つ。

 大洋 濃人渉 1

 今節17打数6安打の活躍。


技能賞

 阪神 塚本博睦 1

 1日の黒鷲戦でセンターからのバックホームで補殺を決めて三輪八郎の完封をアシストする。

 名古屋 芳賀直一 1

 4日の南海戦で好走塁を見せて河村章のホームインをアシスト、これが決勝点となった。

 朝日 伊勢川真澄 5

 11日の黒鷲戦でトリプルスチールを決めて本盗を記録する。二走は早川平一、一走は広田修三であった。






 

2015年4月18日土曜日

空前の残塁合戦 その2



 2014年6月4日付けブログ「空前の残塁合戦」で、昭和16年10月9日に後楽園球場で行われた試合について以下のとおりお伝えしました。

「第一試合の名古屋vs阪神戦では名古屋が9残塁、阪神が17残塁。第二試合の朝日vs大洋戦では朝日が9残塁、大洋が12残塁。2試合4チーム合計47個の残塁を記録した・・・(中略)・・・因みに昭和17年5月24日の後楽園球場第三試合、朝日vs大洋戦は延長28回引分けでしたが朝日は17残塁、大洋は15残塁。第一試合の大洋vs巨人戦は大洋が4残塁で巨人は6残塁、第二試合の朝日vs名古屋戦は朝日が4残塁で名古屋は8残塁。この日は変則トリプルヘッダーでしたが多い方の第二試合と第三試合を足しても合計44残塁にしかなりません。」


 本日お伝えしたとおり、昭和17年7月11日の甲子園球場第二試合は延長16回の乱戦となり、阪急が19残塁、阪神が15残塁を記録しました。第一試合の黒鷲vs朝日戦では黒鷲が10残塁、朝日が5残塁で、一日合計49個の残塁を記録しています。


 昭和16年10月9日の後楽園球場第一試合は延長13回ですから、47対49ではありますが、昭和16年に軍配が上がると言えそうですが、本日も空前の残塁合戦となりました。




 

17年 阪神vs阪急 8回戦


7月11日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 計
0 2 2 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0   0   0   1  5 阪神 26勝22敗2分 0.542 若林忠志 御園生崇男
1 0 0 0 0 3 0 0 0  0   0   0   0   0   0   0  4 阪急 24勝20敗2分 0.545 森弘太郎 笠松実

勝利投手 御園生崇男 5勝5敗
敗戦投手 笠松実        8勝7敗

二塁打 (急)中島
三塁打 (神)野口昇、土井垣、藤井

勝利打点 土井垣武 4

猛打賞 (神)土井垣武(4安打) 2 (急)黒田健吾 3


土井垣武、延長16回決勝打

 阪急は初回、先頭のフランク山田伝が左前打で出塁、上田藤夫も左前打で続いて無死一二塁、黒田健吾が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 阪神は2回、二死後若林忠志が四球を選んで出塁、野口昇が右中間に三塁打を放って1-1の同点、ライト中島喬からの返球を中継したセカンド上田の三塁送球が悪送球となる間に野口はホームに戻り2-1と逆転する。

 阪神は3回、先頭の金田正泰の二ゴロを上田が又もエラー、御園生崇男は左飛に倒れるが土井垣武が左中間に三塁打を放ち3-1、藤井勇は三ゴロに倒れるがカイザー田中義雄の三塁内野安打で土井垣が還って4-1とリードを広げる。

 阪急は6回、先頭の森田定雄から中島、日比野武と3連続四球、ここまで1四球の阪神先発若林忠志が突然乱れた。更に中村栄まで押出し四球を選んで2-4、筆者の記憶では若林は依然も一度突然ストライクが入らなくなったことがありました。笠松実の遊ゴロ併殺の間に三走中島が還って3-4、二死三塁からトップに返り山田の遊ゴロをショート野口がエラー、三走日比野が還って4-4の同点に追い付く。

 阪急は7回、先頭の上田が四球を選んで出塁、阪神ベンチはここで若林を下げてライトから御園生崇男をマウンドに呼んだ。御園生は準備ができていたのか、黒田を左飛、山下好一を右飛、森田を三振に打ち取る。6回の若林の乱調を見てイニングの間に肩慣らしをしていたとも考えられますが、阪神7回の攻撃は一番からで三番の御園生は打席に入っており肩慣らしをする時間は無かった可能性が高い。阪神の7回は一番の塚本博睦が中前打で出て、金田は三振、御園生は二邪飛に倒れ、続く土井垣は初球を打って遊飛でチェンジとなっているのでキャッチボールをする時間すらなかったはずです。

