2014年6月30日月曜日

再びキング!




 6月9日付けブログ「キング」において、シアトル・マリナーズのフェリックス・ヘルナンデスによる7イニング15奪三振をお伝えしたところですが、今度は8イニング1安打ピッチングをやってくれました。キング・ヘルナンデスは今月6試合に登板して3勝1敗、44回3分の1を投げて54奪三振、防御率1.22、WHIP0.72、被打率0.170なので月間MVPの有力候補です。ダルビッシュは今月4勝2敗ですが43回を投げて57奪三振、防御率2.51、WHIP1.28、被打率0.233で、奪三振以外は大きく見劣りするのは一目瞭然です。田中は今月3勝2敗、37回を投げて39奪三振、防御率2.19、WHIP0.95、被打率0.215なので矢張り見劣りします。


 ならばア・リーグ月間MVP投手部門はキングで決まりかというとそうは問屋が卸しません。エンゼルスのギャレット・リチャーズは今月ここまで5試合に登板して4勝0敗、34回3分の1を投げて35奪三振、防御率1.05、WHIP0.90、被打率0.161なので、明日予定されている今月最終登板で快投を見せて5勝目をあげればむしろリチャーズが選出される可能性が高くなります。日本の報道機関も、田中とダルビッシュだけが投げている訳ではないことをきちんと伝えるべきでしょう。



 ナ・リーグ月間MVPは最終日を待たずしてクレイトン・カーショウで決まりですね。今月6試合に登板して6勝0敗、44回を投げて61奪三振、防御率0.82、WHIP0.68、被打率0.165とほぼ完ぺきな成績です。6月18日には15奪三振で無安打無得点もありましたし歴史的な投球内容の1か月であったと言えます。1時の方向から7時の方向に曲がり落ちると言われるカーブ、スライダー、チェンジアップ、93マイル前後のストレートとどんなボールでも三振が取れるところが最大の強みですね。当ブログは昨年はキレが落ちたと判断してあまり高く評価していなかったことは「三冠への道 2013」でお伝えしてきたところですが、今季は3年前のキレに巧さも加わって凄味が増してきました。最終予想は打撃部門と共に明日発表させていただきます。









 

16年 朝日vs南海 11回戦


10月27日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12  計
1 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   2   3 朝日 23勝51敗1分 0.311 山本秀雄
0 0 0 0 1 0 0 0 0  0   0   0   1 南海 36勝38敗 0.486 石田光彦 神田武夫

勝利投手 山本秀雄   6勝16敗
敗戦投手 神田武夫 22勝13敗

二塁打 (朝)坪内 (南)村上

勝利打点 室脇正信 2


山本秀雄、歴史的快投!!!

 10月5日の南海戦以来1引分けを挟んで8連敗中の朝日とここまで5連勝と波に乗る南海との一戦。

 朝日は初回、一死後戸川信夫が四球で出塁するとパスボールで二進、坪内道則のレフト線二塁打で1点を先制する。

 4回まで朝日先発の山本秀雄に無安打に抑えられてきた南海は5回、先頭の村上一治がレフト線に二塁打、木村勉の遊ゴロの間に村上は三進、岡村俊昭の右犠飛で1-1の同点に追い付く。

 その後は南海先発の石田光彦と山本の投げ合いが続いて試合は延長12回に突入。

 南海は12回から石田に代えてエース神田武夫を投入するがこれが裏目に出た。

 朝日は12回、先頭の岩田次男が四球で出塁、内藤幸三の送りバントは捕邪飛となって失敗、山本の一ゴロをファースト村上が二塁に送球するが二塁ベースカバーに入ったショート前田貞行が落球、室脇正信が右前に決勝タイムリーを放って2-1、トップに返り五味芳夫に代わる代打景浦賢一も左前にタイムリーを放って3-1とする。

 南海は12回裏、一死後国久松一の遊ゴロをショート前田諭治がエラー、安井鍵太郎は右飛に倒れるが国久が二盗に成功、キャッチャー伊勢川真澄の悪送球も加わって二死三塁、しかし岩本義行が三振に倒れて2時間30分の激闘に終止符を打つ。


 延長12回を完投した山本秀雄は1安打2四球7三振1失点。歴史にタラレバは不要ですが、村上一治の二塁打と朝日の初回の得点が無ければ日本プロ野球史上唯一の12回無安打無得点は全く無名の山本秀雄によって達成されるところであった。日本のプロ野球ではこれまで昭和11年9月25日の澤村栄治から2014年5月2日の岸孝之 まで延べ89回のノーヒットノーランが記録されているが、延長戦での無安打無得点は1973年8月30日に江夏豊が延長11回をノーヒットに抑えて自らのサヨナラホームランで決着を付けた1回のみである。


 歴史的快投を見せた山本秀雄の名前を知る野球ファンはほぼ皆無といえるでしょう。筆者も恥ずかしながら当ブログをやっていなければ本日に至るまで知らなかったと思います。山本は3年間のプロ野球生活で通算9勝25敗、完封勝利はゼロのまま球界を去ることとなりますが、延長12回1安打1失点完投の記録を達成して歴史の闇から這い上がってきたのです。








*山本秀雄は延長12回を1安打1失点で完投する。












*山本秀雄に1安打に抑え込まれた南海打線。








 

2014年6月29日日曜日

16年 巨人vs阪神 10回戦


10月27日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 2  2 巨人 53勝20敗2分 0.726 広瀬習一
2 0 0 1 0 0 1 1 X  5 阪神 37勝35敗 0.514 松本貞一

