2013年11月30日土曜日

16年 巨人vs大洋 2回戦


5月20日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 巨人 17勝6敗 0.739 中尾輝三
0 0 2 0 0 0 0 0 X  2 大洋 17勝9敗 0.654 野口二郎

勝利投手 野口二郎 11勝2敗
敗戦投手 中尾輝三   4勝2敗

勝利打点 濃人渉 2

ファインプレー賞 (大)野口二郎 1 (巨)白石敏男 2、水原茂 5


野口二郎、今季4回目の完封

 大洋は初回、苅田久徳は遊ゴロに倒れるが中村信一が中前打、続く濃人渉の遊ゴロをショート白石敏男が鮮やかに逆シングルで捌いて中村を二封、濃人の二盗をキャッチャー吉原正喜が刺してスリーアウトチェンジ。

 大洋は3回、一死後織辺由三が四球を選んで出塁、トップに返りぷ苅田もツーナッシングと追い込まれながら粘って四球を選び一死一二塁、中村もツースリーから四球を選んで一死満塁、濃人が左翼線にタイムリーを放って2点を先制する。

 巨人先発の中尾輝三は4回以降大洋打線を無安打に抑える。


 昨日の阪神戦では打者一人で降板し、満を持しての登板となった野口二郎は巨人打線を4安打に抑える。3回から6回まで無安打で5奪三振、千葉茂に四球を与えたが千葉の二盗をキャッチャー佐藤武夫が刺しており3人ずつで片付ける。

 野口二郎は4安打1四球7三振で今季4度目の完封、11勝目をあげて単独ハーラートップに躍り出た。中尾輝三も8回まで完投して大洋打線を2安打に抑えたが味方の援護なく2敗目を喫した。








               *野口二郎は今季4度目の完封で11勝目をあげる。








 

16年 阪急vs阪神(無効試合)


5月20日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6  計
0 0 0 0 0 2   2 阪急
0 0 2 0 0 0   2 阪神


ノーゲーム

 この試合を翌日の読売新聞は「“大物言い”再試合」の見出しで「日本野球聯盟特定規則は七回完了しない以前に中止となった時は無効競技となっている」と伝えている。この試合は公式記録としては残されていませんが、スコアカードは残っているので当ブログでは実況中継させていただきます。


 試合は午後1時ちょうど、阪急・浅野勝三郎、阪神・若林忠志の先発、主審・池田豊、塁審・倉信夫、島秀之助の三氏審判で開始された。

 阪神は3回、宮崎剛が左翼線に二塁打、皆川定之の送りバントが野選を誘い、カイザー田中義雄は一飛に倒れるがジミー堀尾文人が四球を選んで一死満塁、土井垣武の左翼線二塁打で2点を先制する。

 阪急は6回、先頭の西村正夫がストレートの四球で出塁、トップに返り黒田健吾も四球を選んで無死一二塁、キャッチャー土井垣からの二塁牽制が悪送球となって一死二三塁、フランク山田伝の中犠飛で1-2、上田藤夫の左翼線ヒットで二死一三塁、井野川利春の左前タイムリーで2-2の同点に追いつく。

 6回裏阪神の攻撃は一死一二塁のチャンスを迎えるが無得点、7回表阪急の攻撃で問題のシーンとなる。


 阪急は7回、先頭の日比野武が遊ゴロを放ちショート皆川からファースト田中に送られるが足が離れてセーフ、記録は田中のエラーとなって無死一塁、続く伊東甚吉の打席で一走日比野が二盗を試みるがタイミングはアウト、島秀之助塁審はアウトを宣告した。


 翌日の読売新聞によると「日比野は二盗を企てたが球は捕-遊と送られ時間的には問題のないアウトと見られ島塁審も直ちにアウトを宣告した。ところが三塁コーチ新富から落球したからセーフであると抗議が出たので島塁審は他の審判と協議して再びアウトを宣告したのだが阪急はこの裁断に服せず更に抗議を続けると島審判は一方的の説明を取り上げてセーフと宣告を変えた。今度は阪神満足せず逆に猛烈な抗議となった。・・・一度は日比野を一塁に戻して再開の提案(これは言語道断なり)となったが双方満足せず一時間余を空費して決せず遂に無効試合となり・・・」


 当の島秀之助著「白球とともに生きて ある審判員の野球昭和史」によると「・・・私には皆川が触球したあとのことは見えなかった。そこで私は、皆川に『君、落としたのか?』と訊いた。皆川は、私が法政時代にコーチに行った桐生中の出身だった。いわば教師と教え子の間柄だった。皆川は、そんな私に正直に「落としました」と答えた。私は、この年が審判員になって4年目だが、審判員としての経験という点では、まだまだの域を出ていなかった。皆川の答えを聞くと、すぐ私は『セーフ』と判定をくつがえした。自分の目で確認しなかったのに選手の声で判定をくつがえしたのは、まったく浅はかというほかなかった。」


 三人制審判の場合、走者一塁の時は三塁塁審が一塁と二塁を結ぶ線上の外野寄り、遊撃手の左側に位置する。日比野が滑り込んできて皆川と重なり合って倒れた時落球したのが事の真相のようである。後方に位置していた島秀之助には見えず、三塁コーチャーズボックスの新富卯三郎からは見えたのでしょう。


 島秀之助は翌日聯盟を訪れて河野安通志事務長に辞任を申し出た。しかし河野は「君はまだ4年目だ。君の先輩たちも同じような失敗を乗り越えてきたのだ。やめることはない。君の不手際に対してはペナルティーを課すが、これからもしっかりやってもらいたい」と島の辞任を認めなかった。島秀之助は後に名審判となり、野球殿堂入りする。








           *無効試合となった阪急vs阪神戦を伝える貴重なスコアカード。












        *問題のシーン











          *「雑記」欄












 

16年 黒鷲vs朝日 3回戦


5月19日 (月) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 黒鷲 7勝16敗 0.304 長谷川重一 亀田忠
0 1 1 0 0 1 0 0 X 3 朝日 8勝17敗 0.320 福士勇

勝利投手 福士勇 5勝9敗
敗戦投手 亀田忠 4勝8敗

勝利打点 灰山元章 1


福士勇、今季3度目の完封

 朝日は初回、坪内道則が中前打、五味芳夫も中前打で続いて無死一二塁、灰山元章の一ゴロは「3-1A」と送られて二者進塁、犠打は記録されていないので打って出ての一ゴロだったようです。鬼頭政一が四球を選んで一死満塁、黒鷲ベンチはここで早くも先発の長谷川重一から亀田忠にスイッチ、戸川信夫の右飛で三走坪内がタッチアップからホームを突くがライト小島利男からの返球にタッチアウト、村上重夫も一飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は2回、先頭の前田諭治が四球で出塁、福士勇が送って一死二塁、伊勢川真澄の遊ゴロの間に前田は三進、トップに返り坪内が四球から二盗、五味も四球を選んで一死満塁、灰山が押出し四球を選んで1点を先制する。

