2013年3月3日日曜日

最高殊勲選手賞



 満州リーグの最高殊勲選手賞には吉原正喜が選出されました。8月25日付け満州日日新聞によると選出理由は「投手の女房役としてホームを死守し澤村、スタルヒンを好くリードし、打っては度々好打を放った殊勲の巨人軍吉原捕手」とのことです。


 吉原の打撃成績は、16試合全試合に出場したものの47打数6安打、打率1割2分8厘というものでした。11得点を記録しており、3打点3盗塁、二塁打2本。11四球2死球を記録して出塁率は3割1分7厘でした。


 8月26日付け満州日日新聞には広瀬謙三が「満州大リーグ総評」で選考理由を詳しく書いています。「全満としての最高殊勲選手は巨人軍より出すべきであり、その人選には苦労したけれど、結局主催者は本来捕手の地位が極めて重要であるにも拘らず、投手の功名に蔽(おお=筆者注)われて従来少しも顧みられざるに○らず、新例を開く意味として吉原捕手に白羽の矢を立てた。彼は闘志満々、元気一杯に活躍して、味方並びに満場の人気を引立て、捲むところを知らない。真に好個の女房役であり、巨人の要石である。自らも自分は下手であるから一生懸命遣らねばならないと言って、試合中胴間声(どうまごえ、太い声の意=筆者注)を揚げている。彼の努力の結晶とその精神に対して最高殊勲賞を賜るということである。」


 打率1割2分8厘ながら最高殊勲選手賞に選出されるところが吉原正喜の真骨頂と言えるでしょう。現代ではこのような評価方法を定性評価と呼びます。人事評価においても定量評価だけでなく定性評価も重視されます。運用機関評価の世界では、定量評価より定性評価を重視するべきであると言われています。虚偽のパフォーマンスを信用して騙される年金基金もあれば、透明性、開示姿勢、コンプライアンス態勢などの定性評価を重視して難を逃れた年金基金もあります。昨年のナショナル・リーグMVPに選出されたサンフランシスコ・ジャイアンツのバスター・ポージー捕手も定性評価の高いプレイヤーの一人です。







 

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