勝利投手 松本貞一 4勝2敗
敗戦投手 広瀬習一 5勝3敗
セーブ     若林忠志 2

二塁打 (神)松下、若林
三塁打 (巨)広瀬

勝利打点 カイザー田中義雄 5

ファインプレー賞 (神)若林忠志 1


二匹目のドジョウ

 阪神の先発は10月5日の9回戦で巨人を完封した松本貞一が二匹目のドジョウを狙ってマウンドに上がる。

 阪神は初回、先頭の宮崎剛が右前打で出塁、森国五郎の一ゴロの間に宮崎は二進、カイザー田中義雄が中前に先制タイムリーを放って1-0、更にセンター呉波がこれをトンネルして打者走者の田中は三塁に進み、松木謙治郎の中犠飛で2-0とする。この飛球を呉が今度は落球、松木は二塁に進むが御園生崇男は三邪飛、松下繁二は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人打線は毎回走者を出しながら又も松本から得点を奪えず4回まで3安打無得点。

 阪神は4回、先頭の御園生崇男が中前打で出塁するがキャッチャー吉原正喜からの牽制球にタッチアウト、松下が左中間に二塁打、野口昇に代わる代打若林忠志が右前にタイムリーを放って3-0とする。ライト中島治康からのバックホームが悪送球となって打者走者の若林は二塁に進み、松本はショートライナーに倒れるが皆川定之の二ゴロを今度はセカンド千葉茂がエラー、二死一三塁とするがトップに返り宮崎は捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 3点のリードを付けた阪神は5回から先発の松本に代わって若林がマウンドに上がる。

 阪神は7回、先頭の森が四球を選んで出塁、田中のレフト線ヒットで森が三塁を陥れ無死一三塁、松木が四球を選んで無死満塁、御園生の遊ゴロが「6-4-3」と転送されてゲッツーとなる間に三走森が還って4-0とリードを広げる。

 阪神は8回、先頭の若林が左中間に二塁打、村瀬一三の投ゴロの間に若林は三進、皆川は捕邪飛に倒れて二死三塁、トップに返り宮崎の二塁内野安打で5-0とする。

 巨人は9回、一死後呉がストレートの四球で出塁、広瀬習一が右中間に三塁打を放って1-5、トップに返り白石敏男に代わる代打楠安夫が四球を選び代走に林清一を起用、水原茂の三遊間内野安打で広瀬を迎え入れ2-5、一死一二塁と一発出れば同点という場面を迎えるが、千葉の中飛に二走林が飛び出し「8-6B」と送られてダブルプレー、阪神が逃げ切る。


 若林忠志のリリーフを仰いだものの、松本貞一は2試合連続で巨人相手に無失点、二匹目のドジョウを釣り上げた。松本は4回で降板しているので現行ルールでは若林忠志が勝利投手となるが公式記録では松本に勝利投手が記録されている。若林には当ブログルールによりセーブが記録される。


 何故巨人は松本を打てないのか、打球方向が松本の緩球に合っていないことを示しています。すなわち、初回は白石敏男が三振、水原が左前打、千葉が三ゴロ、川上哲治は一ゴロと全て引っ張り。2回、中島治康は遊ゴロ、吉原正喜は左飛、平山菊二は三ゴロ失、呉は一ゴロとこの回も全て引っ張り。3回、広瀬が左前打、白石は三ゴロ併殺、水原も三ゴロ。4回、千葉がセンター左にヒット、中島は中飛、吉原は三ゴロ、二走川上がサード野口昇からの一塁送球の間に三塁ベースを蹴ってホームに向かうが「3-2」と送球されてタッチアウト。3回までは全て引っ張り、4回になって千葉と中島がセンターに打ち返してきたのを見て松木謙治郎監督は若林に代えたのでしょう。








*二匹目のドジョウを釣り上げた松本貞一。







 

16年 大洋vs黒鷲 10回戦


10月27日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 4  4 大洋 40勝31敗2分 0.563 浅岡三郎
1 0 1 0 0 0 0 0 0  1 黒鷲 25勝48敗 0.342 畑福俊英

勝利投手 浅岡三郎 10勝4敗
敗戦投手 畑福俊英   7勝13敗

二塁打 (大)柴田 (黒)木下
三塁打 (黒)山田、中河
本塁打 (大)苅田 1号

勝利打点 苅田久徳 5

ファインプレー賞 (黒)山田潔 11、12


苅田久徳、逆転スリーラン

 黒鷲は初回、先頭の山田潔がセンター右奥に三塁打、清家忠太郎は投ゴロ、玉腰忠義は三振に倒れて二死三塁、ここで中河美芳が右中間に三塁打を放って1点を先制する。富松信彦は右飛に倒れて追加得点はんまらず。

 黒鷲は2回、先頭の木下政文が右中間二塁打、しかし谷義夫の投前バントはピッチャー浅岡三郎からサード中村信一に送られてタッチアウト、更に谷が二盗に失敗、畑福も右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 黒鷲は3回、先頭の山田の左飛をレフト織辺由三が落球、清家は右飛に倒れるが山田が二盗に成功、玉腰が中前にタイムリーを放って2-0とする。

 大洋は初回、先頭の苅田久徳が四球で出塁、中村が左前打を放って無死一二塁、森田実は三邪飛に倒れるが濃人渉の遊ゴロをショート山田が失して一死満塁、しかし石井豊は三振、西岡義晴は中飛に倒れて得点ならず。

 黒鷲先発の畑福は初回のピンチを切り抜けると波に乗り、2回以降は6回に濃人に左前打を許しただけで8回まで2安打無失点、完封目前であった。

 大洋は9回、一死後浅岡が四球を選んで出塁、佐藤武夫に代わる代打柴田多摩男が左中間にタイムリー二塁打を放って1-2、山川喜作に代わる代打野口二郎は敬遠されて一死一二塁、ここでトップに返り苅田がレフトスタンドに逆転スリーランホームランを叩き込んで4-2とする。