 朝日は3回、二死後前田が四球を選んで出塁、福士の右前打で前田が三塁に進み二死一三塁、ここで福士がディレードスチール、「2-4-3-6」の挟殺プレーの隙を突いて三走前田がホームに還り2-0とする。前田には盗塁は記録されていない。

 朝日は6回、一死後又も前田が四球で出塁、福士の遊ゴロをショート山田潔が失する間に前田が三塁に進み一死一三塁、伊勢川の遊ゴロの間に三走前田が還って3-0とする。

 福士勇は黒鷲打線を6安打に抑え、2四球1三振で今季3度目の完封を飾る。昨年の満州リーグで満州日日新聞の吉田要記者(満州リーグでは審判員も務めたかつての法政大学の投手)が昭和15年8月29日付け記事に「将来性のある投手としてライオンの福士を挙げたい。彼のフォームも大体に於て無理がなくドロップも大きいが、いたずらに早く投げる癖を脱してもう少し慎重に投球し球の配合を研究すれば好投手になる素質は十分有ると見た。」と書いている。福士の素質が開花してきたようです。走ってもトリックプレーを見せて2点目をアシストしました。


 前田諭治の活躍も見逃せない。4打席1打数1安打3得点3四球、3個の四球を選んで3度ともホームに還ってきて朝日の全得点を記録した。





                 *福士勇は今季3度目の完封、5勝目をあげる。








     *前田諭治は3個の四球を選んで3得点を記録した。















 

2013年11月28日木曜日

16年 名古屋vs南海 3回戦


5月19日 (月) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 名古屋 11勝14敗 0.440 河村章 西沢道夫
3 0 0 0 1 0 0 0 X 4 南海      9勝14敗 0.391 川崎徳次 石田光彦 神田武夫

勝利投手 石田光彦 2勝3敗
敗戦投手 河村章     6勝2敗
セーブ     神田武夫  1

本塁打 岩本義行 2号

勝利打点 村上一治 4


神田武夫、好リリーフ

 南海は初回、一死後猪子利男が三塁に内野安打、岩本義行は四球、鬼頭数雄の送りバントが野選を誘って一死満塁、村上一治の村上一治の左犠飛で1点を先制、ニ走岩本、一走鬼頭もタッチアップから進塁して二死二三塁、、岡村俊昭がセンター右に2点タイムリーを放ち3-0として試合の主導権を握る。

 名古屋は4回、一死後大沢清が四球で出塁、吉田猪佐喜の右前打で一死一二塁、服部受弘が中前にタイムリー、続く芳賀直一も中前にタイムリーで続き2点を返す。南海は先発の川崎徳次を諦めて石田光彦を投入、石田が木村進一を一飛、河村章を左飛に打ち取りスリーアウトチェンジ。

 南海は5回、先頭の岩本義行がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで4-2とする。

 南海は7回から三番手として神田武夫をマウンドに送り込み、神田は3イニングを1安打無失点に抑えた。


 本拠地中百舌鳥球場でのゲームとあって、南海は川崎徳次、石田光彦、神田武夫の三本柱を惜しげもなく注ぎ込み快勝。好リリーフを見せた神田にプロ入り初セーブが記録された。







 

2013年11月27日水曜日

16年 巨人vs阪急 2回戦


5月19日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 1 0 0 1 0 0 3  5 巨人 17勝5敗 0.773 澤村栄治 泉田喜義 中尾輝三
0 0 1 0 0 0 1 1 0  3 阪急 13勝10敗 0.565 笠松実 森弘太郎

勝利投手 泉田喜義 2勝1敗
敗戦投手 森弘太郎 8勝2敗
セーブ      中尾輝三 1

二塁打 (巨)川上

本塁打 水原 2号 (急)黒田 1号、井野川 1号

勝利打点 水原茂 3


ファインプレー賞 (巨)水原茂 4


水原茂、逆転ツーラン

 巨人は澤村栄治が5月1日以来の先発、阪急は笠松実で応戦する。

 巨人は2回、先頭の吉原正喜が四球で出塁、平山菊二は捕邪飛に倒れるが呉波が四球を選んで一死一二塁、澤村が左前打を放って一死満塁、しかし白石敏男は三振、水原茂は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。結果的に笠松が巨人打線に許したヒットは澤村の左前打1本となる。

 巨人は3回、先頭の中島治康が四球で歩くと二盗に成功、川上哲治の二ゴロで中島は三進、千葉茂も四球から二盗を決めて一死二三塁、吉原の右犠飛で1点を先制する。

 阪急は3回裏、一死後黒田健吾が左翼スタンドに同点ホームランを叩き込んで1-1の同点とする。翌日の読売新聞によると「腰の捻りが未だ十分でない澤村の直球は内角へ頻りと流れ込み・・・」とのことです。

 巨人は6回、先頭の千葉が四球で出塁、吉原は捕邪飛に倒れるが千葉茂が二盗、三盗を決め、平山四球で一死一三塁、呉が中犠飛を打ち上げて2-1と勝ち越す。

 阪急は7回、先頭の井野川利春がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで2-2とする。

 阪急は8回、先頭の笠松が四球で出塁、トップに返り黒田が送って一死二塁、フランク山田伝の遊ゴロで笠松が三塁に走りショート白石は三塁に送球するがセーフ、野選が記録されて一死一三塁、上田藤夫が二塁前にスクイズバントを決めて3-2と勝ち越す。巨人ベンチはここで先発の澤村を諦めて泉田喜義をマウンドに送る。山田が三盗を決めるが新富卯三郎は遊飛に倒れ、上田二盗から井野川は四球を選んで二死満塁、しかし山下好一は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急ベンチは8回まで巨人打線を1安打に抑えてきた笠松に代えて森弘太郎に9回ののマウンドを託す。笠松は被安打は1であったが四球を9個出していたのである。

 巨人は9回、一死後泉田に代わる代打永沢富士雄が三塁強襲ヒットを放つと代走に山本栄一郎を起用、トップに返り白石は中飛に倒れて二死一塁、ここで水原が起死回生の逆転ツーランホームランをレフトポール際に打ち込み4-3と逆転する。ところが阪急ベンチは「ファウルだぁ~」と猛抗議、試合は38分中断して再開される。ピッチャー森は肩が冷えて中島が左前打、川上が左中間を抜いて中島が還り5-3とする。

