2014年3月1日土曜日

16年 黒鷲vs大洋 7回戦


8月2日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 黒鷲 14勝30敗 0.318 中河美芳
0 0 4 0 0 0 0 0 X 4 大洋 28勝16敗 0.636 長尾貞利 野口二郎

勝利投手 長尾貞利 1勝1敗
敗戦投手 中河美芳 3勝4敗
セーブ     野口二郎 2

本塁打 (大)古谷倉之助 1号

勝利打点 古谷倉之助 3

ファインプレー賞 (大)苅田久徳 5、山川喜作 1 


古谷倉之助、グランドスラム

 1回、2回とスコアリングポジションに走者を進めながら無得点だった大洋は3回、先頭の苅田久徳がストレートの四球で出塁、続く西岡義晴もワンスリーから四球を選んで無死一二塁、濃人渉が送って一死二三塁、石井豊は浅い左飛に倒れて二死二三塁、森田実がワンスリーから四球を選んで二死満塁、古谷倉之助のカウントはツースリーとなり、ピッチャー中河美芳が投じたストレートを捕えた古谷のバットが一閃、打球はレフトスタンドに飛び込み満塁本塁打となった。

 黒鷲は4回、先頭の山田潔が左前打で出塁、玉腰忠義も左翼線にヒットを放って無死一二塁、富松信彦が四球を選んで無死満塁、木下政文が押出し四球を選んで1-4、ここで殊勲の満塁ホームランを放った大洋先発の古谷倉之助はマウンドを降りてベンチに下がる。二番手の長尾貞利に中河が三ゴロに打ち取られ一走木下が二封される間に三走玉腰が還って2-4としてなお一死一三塁、ここで中河がディレードスチールを試み一二塁間に挟まれるが三走富松は動けず「2-4-3-4」と渡って中河はタッチアウト、ここは三塁ランナーを牽制しながらのセカンド苅田の挟殺プレーが光った場面です。苅田が中河を追い詰めていったのならファースト石井に送球してそのまま一塁ベースカバーに入るので「2-4-3-6」となるはずですが、三走冨松を牽制しながら中河を追っていた苅田は深追いせずに石井に送球し、折り返しの転送を受けて中河にタッチしたものと考えられます。スコアカードからでもこういうプレーが読み解ける。続く菅利雄は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。


 8回まで長尾に無安打に抑えられてきた黒鷲は9回、先頭の玉腰が四球を選んで出塁、富松に代わる代打金子裕も四球を選んで無死一二塁、大洋ベンチはここで好投を続けてきた長尾に代えて切り札野口二郎を投入、野口の二塁牽制が悪送球となり二者進塁して無死二三塁と一打同点のチャンス、しかし木下のピッチャーライナーに三走玉腰が飛び出し「1-5」と送られてあっという間にダブルプレー、最後は中河が遊ゴロに倒れて試合終了。


 大洋二番手の長尾貞利は5回3分の0を投げて無安打3四球4三振無失点の好投で今季初勝利をあげる。長尾は今季12試合に登板し1勝2敗の成績を残して球界を去ることになるのでこの試合がプロ野球人生最後の勝利投手となります。昭和15年4月のデビュー当時もショートリリーフで好投を続けたことは以前お伝えしたとおりです。「長尾貞利」でグーグル検索すると上位に2012年9月16日付けブログ「15年 タイガースvs金鯱 4回戦 」が表示されますのでご確認ください。


 古谷倉之助の満塁本塁打がこの試合の全てでした。古谷は4回に1点取られてベンチに下がっていますがファーストに回る手もある。大洋はこのところファーストの石井豊を四番で起用しています。苅田グラウンド監督としては石井のプライドを優先させたのでしょう。大洋は昨年までの金鯱と翼(旧セネタース)が合併して総監督が石本秀一、苅田久徳はグラウンド監督として指揮をとっています。









     *二番手として好投を見せた長尾貞利は野口二郎のリリーフを仰いだもののプロ人生最後の勝利を飾る。













            *古谷倉之助がグランドスラムを放った大洋打線。














          *古谷倉之助が3回の第二打席で満塁弾を放った場面。














*古谷倉之助は戦後はプロには復帰せず、昭和24年の第20回都市対抗野球大会に全豊岡のピッチャーとして出場している。(毎日新聞社発行「都市対抗野球大会60年史」より)










 

0 件のコメント:

コメントを投稿