 浅岡三郎は7安打1四球2三振の完投で10勝目をあげる。


 この試合の大洋外野陣の布陣が面白い。スタメンは三番センター森田実、六番ライト西岡義晴、九番レフト織辺由三。森田は試合終了までセンターのままであったが、、7回の攻撃でレフト織部の代打に出た山川喜作がサードに入り、サードの中村信一がセカンドに、セカンドの苅田久徳がライトに回り、ライトの西岡に代わって村松長太郎が入ってレフト。9回の攻撃でレフト村松の代打に出た古谷倉之助が9回の守備からライトに入り、サード山川の代打に出た野口二郎がレフトに入る。サードにセカンドの中村が戻り、ライトの苅田がセカンドに戻る。更に、9回の守備で先頭の富松に中前打を打たれるとらいとの古谷代わって中山正嘉が入る。これが効を奏したかは定かでないが木下は中飛、一死一塁から畑福に代わる代打菅利雄を遊ゴロ併殺に仕留めて逃げ切った。いかにも苅田らしい采配であった。








*浅岡三郎は7安打完投で10勝目をあげる。














*苅田久徳が逆転スリーランを放った大洋打線。










*目まぐるしく内外野の布陣を変えていった大洋のラインナップ。



















 

2014年6月28日土曜日

16年 阪急vs朝日 10回戦


10月26日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 1 1 0 0 3 阪急 43勝30敗1分 0.589 橋本正吾
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 22勝51敗1分 0.301 福士勇

勝利投手 橋本正吾 5勝1敗
敗戦投手 福士勇   17勝23敗

二塁打 (急)黒田 (朝)福士、室脇

勝利打点 日比野武 5

猛打賞 (急)中島喬 4


橋本正吾、今季3度目の完封

 阪急は3回、一死後中島喬が中前打で出塁、黒田健吾がセンター左奥に二塁打を放って一死二三塁、新富卯三郎の投ゴロで三走中島が飛び出し「1-5-2-6」と転送されてタッチアウト、二死二三塁から日比野武がピッチャーを強襲する内野安打を放って1点を先制する。

 阪急は6回、先頭の日比野の遊ゴロをショート五味芳夫が一塁に悪送球、上田藤夫の三ゴロを今度はサード岩田次男が二塁に悪送球して無死一二塁、山下好一の遊ゴロが「6B-3」と転送されてゲッツー、二死三塁から森田定雄が右前にタイムリーを放って2-0とする。

 阪急7回、先頭の橋本正吾の右飛をライト鬼頭政一が落球して橋本は二塁に進み、トップに返り中島の中前打で無死一三塁、黒田は三振に倒れるが新富が左犠飛を打ち上げて3-0とリードを広げる。

 阪急先発の橋本正吾が力投を見せた。3回まで無安打無失点。4回、先頭の戸川信夫に中前打を許し、バントで送られて一死二塁とするが、伊勢川真澄を右飛、内藤幸三を三振に打ち取る。5回も二死後福士勇に右中間二塁打を許すが戸川須賀男を右飛に打ち取る。8回一死後、室脇正信に右中間二塁打を打たれて一死二塁、しかし五味、戸川信夫を連続三振に仕留める。9回、一死後伊勢川に右前打を許すが景浦賢一を三振に打ち取り、スリーストライク目にキャッチャー日比野が牽制で一走伊勢川を刺して試合終了。記録はダブルプレーであった。


 橋本正吾は4安打2四球7三振の力投で今季3度目の完封、5勝目をあげる。






*橋本正吾は今季3度目の完封で5勝目をあげる。
















 

16年 名古屋vs南海 10回戦


10月26日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  計
0 0 1 0 0 0 0 0 0  0   1 名古屋 35勝39敗 0.473 河村章 西沢道夫
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1X  2 南海    36勝37敗 0.493 川崎徳次

勝利投手 川崎徳次 9勝15敗
敗戦投手 西沢道夫 6勝11敗

二塁打 (南)岩本、岡村

勝利打点 なし


川崎徳次、2試合連続1失点完投勝利

 名古屋は3回、先頭の河村章が四球を選んで出塁、トップに返り石丸藤吉の投前送りバントはピッチャー川崎徳次が巧く捌いて一走河村は二封、古川清蔵が四球を選び、大沢清は一飛に倒れて二死一二塁、服部受弘が左前にタイムリーを放って1点を先制する。更に吉田猪佐喜が四球を選んで二死満塁とするが、芳賀直一は二飛に倒れて追加得点はならず。

 南海先発の川崎は3回まで3安打を許したが4回以降見事に立ち直り9回まで無安打ピッチングを続ける。

 南海打線は名古屋先発の河村章に7回まで3安打に抑えられる。初回に岩本義行、6回に岡村俊昭と二塁打が2本出たが何れも二死からでここまで無得点。

 南海は8回、先頭の安井鍵太郎が四球で出塁、岩本も四球を選んで無死一二塁、名古屋ベンチはここで先発の河村から西沢道夫にスイッチ、村上一治の一ゴロで岩本が二封されて一死一三塁、木村勉の三ゴロで三走安井がホームを突くがサード芳賀からのバックホームにタッチアウト、ここで村上と木村がダブルスチールを決めて二死二三塁、前の打席で二塁打を放っている岡村は四球で歩かされて二死満塁、南海ベンチはここで前田貞行に代えて昨日殊勲の代打サヨナラ打を放っ徳島忠彦を代打に起用、徳島が連日の殊勲となる押出し四球を選んで1-1の同点に追い付く。
 


 南海は10回裏、先頭の岩本がレフト線にヒット、村上の右前打で無死一二塁、木村の左飛で二走岩本がトリック走法を見せるが「7-6-5-4-1」と渡って記録はダブルプレー、岡村が四球を選んで二死一二塁、柳鶴震の三ゴロをサード芳賀が一塁に痛恨の悪送球、二走村上が三塁からホームに還ってあっけなく決着がつく。


 川崎徳次は10回を3安打8四球5三振で完投、9勝目をあげる。川崎は2試合連続1失点完投勝利、南海は5連勝で借金を1とした。







*川崎徳次は8四球を出したものの名古屋打線を3安打に抑えて23日の朝日戦に続いて1失点完投勝利を飾る。














*後楽園球場第二試合の巨人と全く同じ得点経過で5連勝を飾った南海打線。本日は「徳島忠彦」のスタンプが押されています。















 