 巨人は9回から中尾輝三をマウンドに送り、中尾が阪急打線を三者凡退に抑えて当ブログルールによりセーブが記録される。

 決勝ホームランを放った水原茂が勝利打点に加え、6回の守備で見せたフランク山田伝の三ゴロを捌いたプレーに対してファインプレー賞が贈られた。


 試合開始は3時20分、38分間の中断を挟んで試合終了は5時45分、試合時間1時間47分であった。主審は島秀之助、塁審は横沢三郎と池田豊の三氏審判でした。この審判団は覚えておいてください。




     *水原茂が9回に逆転ツーランを放った場面。










*試合時間の前に「*」が付されており、雑記欄に中断38分を引いたと書かれています。この試合で島秀之助が主審を務めていたことが後の事件の引き金となりますので覚えておいてください。















 

2013年11月25日月曜日

16年 阪神vs大洋 4回戦


5月19日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  1  1  阪神 14勝10敗 0.583 三輪八郎 木下勇
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  0  大洋 16勝9敗 0.640 浅岡三郎 古谷倉之助 野口二郎 古谷倉之助

勝利投手 木下勇        5勝2敗
敗戦投手 古谷倉之助 2勝2敗

勝利打点 宮崎剛 2

ファインプレー賞 苅田久徳 2


松木謙治郎監督、決勝のホームを踏む

 阪神は三輪八郎が先発、大洋は明日巨人戦を控えており野口二郎を温存して浅岡三郎を先発させる。

 浅岡は絶妙のピッチングを見せて4回までパーフェクト。12個のアウトのうち遊飛が3個、二飛が1個記録されている。

 阪神は5回、一死後土井垣武の三ゴロをサード中村信一がエラー、松下繁二は中飛に倒れるが中田金一が右前打を放って二死一三塁、続く三輪の当りはスコアカードには「3.4-3」と記録されて「好守」も記載されている。想像するに、三輪の痛烈な一ゴロをファースト石井豊がミットに当て、セカンド苅田久徳がバックアップして一塁ベースに戻った石井に送球したものでしょう。

 大洋は6回から1安打ピッチングの浅岡をライトに回して古谷倉之助をマウンドに送る。古谷は6回を三者凡退で切り抜けるが、この投手交代が微妙に影響することとなる。

 阪神は7回、二死後土井垣がピッチャー強襲ヒット、松下が右翼線にヒット、中田が四球を選んで二死満塁、大洋ベンチは古谷をファーストに回して野口二郎をマウンドに送り込む。阪神は6回まで無失点の三輪に代えて松木謙治郎を代打に起用して勝負!、しかし野口が松木を三振に退けスリーアウトチェンジ。

 阪神は7回からキャッチャー土井垣に代えて木下勇を入れてピッチャー、代打に出た松木がファーストに入り、ファーストのカイザー田中義雄をキャッチャーに回す。

 大洋は8回から再び古谷をマウンドに戻し野口をファーストに回す。あくまで野口は明日の巨人戦に起用するようだ。

 古谷、木下の投げ合いで延長戦に突入、阪神は10回表、一死後松木が右前打、野口昇は三振に倒れるが、トップに返り皆川定之が四球を選んで二死一二塁、宮崎が中前に決勝タイムリーを放って1-0とする。松木をファーストに入れた松木監督の采配がズバリ的中した。

 木下勇は大洋の10回裏の攻撃を三者凡退に抑えて5勝目、阪神投手陣の勝ち頭となった。


 結局のところ、大洋の野口二郎温存策は失敗した。明日の巨人戦は野口で勝たなければならない。







                   *両チームが策謀を巡らせた継投策。














     *延長10回表に松木謙治郎監督が決勝のホームを踏んだ阪神打線。























 

2013年11月24日日曜日

16年 名古屋vs朝日 3回戦


5月18日 (日) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 2 1  0  3 名古屋 11勝13敗 0.458 森井茂 西沢道夫 村松幸雄
0 2 0 0 0 0 0 0 2X 4 朝日     7勝17敗 0.292 福士勇 山本秀雄

勝利投手 山本秀雄 3勝4敗
敗戦投手 西沢道夫 2勝6敗

二塁打 (朝)村上、伊勢川

勝利打点 村上重夫 2


ラッキーボーイ

 朝日は2回、先頭の戸川信夫が四球で出塁、前田諭治の一塁線送りバントで戸川は一気に三塁に進み、福士勇が右前に先制タイムリーを放って1-0、伊勢川真澄の中越え二塁打で福士が還り2-0とする。名古屋ベンチはここで先発の森井茂を下げて西沢道夫をマウンドに送る。

 朝日先発の福士は初回二死後大沢清に右前打を許した以降、2回から6回まで名古屋打線を無安打に抑えてきたが7回に捕まった。

 名古屋は7回、先頭の吉田猪佐喜が中前打、服部受弘が四球を選んで無死一二塁、芳賀直一が送って一死二三塁、石丸進一に代わる代打三浦敏一は三振に倒れるが、西沢が左前にタイムリーを放って二者を迎え入れ2-2の同点に追いつく。

 名古屋は8回、一死後大沢が四球で出塁、吉田は右飛に倒れるが大沢が二盗を決めて二死二塁、服部は四球を選んで二死一二塁、芳賀の中前打でニ走大沢が三塁ベースを蹴ってホームに突っ込みセンター坪内道則からのバックホームが逸れる間に生還して3-2と勝ち越し、記録はワンヒットワンエラーであった。

 名古屋は9回表、一死後木村進一が四球で出塁、トップに返り桝嘉一は左飛に倒れるが岩本章が右前打、大沢が四球を選んで二死満塁、朝日ベンチはここまで引っ張ってきた福士をマウンドから降ろして山本秀雄をリリーフに送り込み、吉田が三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋1点のリードで迎えた9回裏、朝日は先頭の戸川が四球で歩くと代走に五味芳夫を起用、前田も四球を選んで無死一二塁、山本の一塁線送りバントはファースト三浦がダッシュよく飛び出して三塁に送球しニ走五味は三封、一死一二塁となったところで名古屋ベンチは西沢に代えて村松幸雄をマウンドに送るが、伊勢川が右前にタイムリーを放って3-3の同点とし、一走山本は三塁に進んで一死一三塁、トップに返り坪内が四球を選んで一死満塁、村上重夫の左犠飛で三走山本がサヨナラのホームを駆け抜ける。
 山本秀雄は打者一人に投げただけで勝利投手となり3勝目をあげる。サヨナラのホームも踏んでラッキーボーイとなった。



 勝利打点はサヨナラ左犠飛の村上重夫に記録されたが「真の殊勲打」は2回にタイムリー二塁打と9回に同点打を放った伊勢川真澄となります。







            山本秀雄は一人に投げただけで勝利投手となった。











 

石原事件



 昨日のブログでは石原繁三の完封勝利を「プロ入り初勝利」とお伝えしていましたが石原は昭和11年に6勝を記録していますので「今季初勝利」の間違いでした。お詫びして訂正させていただきます。


