2013年3月9日土曜日

15年 南海vsライオン 10回戦


9月15日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 南海       19勝49敗5分 0.279 清水秀雄 劉瀬章
0 0 4 0 0 0 0 0 X 4 ライオン 18勝51敗4分 0.261 近藤久

勝利投手 近藤久     4勝13敗
敗戦投手 清水秀雄 9勝17敗

二塁打 (南)岡村 (ラ)坪内

勝利打点 玉腰年男 1


粗にして野だが卑ではない

 ライオンは3回、一死後坪内道則が左翼線にヒット、村上重夫の遊ゴロが野選を誘い一死一二塁、玉腰年男が左前に先制タイムリーを放って1-0、鬼頭数雄も左翼線にタイムリーを放って2-0、戸川信夫の遊ゴロをショート前田諭治がエラーする間に二走玉腰が還って3-0、一走鬼頭(兄)も三塁に進み、鬼頭政一の遊ゴロの間に鬼頭(兄)が還って4-0として試合の主導権を握る。

 南海は6回、先頭の国久松一が三塁に内野安打、岡村俊昭が右前打を放って無死一二塁、岩本義行の右飛で二走国久はタッチアップから三塁に進み、吉川義次の左前タイムリーで1-4とするが反撃もここまで。

 ライオンの前田諭治が4打数無安打4残塁を記録した。第一打席は二死一塁から二ゴロに倒れるが一走鬼頭(弟)が二封されたため前田に残塁が記録される。第二打席も二死一二塁で三ゴロに倒れるがサード藤戸逸郎がそのまま三塁ベースを踏んで二走鬼頭(弟)が三封されて前田には残塁が記録される。第三打席は一死一塁で三ゴロ、これをサード藤戸がエラーして一死一二塁、近藤久がピッチャー強襲ヒットで続いて一死満塁となるが坪内は二飛、村上は三振に倒れて前田は二塁に残塁。第四打席は二死無走者で遊ゴロ、これをショート前田貞行が一塁に悪送球して二死一塁、近藤は右飛に倒れて前田は一塁に残塁となった。


 近藤久は6安打2四球5三振の完投で4勝目をあげる。近藤はこの試合まで3勝13敗であったが勝った3試合は何れも完封勝利で本日も1失点完投勝利であった。昭和11年からプロ野球に在籍している近藤は今季9勝22敗の記録を残して球界を去ることになるが、12年春に11勝10敗を記録しているので一見こちらの方が成績が良く見える。しかし今季は9勝のうち6完封を記録することとなり、6月16日の南海戦では9回二死まで無安打無得点を続けて1安打完封を記録しているように、内容的には今季の方が優れている。WHIPは今季がキャリアハイとなるので、今が最盛期と言えるでしょう。


 近藤は名古屋商業の出身。愛知県は昭和12年の第14回センバツに中京商業、享栄商業、東邦商業、愛知商業の四校が出場するなど、当時全国一の野球王国であった。名古屋商業は県下一の名門校ではあったが野球では有名ではなく、プロ野球選手は近藤以外では戦後高橋ユニオンズ、トンボで活躍した滝良彦を輩出しているだけである。「男子の本懐」や「官僚たちの夏」などで知られる城山三郎も名古屋商業の出身となる。幼少期に左手を怪我しながら弱小球団ライオンを支え続けてきた近藤のピッチングを表すとしたら、9年後輩の同窓となる城山の代表作の一つ「粗にして野だが卑ではない」がぴたりと嵌るのではないでしょうか。









                 *近藤久は6安打完投で今季4勝目をあげる。






 

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