2014年6月27日金曜日

ゲータレード・シャワー





 ティム・リンスカムが昨年に続いて2度目のノーヒット・ノーランを達成、先日自身初のノーヒット・ノーランをやったクレイトン・カーショウのインタビュー時のゲータレード・シャワーは良く見るオレンジ色でしたが、リンスカムにぶっかけられたゲータレードの色はブルーでした。


 ゲータレードが本格的に日本で普及したのは筆者が高校3年の時、1976年のことです。神奈川軟式で活躍していた(?)筆者は、2年の時は練習でも水分摂取は厳禁でしたが、3年の時には練習でも試合でもゲータレードの使用を解禁したのです。アメリカから「疲れない水」がやって来たと聞いて使ったのですが、当時のアメリカンフットボールの試合中継でもベンチの選手たちが緑のボトルから伸びたノズルをチュルチュルとやっていました。早速それを真似たものです。汗っかきで喉が乾きやすい筆者には宝物でした。近年はハイボールで喉の渇きを潤すことが多いのですが(笑)。


 「Wikipedia」によると「1975年ごろに一度製造販売が休止されたが、翌年1976年にスポッドビルトアジア(現:ダイナミックインターナショナル、後:GreenT)がアメリカより輸入・販売を行う。」とのことで、筆者の記憶とピタリ符合しました。



 リンスカムとカーショウにぶっかけられたゲータレードの色にまで着目したのは世界中のブロガーの中でも当ブログだけでしょう。日本における実質ゲータレード元年に、オレンジの稲妻型のロゴが書かれた緑のボトルから伸びた白いノズルをチュルチュルとやっていた原体験を有する筆者ならではの着眼点ではないでしょうか(笑)。




*自身2度目のノーヒットノーランを達成したティム・リンスカムの直筆サインカード。





*ジャイアンツ史上2度の達成はニューヨーク・ジャイアンツ時代のクリスティ・マシューソン以来とのことです。画像は我が家の玄関に置いてあるクリスティ・マシューソンのブロンズ像。由緒あるものらしいのですが価値が分かりません。最近彫刻家の松田光司さん(野球殿堂のブロンズ像や学士会館前の「日本野球発祥の地」モニュメントの製作者)と知り合いましたので、今度聞いてみましょうか(笑)。









*松田光司作「日本野球発祥の地」モニュメント

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16年 大洋vs巨人 11回戦


10月26日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  計
0 0 0 1 0 0 0 0 0  0   1 大洋 39勝31敗2分 0.557 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1X  2 巨人 53勝19敗2分 0.736 中尾輝三

勝利投手 中尾輝三 21勝8敗
敗戦投手 野口二郎 21勝11敗

二塁打 (大)石井
本塁打 (巨)白石 3号、4号

勝利打点 白石敏男 7

ファインプレー賞 (巨)水原茂 13、14 (大)野口二郎 2


白石の二発に野口二郎沈む

 大洋は4回、先頭の濃人渉が4球ファウルで粘って四球で出塁、石井豊の遊ゴロをショート白石敏男が二塁に悪送球する間に濃人が三塁に進み無死一三塁、村松長太郎は浅い右飛に倒れるが、佐藤武夫のスクイズが内野安打となって1点を先制する。白石のエラーが痛かった。

 7回まで野口二郎の前に4安打無得点に抑え込まれてきた巨人は8回裏、この回先頭の白石が起死回生の同点ホームランをレフトスタンドに叩き込んで1-1とする。

 巨人は10回裏、一死後白石がレフトにサヨナラホームランを叩き込んで決着を付ける。


 4回の失点につながるエラーに始まり、8回の同点本塁打、10回の2打席連続サヨナラ本塁打と、白石敏男の独り舞台であった。翌日の読売新聞によると1本目は「野口得意の低目直球を掬いあげざまに左翼席に本塁打」、2本目は「満場の観客が声高に要望するホームランの叫びに応ずるものの如く2ストライク後の曲球を再び同じスイングをもって更に大きく左翼席に打ち込んで此の大接戦を満場熱狂の大喝采裡に決してしまった」とのこと。


 中尾輝三は10回を完投して5安打5四球3三振1失点、自責点ゼロで21勝目をあげ野口二郎に並んだ。野口は9回3分の1を完投して7安打2四球7三振、白石の2発に沈んだ。









*中尾輝三は5安打完投で21勝目をあげる。














*白石敏男の2発でサヨナラ勝ちした巨人打線。


















 

2014年6月26日木曜日

16年 黒鷲vs阪神 10回戦


10月26日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 1 0 0  1 黒鷲 25勝47敗 0.347 中河美芳
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪神 36勝35敗 0.507 若林忠志

勝利投手 中河美芳   6勝7敗
敗戦投手 若林忠志 17勝14敗

二塁打 (黒)木下

勝利打点 木下政文 4

ファインプレー賞 (黒)山田潔 10


中河美芳、阪神打線を翻弄

 黒鷲は初回、一死後清家忠太郎が右翼線にヒット、玉腰忠義の右前打で一死一三塁、玉腰が二盗を決めて一死二三塁、中河美芳の二ゴロで三走清家がホームに突っ込むがセカンド宮崎剛からのバックホームにタッチアウト、富松信彦も中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。2回~4回は三者凡退。

 黒鷲は5回、先頭の木下政文が右中間に二塁打、菅利雄の投前送りバントはピッチャー若林忠志が巧く捌いて三塁に送球し木下はタッチアウト、谷義夫の三ゴロが「5-4-3」と渡ってスリーアウトチェンジ。6回も一死後山田潔が中前打で出塁するが清家の二飛に山田が戻れず「4-3」と渡ってゲッツー。黒鷲はここまで無得点。