 「石原事件」は岩手県立福岡高等学校 野球部創部100周年記念誌「陣場台熱球録」に詳しく掲載されています。


 昭和6年4月に川越中学から遠野中学に転校してきた石原繁三は野球強豪校ではなかった遠野では瞬く間にエースとなり、夏の岩手県大会準決勝で福岡中学と対戦することとなります。ところが試合開始前に福岡側から「転校間もない石原投手は出場資格がない」と抗議され、紛糾すること2時間、石原繁三の出場は認められず福岡が遠野を20対0で破ります。昭和6年当時は中等学校野球大会の人気が沸騰し、各地で選手の引き抜きが横行していました。石原繁三は父親の転勤の関係で成田中学-川越中学-遠野中学と転校しただけですが福岡中学の抗議が認められたのです。この試合に福岡中学で出場していた小田野柏は「石原投手が出てきたならば試合はどうなっていたかわからない。」とコメントしています。遠野中学は翌昭和7年に石原を擁して第18回全国中等学校優勝野球大会に出場することとなります。



 昨日は石原繁三が「遠野中学」出身と書かれている「連盟広報」をご紹介しましたが、昭和11年3月11日付け「読売新聞」に掲載されている「日本職業野球リーグ七チームのメムバー発表」には石原繁三の出身は「鉄道省」と記載されています。


 鉄道省から昭和11年にセネタース入りした石原はこの年6勝をあげて応召、昭和15年にセネタースから球団名が変わった翼でプロ野球の世界に復帰します。昭和16年4月3日付け読売新聞に掲載されている「日本野球の新陣容」では翼と金鯱が合併した大洋に所属していますが、1か月ほどの間に黒鷲に移籍してきたようです。剛球投手として鳴らし、昭和17年には20勝を記録することとなります。打線の援護があれば30勝投手になっていた可能性があると思いますがいかがでしょうか?


 平壌第一陸軍病院で戦病死したと伝えられている青柴憲一は「鎮魂の碑」に名前を連ねています。戦場から引き揚げてきて三日後に病死した(場所は別府説と下関説があるようです)と伝えられている石原繁三の名前が「鎮魂の碑」に見られないのはどういう理由からでしょうか。








 

2013年11月23日土曜日

16年 黒鷲vs南海 2回戦


5月18日 (日) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 2 0 0 0  2 黒鷲 7勝15敗 0.318 石原繁三
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 南海 8勝14敗 0.364 石田光彦 川崎徳次

勝利投手 石原繁三 1勝0敗
敗戦投手 石田光彦 1勝3敗

勝利打点 中河美芳 3


石原繁三、今季初勝利

 5回まで3安打無得点の黒鷲は6回、先頭の寺内一隆の遊ゴロをショート前田貞行がエラー、富松信彦が一二塁間を破り、小島利男は四球を選んで無死満塁、南海ベンチはここで先発の石田光彦から川崎徳次にスイッチ、サム高橋吉雄は一飛に倒れるが中河美芳の三ゴロをサード安井鍵太郎が二塁に送球して一走小島は二封、セカンド猪子利男が一塁に悪送球する間に三走寺内に続いて二走富松も生還して2点を先行する。これが決勝点となった。中河には打点が記録されているので勝利打点も記録される。

 石原繁三は南海打線を3安打に抑え、3四球2三振で今季初勝利を完封で飾る。

 石原の出身校は遠野中学ですが成田中学、川越中学と転校を繰り返したようです。岩手県立福岡高校の野球部創設100周年記念誌「陣場台熱球録」76ページによると昭和6年に川越中学から遠野中学に転校してきたとのことです。これが「石原事件」を引き起こすきっかけとなりました。戦場から戻って3日後に亡くなったと伝えられており「戦病死」ではないかと考えられますが「鎮魂の碑」には奉られていません。









                 *石原繁三は今季初勝利を完封で飾る。


 
 
 
 
 
 

 
*昭和11年5月25日発行「連盟広報」第二号には昭和11年の登録選手が紹介されており、石原繁三の出身校は遠野中学となっています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

24年ぶり



 田中の満票ベストナインはパ・リーグの投手では1958年の稲尾、89年の阿波野以来3人目とのことです。


 58年の稲尾は「神様、仏様」の年で杉浦も新人でしたので何となく分かりますが阿波野は意外な感じがしたものです。確かに当時の阿波野のキレは最高でしたね。


 89年の前年となる88年は球史に残る「10.19」の年です。以前勤めていた会社で前橋支店に勤務していた時でした。夕方に第一試合が始まったのはフロアのテレビで見ていました。残業が終わって家に帰ると既にニュースステーションの時間でしたが久米宏が「この試合を中継しない訳にはいきません!」と絶叫しながらニュースステーションを中断して川崎球場から「10.19」を中継していました。第二試合は近鉄が1点リードしてこのまま逃げ切れば優勝という場面で第一試合に続いて阿波野がリリーフに出ます。高沢への投球は内角へのスライダー、体に当たりそうなコースに来ましたが高沢が腰を引いて逃げるのではなくバットを内側に引きながら右回転して避けたシーンを見て「ボールが見えてるな」と直感しました。この時高沢が阪急の松永と激しく首位打者を争っていたことも知っていました。案の定、次の外角球をレフトスタンドにホームラン、同点となって近鉄の夢が潰えたことはご存知のとおりです。



 人気ではライバルの西崎に一歩譲っていたかもしれませんし、活躍期間も短かったのですが、阿波野が球史に残した印象は満票ベストナインに相応しいものでした。




     *阿波野のサインカードは西崎と並べて見るべきでしょう。











 

2013年11月20日水曜日

故障



 パソコンが故障してしまい、今週はアップできそうにありません。こちらの稿は3年ぶりに動かしたビスタからお送りしています。

 
 「アメリカ野球学会 東京支部」にM様からコメントをいただいておりますが、返信することができません。当ブログは常連の読者の方々に支えられております。今後も、事実に基づいた実況中継を続けていきますので、見捨てないでよろしくお願いいたします(笑)。

2013年11月19日火曜日

The Long And Winding Road



 本日は東京ドームのポール・マッカートニーに行ってきましたので実況中継はお休みさせていただきます。


 一番聴きたかった「The Long And Winding Road」は中学時代に和約を試みましたが途中で諦めた思い出があります。

 当ブログの道程も The Long And Winding Road となりそうですが、今度は諦めるわけにはいきません。昭和24年の実況中継まで末永くお付き合いください。












2013年11月18日月曜日

16年 巨人vs阪神 3回戦


5月18日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 0 0 0 3 1 0 0  5 巨人 16勝5敗 0.762 須田博
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪神 13勝10敗 0.565 若林忠志 藤村隆男 松本貞一