 ところが御園生はこの後も16回まで無失点で投げ続けることとなる。阪急も先発の森弘太郎が不調で4回から笠松実がマウンドに上がっており、笠松は4回から15回までを無失点で切り抜ける。
 阪神は16回表、一死後玉置玉一が右前打で出塁、御園生が中前打で続いて一死一二塁、ここで土井垣がこの試合4安打目となるヒットを中前に放って二走玉置を迎え入れ、これが決勝点となった。



 御園生崇男は10イニングを投げて6安打6四球1死球5三振無失点で5勝目をあげる。先発の若林忠志は6回3分の0で6安打7四球と乱調であった。


 阪神は15安打8四球で15残塁、阪急は12安打13四球1死球で19残塁の乱戦となった。


 阪急では2回と3回の失点の因となった上田藤夫の2つのエラーが痛かった。一方、阪神では6回の守備で野口昇のエラーにより同点に追い付かれた場面、二死一塁から一走山田伝が試みた盗塁をキャッチャー田中義雄が刺したプレーが大きかった。阪急の勢いを止めた田中の送球がこの試合の結果を左右したのである。




 

17年 黒鷲vs朝日 7回戦


7月11日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 黒鷲 10勝34敗3分 0.227 畑福俊英
0 0 0 1 0 1 0 0 X 2 朝日 21勝25敗2分 0.457 福士勇

勝利投手 福士勇     7勝4敗
敗戦投手 畑福俊英 1勝4敗

二塁打 (黒)木下
三塁打 (黒)杉江

勝利打点 なし


決勝点は三重盗

 3回まで黒鷲先発の畑福俊英に1安打に抑えられてきた黒鷲は4回、先頭の五味芳夫がストレートの四球で出塁、鬼頭政一もワンスリーから四球を選んで無死一二塁、伊勢川真澄の三前バントが内野安打となって無死満塁、早川平一の一ゴロはファースト小松原博喜がバックホームして三走五味は本封、広田修三の投ゴロで鬼頭も本封されて二死満塁、ここでトリプルスチールを決めて三走伊勢川真澄に本盗が記録された。この際、二走早川、一走広田にも当然盗塁が記録されたが、三塁に達した早川がオーバーランしており「2-5」とキャッチャー木下政文からサード玉腰忠義に送球されてタッチアウト。

 朝日は6回、先頭の坪内道則がセンター右にヒット、五味は一邪飛に倒れるが、鬼頭がライト線にヒットを放って一死一二塁、伊勢川の三ゴロは「5-4-3」と転送されるが一塁はセーフ、三塁に達していた二走坪内がホームに向かい、ファースト小松原がバックホームするが悪送球となる間に坪内が生還して2-0とする。

 朝日先発の福士勇は6安打4四球4三振で今季2度目の完封、7勝目をあげる。朝日は7月5日の6回戦でも林安夫が完封しており、対黒鷲戦で2試合連続完封勝利となった。

 畑福俊英も8回を完投して6安打2四球1三振2失点。与四球は僅かに2個であったが4回に先頭の五味と鬼頭に2つ続けたのが痛かった。


 朝日の決勝点は4回の「三重盗」であった。6回の追加点も坪内道則の足で稼いだものである。奇才・竹内愛一監督率いる朝日の戦いぶりには躍動感が感じられる。



*福士勇は木下政文に二塁打、杉江文二に三塁打を打たれたが6安打完封。






*朝日は4回に「三重盗」を記録した。





*4回のトリプルスチールの場面。「O’」が盗塁を表します。伊勢川真澄が本盗、早川平一が三盗、広田修三が二盗を記録しました。





 

2015年4月15日水曜日

17年 大洋vs巨人 8回戦


7月11日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 大洋 26勝17敗3分 0.605 三富恒雄
1 1 0 0 0 0 0 0 X 2 巨人 33勝14敗1分 0.702 広瀬習一

勝利投手 広瀬習一 14勝5敗
敗戦投手 三富恒雄   7勝7敗

二塁打 (大)三富 (巨)水原

勝利打点 伊藤健太郎 4


伊藤健太郎、攻守に活躍

 大洋は今季巨人から2勝をあげている三富恒雄、巨人は上位チームでは唯一大洋戦によく登板する広瀬習一が先発。午後2時55分、池田豊主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は初回、先頭の白石敏男がいきなりバントヒット、苦手の三富に揺さぶりをかける。これが効を奏したか続く水原茂も中前打、しかし期待の川上哲治は中飛、中島治康は三振に倒れる。ここで楠安夫が四球を選んで二死満塁、伊藤健太郎が右前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 巨人は2回、二死後白石が左前打で出塁すると二盗に成功、水原がライト線に二塁打を放って2-0とする。