 一方、阪神打線も黒鷲先発の中河美芳にひねられて3回二死後に森国五郎が放った中前打1本に抑えられて7回まで1安打無得点。

 黒鷲は7回、先頭の玉腰がレフト線にヒット、中河の遊ゴロの間に玉腰は二進、富松は中飛に倒れて二死二塁、木下の右前タイムリーで均衡を破り1点を先制する。

 阪神は8回、先頭の若林が中前打、村瀬一三の一塁線バントが内野安打となって無死一二塁、好調・森国五郎が中前打を放って無死満塁、トップに返り宮崎の投ゴロで三走若林は本封、キャッチャー清家からの三塁牽制に村瀬はタッチアウト、皆川定之も三振に倒れて同点機を逃す。

 阪神は9回、先頭のカイザー田中義雄が左前打、代走に松木謙治郎監督を起用、土井垣武が送って一死二塁、御園生崇男の遊ゴロの間に二走松木は三進して二死三塁、バッター松下繁二の打席で松木が決死のホームスチールを敢行するがタッチアウトでゲームセット。


 中河美芳は5安打1四球1三振で今季3度目の完封、6勝目をあげる。若林忠志は7安打1四球1三振1失点の完投。中河は95球、若林は92球、両技巧派投手による見ごたえのある投手戦は1時間5分で中河に軍配が上がった。




*中河美芳は5安打完封で6勝目をあげる。






 

2014年6月25日水曜日

徳島忠彦の謎




 昭和16年10月25日、阪急vs南海12回戦は延長14回裏、南海が徳島忠彦の代打サヨナラタイムリーで勝利しました。ところが「日本プロ野球記録大全集」では徳島が出場していないことになっており、徳島の通算記録からもこの日のサヨナラ打が抜け落ちています。


 何故このようなことになったかと言うと、スコアカードの選手欄に「徳島忠彦」の名前が抜け落ちているからです。延長14回裏の南海の攻撃で柳鶴震に誰かが代打に出たことまでは書かれていますが、徳島忠彦のスタンプが押されていないため、「日本プロ野球記録大全集」のテーブルスコアでは柳鶴震がサヨナラタイムリーを放ったことになっています。翌日の読売新聞のテーブルスコアには代打の徳島忠彦がサヨナラ打を放って1打数1安打1打点が記録されており、公式記録でも訂正されていることから、当ブログの記述が間違っている訳ではありませんので念のため。


 徳島忠彦は9月27日の阪急9回戦でプロ入り初出場しており、この時はスコアカードにスタンプが押されていますので、急遽プロ入りしてスタンプ作製が間に合わなかった訳ではなく単純な押し忘れでしょう。何故このような単純ミスが生じたかの理由も、薄々分かってきました。「日本プロ野球記録大全集」の作成過程の裏話は、元パリーグ記録部長・千葉功さんから直接話を聞いています。いずれにせよ、今季通算5打数1安打2打点、翌昭和16年は31打数2安打0打点の記録を残してプロ野球を去ることとなる徳島忠彦が阪急12回戦の延長14回裏に殊勲の代打サヨナラタイムリーを放ったことは歴史的事実です。



 徳島忠彦は広島商業から全京城を経て今季南海に入団しています。広島商業時代は昭和8年センバツに出場していますがこの時はエースが鶴岡一人でした。徳島は外野の控えだったようで、2試合で2打数1安打の記録が残っています。全京城では昭和13年都市対抗にエースとして登場して決勝進出の立役者となりました。翌14年の都市対抗もエースとして出場し準決勝に進出して敗れました。全京城は翌15年の都市対抗では野村清(後に武史に改名、戦後プロ入りして毎日、高橋でエース級の活躍)をエースに据えて優勝します。昭和16年も都市対抗出場が決定していましたが、中国戦線の拡大や対米戦争も近づく時局の影響により都市対抗は中止となりました。徳島忠彦のプロ入りは、このような状況において野球を続ける道を模索した結果ではないでしょうか。



*柳鶴震に誰かが代打に出たことまでは分かりますが選手欄にスタンプが押されていません。







*翌日の読売新聞に掲載されているテーブルスコアでは「代打 徳島」が1打数1安打1打点を記録しています。







*昭和8年センバツ出場メンバー。徳島忠彦はレフトのレギュラーとして登録されていますが、甲子園では控えでした。ピッチャーは鶴岡一人、ライトに奈良友夫の名前が見られます。(「選抜高等学校野球大会50年史」より)





*昭和13年都市対抗決勝。全京城は控えの東を先発に起用し、先制されてすぐにエース徳島忠彦が登板しますが藤倉電線に逃げ切られました。(「都市対抗野球大会60年史」より)







 

2014年6月24日火曜日

16年 阪急vs南海 12回戦


10月25日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14  計
0 0 0 1 0 1 0 0 0  0   0   0   0   0   2 阪急 42勝30敗1分 0.583 森弘太郎
0 0 0 0 0 0 0 2 0  0   0   0   0  1X  3 南海 35勝37敗 0.486 神田武夫

勝利投手 神田武夫 22勝12敗
敗戦投手 森弘太郎 24勝8敗

二塁打 (急)新富、中島 (南)岡村
三塁打 (急)新富

勝利打点 徳島忠彦 1

猛打賞 (急)中島喬 3、新富卯三郎 3、 (南)岡村俊昭 2


徳島忠彦、延長14回サヨナラヒット

 阪急は4回、先頭の黒田健吾が四球で出塁するが上田藤夫の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。ところが新富卯三郎が右中間に三塁打、日比野武が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 阪急は6回、先頭の上田が四球で出塁、新富は右飛に倒れるが日比野が右前打、ピッチャー神田武夫の二塁牽制が悪送球となる間に二走上田が三進して一死一三塁、フランク山田伝の二ゴロ併殺崩れの間に上田が還って2-0とする。