勝利投手 須田博   10勝2敗
敗戦投手 若林忠志 3勝5敗

二塁打 (巨)千葉、須田 (神)堀尾

勝利打点 千葉茂 1

ファインプレー賞 (巨)水原茂 3


須田博、今季4度目の完封

 巨人は須田博、阪神は若林忠志と両エースの先発で午後3時ちょうど、池田豊主審の右手が上がりプレーボール。

 巨人は初回、一死後水原茂が中前打で出塁、中島治康も中前打、川上哲治は左飛に倒れるが、千葉茂が右翼線に二塁打を放って1点を先制する。

 須田は快調に飛ばして5回まで阪神打線を野口昇の左前打1本に抑える。

 巨人は6回、先頭の中島がピッチャー強襲ヒット、川上がセンター右にヒットを放って無死一二塁、千葉が四球を選んで無死満塁、吉原正喜が左前にタイムリーを放って2-0、平山菊二の投ゴロは「1-2-3」と転送されてダブルプレー、二死二三塁から須田が止めの二塁打を左中間に放って4-0とする。若林としては折角ゲッツーでピンチを切り抜けたと思ったところで須田に痛打を浴びたのは痛い。

 阪神は7回から若林に代えて藤村隆男をマウンドに送る。

 巨人は7回、先頭の白石敏男が四球で出塁、水原は三塁に内野安打、中島が四球を選んで無死満塁、川上の二ゴロで三走白石は本封、千葉の遊ゴロの間に三走水原が還って5-0とする。

 リードすると須田は手を抜く。6回は先頭の宮崎剛に右前打を許し、7回も先頭のジミー堀尾文人に左翼線ヒット、一死後松下繁二に変わる森国五郎に左前打、8回は二死後松木謙治郎に右前打、皆川定之に四球、9回も先頭の堀尾に左中間二塁打と、5回までとは打って変わり毎回ヒットを許すが要所を締めて結局完封。6安打2四球7三振であった。


 阪神は8回から松本貞一がプロ入り初登板、2イニングを無安打1四球無三振無失点に抑えて無難なデビューを飾った。









*須田博は阪神打線を6安打に抑えて今季4度目の完封、10勝目をあげてハーラーダービートップを行く野口二郎に並んだ。
















 

2013年11月17日日曜日

アメリカ野球学会 東京支部




 昨日は「アメリカ野球学会 東京支部」の会合に初参加させていただきました。学会だけあってアカデミックな話題もありますが、生粋の“野球好き”の集まりということで懇親会まで野球の話題満載のまま時が経過していきました。毎回発表者が「発表」を行うのが恒例のようで、次回の「発表」役を仰せつかりました。これまで当ブログが調べてきた「知られざる記録」をテーマにする予定です。


 神保町の古書店「BIBLIO」で昭和12年~24年の公式スコアブックを手に入れたことをきっかけに当ブログを開設し、「野球の記録で話したい」のH氏と知り合ったことにより交流の輪が広がり、「BIBLIO」の店主O氏が主宰する「昭和20年代野球倶楽部」に参加させていただき、このような中で知り合ったスポーツ報知のH記者のお誘いで「アメリカ野球学会 東京支部」にも参加させていただきました。初めてお会いする方にも「あのブログの人ですか」と言われることも多くなってきました。


 今後も新たな展開が待っているのかもしれません。






 

2013年11月16日土曜日

16年 阪急vs大洋 4回戦


5月18日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急 13勝9敗 0.591 森弘太郎
0 0 0 0 0 0 0 2 X  2 大洋 16勝8敗 0.667 浅岡三郎 野口二郎

勝利投手 野口二郎 10勝2敗
敗戦投手 森弘太郎   8勝1敗

二塁打 (急)黒田

勝利打点 中村信一 2

ファインプレー賞 (大)森田実 2


中村信一決勝打

 大洋先発の浅岡三郎は3回まで毎回走者を出しながら何とか持ちこたえてきた。

 阪急は4回、先頭の山下好一の三ゴロを名手高橋輝彦がエラー、日比野武が送って一死二塁、大洋ベンチはここで浅岡をあきらめて切り札野口二郎を投入する。森田定雄は二飛、伊東甚吉は四球を選ぶが森弘太郎は三振、ここは大洋の継投策が効を奏す。

 野口はその後無失点のピッチングを続ける。一方、阪急先発の森弘太郎も7回まで3安打無失点で切り抜け、試合は8回に進む。

 大洋は8回、先頭の織辺由三が三塁線にセーフティバント、森がマウンドを降りて白球拾い上げると一塁に送球するがこれが悪送球となって打者走者の織辺は二塁に進む。記録はワンヒットワンエラー。トップに返り苅田久徳が右前打を放って無死一三塁、中村信一が左前にタイムリーを放って1点を先制してなお無死一二塁、濃人渉の三ゴロをサード黒田健吾がそのままベースを踏んで二走苅田は三封、黒澤俊夫の一ゴロで二者進塁して二死二三塁、森田実が右前にタイムリーを放って2-0、二走濃人も三塁ベースを蹴ってホームに向かうがライト新富卯三郎からのバックホームにタッチアウト。

 リリーフの野口二郎は5回3分の2を投げて4安打1四球5三振無失点、10勝一番乗りを果たす。


 大洋のスタメンサードは高橋輝彦であったがその高橋が4回にエラーを犯すと6回の第三打席で中村信一が代打に送られそのままサードに入った。その中村が8回に決勝打を放って勝利打点を記録したものです。










                  *好リリーフの野口二郎は10勝一番乗り。














     *高橋輝彦に代わって途中出場した中村信一が8回に決勝打を放った場面。









 

予想的中!



 当ブログの予想どおり、アメリカン・リーグMVPはミゲール・カブレラ、ナショナル・リーグMVPはアンドルー・マカッチェンが選出されました。ア・リーグはクリス・デビースが本塁打・打点の二冠王、ナ・リーグもポール・ゴールドシュミットが本塁打・打点(本塁打はアルバレスとトップタイ)の二冠王に輝いていますので、数字にしか興味のない方にはこの結果が理解できないかもしれません。「三冠への道 2013」シリーズを読み返していただければ分かるとおり、当ブログでは早い時期から二人のMVPを予想してきました。何故当ブログの予想は当たるのでしょうか?