 大洋は巨人先発の広瀬に抑えられて3回まで無安打。4回、先頭の濃人渉が四球で出塁、浅岡三郎は三振に倒れるがスリーストライク目に濃人が二盗に成功、野口明も三振、二死二塁から村松長太郎が左前打、二走濃人は三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むがレフト伊藤からのバックホームにタッチアウト。5回は一死後三富が左中間に流し打って二塁打、しかし佐藤武夫は三ゴロ、織辺由三は左飛に倒れてこの回も無得点。

 大洋は6回、一死後濃人が四球を選んで出塁、浅岡も四球で一死一二塁、野口明は左前打を放ち一死満塁、村松の三ゴロ併殺崩れの間に三走濃人が還って1-2と詰め寄る。

 しかし広瀬習一は7回から9回まで走者を出しながらも踏ん張り、4安打6四球2三振の完投で14勝目をあげる。


 先制&決勝のタイムリーを放った伊藤健太郎は4回には見事な補殺も決めて、攻守に活躍した。




 

2015年4月14日火曜日

17年 名古屋vs南海 8回戦


7月11日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 3 3 3 0 0 0 9 名古屋 15勝33敗1分 0.313 河村章
0 1 0 1 0 0 0 2 X 4 南海    29勝19敗 0.604 石田光彦 神田武夫 長谷川善三

勝利投手 河村章     3勝9敗
敗戦投手 石田光彦 5勝4敗

二塁打 (名)吉田、古川
本塁打 (南)岩本義行 2、3、4号

勝利打点 岩本章 2

猛打賞 (名)岩本章 1 (南)岩本義行 6


岩本義行、1試合3本塁打

 南海は2回、岩本義行がレフトスタンドにホームランを叩き込んで1点を先制する。

 1回と3回に先頭打者のヒットを生かせなかった名古屋は4回、先頭の桝嘉一が四球で出塁、吉田猪佐喜がレフト線に二塁打を放って無死二三塁、飯塚誠はストレートの四球で無死満塁、古川清蔵が押出し四球を選んで1-1の同点、南海ベンチはここで先発の石田光彦から神田武夫にスイッチ、岩本章が中前に2点タイムリーを放ち3-1と逆転する。

 南海は4回、岩本義行が左越えに2打席連続本塁打を放って2-3と追い上げる。

 名古屋は5回、又も先頭の桝が四球で出塁、吉田が左前打で続いて無死一二塁、飯塚の送りバントは一邪飛となって失敗、古川の三塁内野安打で一死満塁、岩本章の当りはボテボテの投ゴロとなってピッチャー神田がバックホームするが悪送球となり三走桝に続いて二走吉田も生還、5-2とする。野選とエラーが記録されて岩本章には打点が記録された。犠打は記録されていないのでスクイズではなく、ここは打っていったものである。なお一死二三塁から芳賀の三ゴロで三走古川がホームに突っ込むが今度はサード柳鶴震からの送球にタッチアウト、二死一三塁から河村が右前にタイムリーを放って6-2と突き放す。

 名古屋は6回、一死後桝が3打席連続の四球をストレートで選んで出塁、吉田は中飛に倒れるが、飯塚が中前打、古川が左中間に二塁打を放って7-2、岩本章が左前に2点タイムリーを放ち3イニング連続で3得点をあげて9-2とダメ押す。

 南海は8回、先頭の国久松一がレフト線にヒットを放って出塁、ところが猪子利男の中飛に帰れずダブルプレー、ここは「打走法」がかかっていたのでしょう。北原昇がショートに内野安打を放ち二死一塁、ここで岩本義行がこの日3本目のホームランをレフトスタンドに叩き込んで4-9と追い上げるが焼け石に水であった。


 河村章は岩本義行に3本の本塁打を打たれたが5安打1四球3三振で完投、3勝目をあげる。


 岩本義行は3本塁打で4打点であったが、岩本章は3本のシングルヒットで5打点をあげた。戦前の1試合最多本塁打記録が生まれたが、その岩本義行よりも岩本章の方が多くの打点を記録したことは、当ブログが世に知らしめるまでほとんど知る人はいなかったでしょう。



 名古屋は3回から5回まで3イニング連続で3得点を記録したが、いずれも桝嘉一の四球に端を発したものであった。4打席1打数無安打3四球3得点の桝嘉一もこの日の殊勲者であった。




*岩本義行が3本塁打を記録した。赤線を引いたのは前所有者の福室正之助氏であって、決して筆者ではありません(笑)。