 森弘太郎の前に7回まで5安打無得点に抑えられてきた南海は8回、先頭の北原昇がレフト線にプロ入り初ヒット、トップに返り国久松一が中前打、安井鍵太郎が送って一死二三塁、岩本義行の左犠飛で1-2、村上一治が中前に同点タイムリーを放って2-2とする。

 試合は延長戦に突入すると阪急が押しまくった。阪急は10回、一死後新富が左翼線に二塁打、日比野は四球で一死一二塁、しかし山田は中飛、伊東甚吉に代わる代打田中幸男は遊ゴロに倒れる。11回も二死後中島喬が中越え二塁打を放つが黒田健吾は中飛に倒れて無得点。12回、一死後新富の左飛をレフト国久が落球、日比野の二ゴロの間に新富は二進、しかし山田は一邪飛に倒れる。13回は三者凡退であったが14回、一死後黒田がレフト線にヒット、しかし上田は三ゴロ、新富は左飛に倒れてこの回も無得点。

 一方、南海は10回から14回まで綺麗に三者凡退。

 南海は14回裏、一死後木村勉の三ゴロをファースト新富が落球して一死一塁、岡村俊昭がセンター右にヒットを放って一死一二塁、ここで南海ベンチは柳鶴震に代えて代打徳島忠彦を起用、徳島はプロ入り初ヒットとなるサヨナラタイムリーを左前に放ち南海が打っ棄る。


 神田武夫は延長14回を13安打5四球6三振で粘りの完投、22勝目をあげて最多勝争いでトップをいく森弘太郎に2勝差と迫る。


 森弘太郎は13回3分の1を完投jして11安打1四球4三振、投球内容は神田より良かったが8敗目を喫す。











*神田武夫は延長14回を完投して22勝目をあげる。














 

2014年6月23日月曜日

BIBLIO Baseball Artスペース・オープン記念展 & 昭和野球かるた原画展





 筆者が関係したのは「昭和野球かるた原画展」の方ですが、「Baseball Art」の方では数々の芸術家の方々とお近付きになることができました(笑)。


 「昭和20年代野球倶楽部」の面々が最初は単なる遊びの延長線上で「昭和野球かるた」を作ってみたところ、どういう訳か大々的な発表会を催すこととなりました。かるたの原案を、あ~でもないこ~でもないとやってから半年以上が経過しています。


 今回の企画展まで発展したのは筆者の大学の30年近い後輩となる工藤菜央さんの尽力によるものです。「BIBLIO Baseball Artスペース」とあるように、神田神保町の古書店「BIBLIO」の店主小野さんが工藤を引っ張り込んでから物語は始まります。当ブログが解読している一リーグ時代のスコアブックは「BIBLIO」さんで購入したものであることはご存知のところです。


 正直なところ、最初はなんか胡散臭い話だなぁ~と思っていました(笑)。ところが、かるたの絵札を絵かきのたか橋ひろきさんが担当することになってから物語は具体化していきます。昭和野球かるたの「読み札」のほうは完成しましたが「絵札」となるとプロの絵かきが必要になります。読み札の意味は「昭和20年代野球倶楽部」のメンバーがレクチャーしていきました。千葉茂がカツカレーの元祖、スクールボーイ沢村栄治はデトロイト・タイガースのスクールボーイ・ローに由来する、榎本喜八の「長嶋、柔道で勝負しろ」は「相撲で勝負しろ」の間違いであったことが発覚したのは直前のことでした。


 懇親会は、野球生き字引の池井優・慶應義塾大学名誉教授(著作は「白球太平洋を渡る」、「ハロー、スタンカ、元気かい」等多数)、朝日新聞夕刊にメジャーリーグのコラムを連載している「世界一メジャーリーグに詳しい病理医」向井万起男さん(向井千秋さんのご主人、筆者の高校の先輩)、スポーツ報知の名物記者にしてJ.Sports大リーグ放送の解説者でもある蛭間豊章さん(スポーツ報知には筆者の大学時代の同期の記者もいます)の三巨頭によるトークショーで始まりました。とにかく面白かった!



 「昭和20年代野球倶楽部」には独立系の出版関係の方々もいらっしゃいます。筆者も定年まで5年を切りました。引退後は出版社を立ち上げて、あ~でもないこ~でもないとやってみようかと考えている今日この頃です(笑)。






*会場の打ち上げ。筆者以外は大半が芸術家の皆さんです。




*懇親会には60名ほどが参加されました。





*三巨頭+ワン。左から向井さん、池井先生、工藤さん、蛭間記者。




*写真は各氏のサイトからパクらせていただきました。ご了承ください。









 

16年 名古屋vs朝日 12回戦


10月25日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 4 0 0 0 1 5 名古屋 35勝38敗 0.479 西沢道夫 森井茂
0 0 0 1 1 0 0 0 0 2 朝日    22勝50敗1分 0.306 井筒研一 山本秀雄

勝利投手 西沢道夫 6勝10敗
敗戦投手 山本秀雄 5勝16敗
セーブ     森井茂 1

二塁打 (朝)坪内

勝利打点 芳賀直一 5


森井茂好リリーフ

 朝日は4回、一死後鬼頭政一が四球で出塁、伊勢川真澄は左飛に倒れるが岩田次男の中前打で一走鬼頭は三塁に達して二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて1点を先制する。

 朝日先発の井筒研一の前に4回まで無得点に抑えられてきた名古屋は5回、先頭の西沢道夫が四球で出塁、トップに返り石丸藤吉が送って一死二塁、古川清蔵が四球を選んで一死一二塁、朝日ベンチは井筒から山本秀雄にスイッチ、大沢清が四球を選んで一死満塁、服部受弘が中前に同点タイムリーを放って1-1、吉田猪佐喜は三振に倒れて二死満塁、芳賀直一の三塁内野安打で2-1と勝越し、岩本章、石丸進一が連続押出し四球を選んで4-1とする。