 当ブログは数字には興味はありません。その選手が見せるプレーぶりにしか興味がないのです。


 ミギーとクリス・デービスのバッティングを比較した場合、ミギーの懐が深く柔らかく力強いスウィングに比べて、クリス・デービスの一見柔らかく見えるスウィングがひとつ間違えるとタイミングが外れるリスクがあることを早期に指摘させていただきました。筆者は野球を45年ほど見てきていますので、この違いを見分けるのは経験によるものとしかお伝えできないのですが、見れる方にはご理解いただけると思います。終盤戦のクリス・デービスはそれまでの左右に打ち分けるバッティングから、恐らく打率が下がってきたことによる焦りに起因するものと推測されますが引っ張るバッティングに変わってしまったこともお伝えしてきたとおりです。


 ゴールドシュミットのスウィングが「軸がぶれる」というのも早期に指摘させていただきました。マカッチェンのバッティングも基本的には好きではありませんが、アグレッシブな守備ぶりと、何と言っても20年連続負け越してきたパイレーツをプレーオフ進出まで引っ張ってきた力を評価してきたものです。




 現在、日本における大リーグ中継はNHK(BS)が寡占状態となってしまい、日本人選手所属チーム以外の中継は全く(と言っていいでしょう)されません。スカパーのメジャー・リーグ中継も以前は30球団を公平に中継していましたが現在はミニNHK化してしまっています。筆者も数年前にスカパーの契約は解除しました。筆者の予想が当たる要因は、MLB.comの画像で30球団をチェックしているからとも言えます。客観的評価を行うためには、評価する分母を共通化しなくてはなりません。分母を日本人選手所属チームに限定してしまうと、客観的評価は物理的に不可能となります。


 本日の記述が後出しジャンケンでないことは「三冠への道 2013」シリーズが証明しておりますので是非読み返してみてください。














 

2013年11月15日金曜日

16年 阪神vs大洋 3回戦


5月14日 (水) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪神 13勝9敗 0.591 木下勇 三輪八郎
0 0 0 0 0 0 2 0 X 2 大洋 15勝8敗 0.652 野口二郎

勝利投手 野口二郎 9勝2敗
敗戦投手 木下勇     4勝2敗

二塁打 (神)皆川

勝利打点 古谷倉之助 2


古谷倉之助、2試合連続決勝打

 阪神は初回、先頭の皆川定之が右前打で出塁、宮崎剛の送りバントは投飛となって失敗、カイザー田中義雄も中飛に倒れるが、松木謙治郎の中前打で皆川が三塁を陥れて二死一三塁、ジミー堀尾文人が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 大洋も初回、先頭の苅田久徳が中前打で出塁、二死後黒澤俊夫の右前打で一三塁とするが黒澤が二盗に失敗してスリーアウトチェンジ。

 大洋は7回、先頭の森田実が右前打で出塁、森田が二盗を決めて無死二塁、野口二郎の一塁線バントが内野安打となって無死一三塁、石井豊の三ゴロで三走森田は動かず野口が二進して一死二三塁、ここで佐藤武夫に代わる代打古谷倉之助が左前に逆転の決勝タイムリーを放ち2-1とする。

 阪神は2回以降も野口からヒットを奪い合計10安打を放ったが要所を抑えられて追加点は奪えず惜敗した。


 野口二郎は10安打2四球7三振の完投で9勝目をあげてハーラートップの須田博に並んだ。
 古谷倉之助が12日の南海戦に続いて2試合連続となる決勝打を放った。週間MVPはほぼ確定でしょう。











       *野口二郎は阪神打線に10安打を許したが2四球7三振の完投で9勝目をあげる。
















     *7回に古谷倉之助が代打逆転決勝打を放った場面。















 

2013年11月14日木曜日

大健闘



 クレイグ・キンブレルは39票を集めてナショナル・リーグのサイ・ヤング賞投票で4位タイに入りました。当ブログはサイ・ヤング賞と予想させていただきましたが大健闘と言えるでしょう。昨年1票入った一位票こそゼロ票でしたが、二位票が4票、三位票が1票、四位票が8票、五位票が4票で39得点を集めたのです。両リーグでリリーバーとして得点したのはキンブレルと上原だけですが、上原はアメリカン・リーグで二位票が1票、三位票が2票で10得点でした。


 キンブレルの球筋を評価しているのは当ブログだけでなく、多くの全米スポーツ記者も同様の評価をしていることが確認できました。「三冠への道 2013 ⑭」で「全米記者諸君の炯眼に賭けてみます」と書かせていただきましたが、見事に期待に応えてくれました。「同 ⑰」で「カーショウがサイ・ヤング賞、キンブレルがMVP」と書かせていただいたとおりの結果が矢張り一番座りが良かったのではないかと考えます。



 ナ・リーグはクレイトン・カーショウが一位票29票、二位票1票の207得点でサイ・ヤング賞、アダム・ウウェインライトが一位票1票、二位票15票、三位票4票、四位票1票、五位票5票で86得点でした。
 

 ホゼ・フェルナンデスが二位9票、三位3票、四位5票、五位7票で62得点、キンブレルは上記のとおり39得点、マット・ハービーが二位1票、三位8票、四位4票、五位3票で39得点、クリフ・リーが三位6票、四位6票、五位2票で32得点、ジョーダン・ジマーマンが三位6票、五位3票で21得点、ザック・グレインキーが三位2票、四位4票、五位4票で18得点、マジソン・バムガーナーが四位1票、五位1票で3得点、フランシスコ・リリアーノが四位1票、五位1票で3得点という結果でした。


 ア・リーグはマックス・シャーザーが一位票28票、二位票1票、三位票1票の203得点でサイ・ヤング賞、ダルビッシュ有が二位票19票、三位票3票、四位票1票、五位票6票で93得点でした。

 岩隈が二位6票、三位12票、四位6票、五位1票で73得点、アニバル・サンチェスが一位1票、二位1票、三位3票、四位9票、五位8票で46得点、クリス・セールが一位1票、二位0票、三位5票、四位8票、五位6票で44得点、バートロ・コロコロ(失礼!)ではなくコロンが二位2票、三位3票、四位1票、五位6票で25得点、上原は上記のとおり10得点、フェリックス・ヘルナンデスが三位1票、四位1票、五位1票で6得点、マット・ムーアが四位2票で4得点、グレグ・ホランドが四位1票、五位2票で4得点、ジェームズ・シールズが四位1票で2得点という結果でした。


 なお、得票結果はMLB.comから転載させていただいております。同サイトには間違いが散見され、何より筆者の転記ミスが考えられますので明日のスポーツ新聞等でご確認ください。









 

16年 名古屋vs南海 2回戦


5月14日 (水) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 名古屋 11勝12敗 0.478 河村章
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 南海       8勝13敗 0.381 石田光彦 神田武夫