 朝日は5回裏、先頭の広田修三が四球で出塁、山本が中前打、室脇正信に代わる代打景浦賢一が右前打を放って無死満塁、トップに返り五味芳夫は遊飛に倒れるが坪内道則が押出し四球を選んで2-4と詰め寄る。続く鬼頭は三邪飛、伊勢川も三ゴロに倒れて追加点はならず、ここが勝負の分かれ目であった。

 名古屋は9回、一死後吉田が四球で出塁、芳賀は二飛に倒れて二死一塁、吉田が二盗を試みるとタイミングはアウトであったがキャッチャー伊勢川からの送球を二塁ベースカバーのショート五味が後ろに逸らす間に吉田は三塁ベースを蹴ってホームに駆け込み5-2とダメ押す。

 名古屋先発の西沢道夫は6回、先頭の岩田を四球で歩かせ、戸川信夫にピッチャー強襲ヒットを許して無死一二塁、名古屋ベンチはここで西沢を下げて森井茂をマウンドに送り込み、広田を投ゴロ、山本も投ゴロ、戸川須賀男に代わる代打内藤幸三を二飛に打ち取りピンチを切り抜ける。


 森井茂が許したヒットは9回に坪内に打たれた左中間二塁打だけ、結局森井は4イニングを1安打1四球2三振無失点に抑えて、当ブログルールにより今季初セーブを記録する。









 

2014年6月22日日曜日

16年 阪急vs名古屋 10回戦


10月23日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急     42勝29敗1分 0.592 笠松実
0 1 0 0 1 0 0 0 X  2 名古屋 34勝38敗 0.472 村松幸雄

勝利投手 村松幸雄 12勝8敗
敗戦投手 笠松実      9勝11敗

二塁打 (名)古川、吉田

勝利打点 なし

猛打賞 (名)古川清蔵 1


村松幸雄、不振の阪急を完封

 名古屋は初回、一死後古川清蔵の一ゴロをファースト森田定雄がエラー、大沢清が四球を選んで一死一二塁、しかし服部受弘の三ゴロが「5-4-3」と転送されてゲッツー。

 名古屋は2回、先頭の吉田猪佐喜が四球を選んで出塁、芳賀直一がセンター右にヒットを放って無死一二塁、キャッチャー日比野武からの二塁牽制に二走吉田はタッチアウト、岩本章は三振に倒れて二死一塁、石丸進一は投ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ、と思われたところ、ピッチャー笠松実が一塁に悪送球、白球がファウルグラウンドを転々とする間に一走芳賀が二塁、三塁を回ってホームに還り1点を先制する。

 名古屋は3回、先頭の石丸藤吉が四球を選んで出塁、古川が中前打を放って無死一二塁、大沢の一塁線送りバントを3回から森田に代わってファーストに入っている石井武夫が失して無死満塁、記録は犠打エラー、しかし服部のセカンドライナーに一走大沢は戻れず「4-3」と送られてゲッツー、吉田は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は4回、二死後石丸進一が二塁に内野安打、村松幸雄が四球を選んで二死一二塁、トップに返り石丸藤吉が三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は5回、先頭の古川が左中間に二塁打、大沢の二塁内野安打で無死一三塁、服部が左前にタイムリーを放ち1点を追加して2-0とする。吉田の右飛で二走大沢がタッチアップから三進して一死一三塁、しかし芳賀のピッチャーライナーに三走大沢が飛び出し「1-5」と送られてこの試合3回目のゲッツー。

 名古屋は5回まで毎回複数の走者を出したが3つの併殺を喫して2点止まり。大沢は“ライナーバック”の基本を忘れて二度飛び出して刺されている。


 しかし村松幸雄が阪急打線を牛耳り3安打3四球3三振で今季5度目の完封、12勝目をあげる。
 夏季シリーズに優勝した阪急は秋季シリーズに入って6勝9敗の負け越し、しかも完封負けが5回と全く打てなくなってしまった。夏季シリーズでは完封負けは1回しかなかったのですが・・・。







*村松幸雄は今季5度目の完封で12勝目をあげる。














 

2014年6月21日土曜日

16年 南海vs朝日 10回戦


10月23日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
6 0 1 0 0 0 0 3 0 10 南海 34勝37敗 0.479 川崎徳次
1 0 0 0 0 0 0 0 0  1  朝日 22勝49敗1分 0.310 野村高義 山本秀雄

勝利投手 川崎徳次 8勝15敗
敗戦投手 野村高義 0勝9敗

二塁打 (南)岡村、安井
本塁打 (南)前田 1号

勝利打点 木村勉 4


南海打線爆発

 南海は初回、国久松一、安井鍵太郎、岩本義行が3連続四球で無死満塁、村上一治の三ゴロで三走国久は本封、木村勉の遊ゴロをショート五味芳夫がエラーして1点を先制、木村には打点が記録される。岡村俊昭の右翼線二塁打で3-0、前田貞行が左前に2点タイムリーを放って5-0、川崎徳次の二ゴロで前田は二封、柳鶴震は四球、打者一巡して国久が中前にタイムリーを放ちこの回一挙6点。

 朝日は1回裏、先頭の五味が左前打で出塁、坪内道則の二ゴロで五味は二封、鬼頭政一が左前打、伊勢川真澄は三飛に倒れて二死一二塁、岩田次男が右前にタイムリーを放って1-6とする。

 朝日は2回から先発の野村高義に代えて山本秀雄をマウンドに送る。

 南海は3回、先頭の前田がレフトスタンドにホームランを叩き込んで7-1と突き放す。

 南海は8回、一死後6回の守備からセカンドに入ってプロ入り初出場を果たした北原昇が四球を選んで出塁、トップに返り国久の二ゴロをセカンド戸川信夫がエラー、安井が四球を選んで一死満塁、岩本が左前に2点タイムリーを放って9-1、村上は中飛に倒れるが木村が左前にタイムリーを放って10-1とする。

 川崎徳次は5安打1四球3三振の完投で8勝目をあげる。


 南海は一番から八番まで先発全員得点、九番の柳鶴震は得点を記録していないが代わりにセカンドに入った北原昇がプロ入り初得点を記録して全打順で得点を記録した。


 前田貞行がプロ入り初ホームランを放った。前田にとってプロ野球人生で唯一の本塁打であった。






*川崎徳次は5安打完投で8勝目をあげる。









*全打順で得点を記録した南海打線。


























 

16年 9月-10月 月間MVP



 今月は変則開催となっていますので9月20日~10月12日までの58試合を選考対象とさせていただきます。来月は10月23日から公式戦最終日の11月17日までとさせていただきます。



月間MVP

投手部門

 南海 神田武夫 1

 神田武夫は今月8試合に登板、69回を投げて6勝2敗4完封、防御率0.91、WHIP0.86、
奪三振率 2.48であった。当ブログでは神田のピッチングを「化けた」とお伝えしてきたところです。


 若林忠志は今月9試合に登板、67回を投げて6勝2敗1セーブ1完封、防御率1.21、WHIP0.93、奪三振率 2.82と健闘しましたが、神田の選出は順当なところでしょう。

 神田武夫は快速球投手と伝えられていますが、奪三振率 2.48を見ても分かるとおり決してバッタバッタと三振にとるタイプではない。技巧派と言われる若林の方が奪三振率は高いのです。





打撃部門

 黒鷲 中河美芳 1

 中河美芳は今月15試合に出場して60打数21安打5得点6打点3盗塁4四球、打率3割5分、出塁率3割9分1厘、長打率3割6分7厘、OPS0.758であった。中河の月間MVPは昭和14年3月以来二度目のこととなります。

 中河は当時のプロ野球選手ではよく見られたように大学に籍を置いていたことから徴兵拒否と見做されて憲兵隊に追われていました。人気選手であったことからスケープゴートにされたと言われています。中河は今シーズン終了後、「志願入隊」に追い込まれ戦死することとなります。今の状態で軍隊に行けば最前線に連れていかれることは分かっていたでしょう。死を覚悟した男の、最後の花道でした。


 森国五郎は今月14試合に出場して49打数15安打5得点2打点1盗塁4四球、打率3割6厘、出塁率3割5分8厘、長打率3割4分7厘、OPS0.706と健闘しました。森は主に九番に起用されていますが、当たっていたことから10月2日の大洋戦と4日の南海戦だけ二番に起用されました。この2試合では9打数1安打でしたが、九番に起用された12試合では40打数14安打で中河と同率の3割5分となります。参考記録として、「九番 森国五郎」も今月の月間MVPに付記させていただきます。森国五郎も今季終了後に応召し、戦死することとなります。





 

2014年6月20日金曜日

16年 第15節 週間MVP



 今節は阪神が4勝0敗、南海が3勝1敗、巨人が3勝1敗、名古屋が2勝2敗、阪急が2勝2敗、大洋が1勝2敗1分、朝日が0勝3敗1分、黒鷲が0勝4敗であった。


週間MVP

投手部門

 南海 神田武夫 3

 2試合連続完封で前節に続いて連続受賞。


 阪神 若林忠志 3

 今節3勝0敗で前節に続いて連続受賞。



 打撃部門

 阪神 カイザー田中義雄 1

 今節17打数6安打。10月11日の朝日戦では同点に追い付くホームスチールも決める。


 黒鷲 中河美芳 2

 今節15打数7安打。中河は投手部門でも2回受賞している。




殊勲賞

 南海 木村勉 1

 12日の黒鷲戦で決勝打に加えて2補殺を決める。


 阪神 土井垣武 2

 12日の大洋戦で決勝本塁打を放つ。


 南海 石田光彦 1

 11日の黒鷲戦で完封勝利を飾る。



敢闘賞

 阪神 森国五郎 1

 今節16打数5安打の活躍。


 巨人 中島治康 1

 今節17打数6安打の活躍。




技能賞

 阪急 森田定雄 1

 12日の巨人戦でトリプルプレーを完成した際のキープレイヤー






 

2014年6月19日木曜日

16年 巨人vs阪急 11回戦


10月12日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 巨人 52勝19敗2分 0.732 広瀬習一
0 0 0 0 0 0 0 1 X  1 阪急 42勝28敗1分 0.600 森弘太郎

勝利投手 森弘太郎 24勝7敗
敗戦投手 広瀬習一   5勝2敗

二塁打 (巨)平山 (急)森田、井野川

勝利打点 井野川利春 1


三重殺

 阪急打線は巨人先発の広瀬習一に手も足も出ず5回まで無安打。6回、二死後西村正夫がレフト線にチーム初ヒットを放つがフランク山田伝は投ゴロに倒れる。7回も三者凡退。

 一方、巨人打線は阪急先発の森弘太郎を打ちまくり2回を除いて毎回安打で7回までに6安打を放つ。

 試合のターニングポイントとなったのは6回巨人の攻撃であった。この回先頭の白石敏男が左前打で出塁、水原茂は四球を選んで無死一二塁、千葉茂のピッチャー返しは痛烈なライナーとなって森弘太郎を襲ったが地上スレスレでキャッチ、一塁に送球して水原は封殺、ファースト森田定雄が二塁に送球しショート田中幸男が二塁ベースに入って二走白石も封殺、トリプルプレーが完成する。

 7回まで1安打無得点の阪急は8回、一死後森田が左中間に二塁打、伊東甚吉に代わる代打井野川利春監督がレフト線に二塁打を放って均衡を破り1-0とする。


 森弘太郎は8回、9回と巨人の攻撃を三者凡退に抑え、7安打1四球5三振で今季9度目の完封、24勝目をあげる。


 広瀬習一は阪急打線を3安打2四球2三振1失点位抑えたが8回の連続二塁打に泣いた。







*森弘太郎は今期9度目の完封で24勝目をあげる。














*巨人6回の攻撃で記録されたトリプルプレー。