勝利投手 河村章     6勝1敗
敗戦投手 神田武夫 5勝5敗

二塁打 (南)鬼頭

勝利打点 なし


決勝重盗

 名古屋先発の河村章は5回まで南海打線を無安打に抑える。

 南海は6回、一死後安井鍵太郎がチーム初ヒットを左前に運び、岩本義行は中飛に倒れるが、鬼頭数雄が左中間を抜いて安井を還し1点を先制する。

 南海先発の石田光彦は6回まで名古屋打線を2安打に抑えて無失点。7回、先頭の吉田猪佐喜を三振に打ち取るが、服部受弘、芳賀直一に連続四球を出したところで神田武夫と交代、キャッチャー木村勉が一走芳賀を牽制で刺し、神田が石丸進一を投ゴロに打ち取り無失点で切り抜ける。

 名古屋は8回、先頭の河村が四球で出塁、木村進一が送って一死二塁、トップに返り桝嘉一が左前打を放って一死一三塁、岩本章の二ゴロをセカンド国久松一が失する間に三走河村が還って1-1の同点、大沢清の二ゴロで岩本が二封されて二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて三走桝が生還、これが決勝点となった。

 自ら同点のホームを踏んだ河村章は8回、9回の2イニングで3三振を取奪う力投を見せ、3安打4四球5三振の完投で6勝目をあげる。

 両チーム3安打ずつの投手戦、粘りのピッチングを見せた河村に凱歌が上がり、南海は神田投入が裏目に出た。


 名古屋の決勝点は三走桝嘉一、一走大沢清によるダブルスチールによるものであった。大沢は一部で鈍足と伝えられているようですが、スコアカードをめくっていくと鈍足とは思えません。実際、昭和14年には13盗塁、15年は18盗塁、戦後も24年の東急では10盗塁、28年の広島でも11盗塁を記録しています。










                 *河村章は3安打完投で6勝目をあげる。










   *8回に三走桝嘉一と一走大沢清がダブルスチールを決めた場面。「O’」が盗塁です。












 

2013年11月13日水曜日

16年 阪急vs黒鷲 3回戦


5月14日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 4 0 1 0 0 5 阪急 13勝8敗 0.619 橋本正吾
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 黒鷲 6勝15敗 0.286 長谷川重一 金子裕

勝利投手 橋本正吾 2勝0敗
敗戦投手 長谷川重一 2勝6敗

二塁打 (急)日比野

猛打賞 (急)日比野武 1


橋本正吾、プロ入り初完封

 阪急は5回、一死橋本正吾が死球を受けて出塁、トップに返り黒田健吾が四球を選んで一死一二塁、フランク山田伝の投ゴロをピッチャー長谷川重一が二塁に悪送球して一死満塁、上田藤夫がスクイズを決めて1点を先制、新富卯三郎が四球を選んで二死満塁、中島喬が押出し四球を選んで2-0、日比野武が左前に2点タイムリーを放って4-0とする。

 阪急は7回、二死後新富が佐藤武夫黒鷲スタンドにホームランを叩き込んで5-0とする。

 上田藤夫が決めた決勝スクイズの場面を翌日の読売新聞は「一塁のコーチ井野川監督からサインが飛んで」伝えている。井野川利春は一塁コーチャーズボックスから指揮をとっていたことが分かります。阪急はこの試合で今季13勝目をあげましたが、その内5勝はスクイズにより勝利打点を記録しています。

 橋本正吾は黒鷲打線を3安打に抑え、3四球2三振でプロ入り初完封、2勝目をあげる。橋本は今季6勝をあげることとなりますがその内4勝を完封が占めています。その最初の完封勝利が本日のこととなります。


 橋本は昭和17年で戦場に赴き、生き延びて日本に還ってきますが戦後はプロには復帰せず、広島鯉城園から昭和21年の都市対抗野球に出場することとなります。








                *橋本正吾は3安打完封で2勝目をあげる。










*昭和21年に広島代表として都市対抗野球に出場した鯉城園のメンバー。当ブログでお馴染の濃人渉、倉本信護、平桝敏男、広田修三などの名前と共に先発投手として橋本正吾も名前を連ねています。





















 

三冠への道 2013 第24回



 いよいよ発表が近付きましたので最終予想を発表させていただきます。


 ナ・リーグのサイ・ヤング賞はクレイグ・キンブレルの予想を変えるつもりはありません。最終候補の三人から漏れたという事は既に結果は分かっている訳ですが、今季のクレイトン・カーショウには一昨年程のキレを感じておりませんので、カーショウで決まりであるとは思いますが当ブログは玉砕覚悟でキンブレルでいきます。


 ア・リーグのサイ・ヤング賞はダルビッシュ有は厳しそうです。マックス・シャーザーでしょう。来季は同僚になる可能性が報じられています。


 ナ・リーグMVPはアンドルー・マカッチェンと予想します。ア・リーグMVPはミゲール・カブレラでしょう。



 という訳で、これまでの予想を変えるつもりは毛頭ありません。別にクレイトン・カーショウが嫌いなわけではなく、むしろ一昨年のシリーズを読んでいただければ分かるように日本では最も早く当ブログがカーショウを評価していました。マカッチェンとゴールドシュミット程度でMVPを争うような現在の低レベルなナショナル・リーグで好成績をあげても当ブログは評価する気にはなれません。6年前であれば、ライアン・ハワードとアルバート・プホルスが君臨し、マーリンズ時代のミゲール・カブレラがタイトル争いに加われなかった訳ですが、そして誰もいなくなった現在が悲惨な状況になっていると考えているのは当ブログだけなのでしょうか?そのカブレラが移ってきて毎年タイトルを獲得して2年連続MVPとなるア・リーグの悲惨さは更に輪をかけているとも言えるでしょう


 当ブログは大リーグ10年周期説を信じています。大リーグ史上最も面白かった80年代から、人気が離散した90年代を経て、00年代は見事に復活した訳ですが、00年代のスーパースターが金まみれ、薬漬けで没落した10年代は低迷のサイクルに入っていると見ています。そろそろ2010年代プレイヤー・オブ・ザ・ディケードの予想に入りたいのですが、マイク・トラウト中心で行く予定ではありますが全く自信が持てない状況でもあります。


 当ブログの特徴として、シリーズ最終回は辛口コメントとなるのが恒例となっておりますので気分を害した方にはごめんなさいと謝罪させていただきますが、当ブログは互助会に入会するつもりもありませんし、ノー天気なコメントを公表するつもりもサラサラありません。とは言え、年が明ければ「三冠への道 2014」を書いていることだけは断言できます(笑)。やっぱりこれだけは辞められませんね。来季も当たらない予想を継続していきます。






 

2013年11月12日火曜日

16年 巨人vs朝日 4回戦


5月14日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 4 0 0 0 0 5 巨人 15勝5敗 0.750 須田博
0 1 0 0 0 0 0 2 0 3 朝日 6勝17敗 0.261 内藤幸三 山本秀雄 井筒研一

勝利投手 須田博     9勝2敗
敗戦投手 山本秀雄 2勝4敗

二塁打 (巨)中島2、白石 (朝)山本

勝利打点 水原茂 2


須田博、ハーラー単独トップ

 巨人は初回、先頭の白石敏男がツースリーから四球を選んで出塁、水原茂は左飛に倒れて一死一塁、朝日ベンチはここで早くも先発の内藤幸三を下げて山本秀雄をマウンドに送るが、中島治康が右中間に二塁打を放って白石を迎え入れ1点を先制する。

 朝日は2回、二死後山本が右翼線に二塁打、前田諭治が中前に同点タイムリーを放って1-1と追い付く。

 巨人は5回、先頭の林清一がワンンスリーから四球を選んで出塁、須田博は中飛に倒れるが、トップに返り白石が左翼線に二塁打を放って一死二三塁、水原が中前タイムリーを放って2-1、中島が四球を選んで一死満塁、川上哲治が中前に2点タイムリーを放って4-1、千葉茂も中前にタイムリーで続いて5-1とする。

 下位チームにリードすると須田は手を抜く癖がある。

 朝日は8回、先頭の村上重夫が左前打で出塁、トップに返り坪内道則が左翼線にヒット、五味芳夫に代わる代打戸川信夫が四球を選んで無死満塁、灰山元章の二ゴロの間に三走村上が還って2-5、鬼頭政一の左犠飛で3-5と追い上げるがここまで。

 須田博は6安打3四球2三振の完投で9勝目をあげて8勝で並んでいた野口二郎と森弘太郎に1勝差を付けてハーラー単独トップに躍り出た。


 朝日先発の内藤幸三が2人に投げただけで降板した。内藤はこの日で今季4度目の登板、あとは6月21日の巨人戦で先発して3分の1回、8月20日の巨人戦で二番手として1イニングを投げるだけで今季を終えます。6試合で10回3分の2を投げるだけなので、昭和11年シーズン後兵役に就いて昨年復帰したものの体調は回復せずこのまま終わるのかと思えるような成績です。ところが来季から投球回数は153回3分の1、199回3分の2、222回3分の1と増えていき、昭和21年には416回を投げて19勝を記録することとなるのです。内藤は昭和11年には澤村栄治を抑えて日本プロ野球史上初の奪三振王に輝いた馬力型の剛球投手です。内藤の馬力がいかに凄かったか、当ブログだけが知る取って置きのネタがありますが、何れ稿を改めて公表させていただきましょう。





*須田博は6安打完投で9勝目をあげる。朝日先発の内藤幸三は3分の1回を投げただけで降板している。
















 

2013年11月11日月曜日

訂正のお知らせ





 11月7日付けブログ「粉河中学」において、「粉河中学」を「粉皮中学」と誤って表記しておりました。大変失礼いたしました。お詫びして訂正させていただきます。

16年 阪神vs名古屋 4回戦


5月12日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 2 0  2 阪神     13勝8敗 0.619 藤村隆男
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 名古屋 10勝12敗 0.455 西沢道夫

勝利投手 藤村隆男 4勝2敗
敗戦投手 西沢道夫 2勝5敗

二塁打 (神)松下

勝利打点 なし


ベンチワーク

 名古屋は初回、先頭の桝嘉一が四球で出塁、岩本章は三振に倒れるが、大沢清が右前打を放って一死一二塁、吉田猪佐喜は二邪飛に倒れるが三浦敏一が四球を選んで二死満塁、しかし芳賀直一は二飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 名古屋は2回、先頭の石丸進一が四球で出塁するが西沢道夫の投ゴロが「1-4-3」と渡ってゲッツー、木村進一が四球から二盗に成功、トップに返り桝も四球を選んで二死一二塁、阪神ベンチはここでキャッチャーの土井垣武を下げてファーストのカイザー田中義雄にマスクを渡し、ファーストには松木謙治郎を入れる。一息ついた藤村隆男は岩本を投ゴロに打ち取りスリーアウトチェンジ。

 7回まで4安打無得点の阪神は8回、先頭の藤村が死球を受けて出塁、中田金一が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り皆川定之が三塁線にバント、サード芳賀からの送球をファースト大沢が落球して一死一三塁、記録は犠打エラー、宮崎剛のスクイズはウエストされて三走藤村が三本間に挟まれるがキャッチャー三浦からの三塁送球が悪送球となる間に藤村が還って1点を先制、一走皆川も二塁に進み、宮崎の三塁内野安打で一死一三塁、田中が三前にスクイズ(記録は内野安打)を決めて2-0とする。

 藤村隆男は6安打5四球1三振で今季2度目の完封、4勝目をあげる。


 阪神の勝因はベンチワークにあった。先発の藤村が2回までに5四球を出したところで四番キャッチャー土井垣を下げてファーストのカイザー田中をキャッチャーに回しファーストには松木が入って藤村を立ち直らせた。藤村は3回以降を無四球で切り抜けている。松木監督が控えに回っているのでこういう用兵が可能となっている。






                 *藤村隆男は6安打完封で4勝目をあげる。













*阪神は2回の守備で四番土井垣武を下げてカイザー田中義雄をキャッチャーに回し、ファーストに松木謙治郎を入れた。2回途中まで5四球を出していた藤村隆男はキャッチャーが田中に代わった途端に立ち直り、以降を無四球に抑えて完封勝利を飾った。

















 

2013年11月10日日曜日

侍ジャパン




 小久保監督率いる「侍ジャパン」が始動しました。我が「shokuyakyu球団」からも浅村栄斗を派遣しています(笑)。2011年4月24日付けブログ「36打数17安打」では「私の期待するところは次回のWBCでは三番浅村栄斗、七番中田翔で三連覇というところです。」と書かせていただきました。小久保ジャパンでは四番中田、五番浅村というオーダーを組んでいます。ちょっと予想が外れましたね。


 2011年4月の時点では浅村が西武の四番に座るとは考えていませんでした。中距離ヒッターなので一番で実績を積んで三番に成長していく姿を想い描いていた訳です。ともあれ、高校時代から目を付けていた選手が全日本に選ばれるとはスカウト冥利に尽きるというものです。筆者が浅村二世と期待している渡邉諒は果たしてどこまで通用するでしょうか。まぁ、ちやほやされるのも今のうちだけ、実績を残さなければ単なる木偶の坊に過ぎません。渡邉については注目度が上がるに連れて「渡邉」表記と「渡辺」表記が混在するようになってきました。いずれどちらかに統一されることでしょうが、「渡辺」に統一されれば当ブログでも「渡辺」表記に変更させていただきます。



 今後も「侍ジャパン」に送り込めるような選手を発掘していきたいと考えるスカウト筆者でありました。そろそろ「ドラフトへの道 2014」を開始する予定です。




                 *「侍ジャパン」の五番に抜擢された浅村栄斗。