2013年3月31日日曜日

15年 ジャイアンツvs南海 11回戦


9月24日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 2 1 0 0 0 5 ジャイアンツ 56勝23敗 0.709 須田博
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 南海             21勝53敗5分 0.284 清水秀雄 劉瀬章

勝利投手 須田博     28勝11敗
敗戦投手 清水秀雄 10勝19敗

二塁打 (ジ)中島、林 (南)上田、木村

勝利打点 水原茂 4


須田博、9安打完投で28勝目

 ジャイアンツは3回、先頭の林清一が三遊間に内野安打、須田博の遊ゴロをショート前田貞行が失する間に林は三塁に進んで無死一三塁、トップに返り白石敏男が四球を選んで無死満塁、水原茂の中前タイムリーで1点を先制、千葉茂が押出し四球を選んで2-0とする。

 南海は3回裏、先頭の前田が三塁に内野安打、トップに返り国久松一が送って一死二塁、木村勉が中前打を放って一死一三塁、岩本義行へのスリーストライク目が暴投となって三走前田が還り1-2とする。

 ジャイアンツは5回、先頭の白石が四球で出塁、水原は中飛に倒れるが、千葉が四球を選んで一死一二塁、中島治康が右前にタイムリーを放って3-1、川上哲治は捕邪飛に倒れるが、吉原正喜が左翼線にタイムリーを放って4-1とする。

 ジャイアンツは6回、先頭の林が左中間に二塁打、須田は遊ゴロに倒れるが、白石が右前にタイムリーを放って5-1とする。

 須田博は9安打1四球5三振の完投で28勝目をあげる。須田はスタルヒン時代から下位チームには手を抜く癖があるが、本日の被安打9はその典型事例であろう。


 ジャイアンツ打線は9安打を放ったが川上哲治は3打数無安打で3試合連続ノーヒット、今季通算打率を3割1分2厘9毛に落とした。









          *須田博は手を抜いたようであるが9安打完投で28勝目をあげる。

















 

15年 金鯱vs阪急 10回戦


9月24日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17  計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  0   0   0   0   0   0   0   0   1 金鯱 18勝51敗7分 0.261 長尾貞利
0 0 0 0 0 0 1 0 0  0   0   0   0   0   0   0  1X  2 阪急 45勝29敗5分 0.608 石田光彦

勝利投手 石田光彦 13勝10敗
敗戦投手 長尾貞利   0勝2敗

三塁打 (阪)上田

勝利打点 浅野勝三郎 2


石田光彦、17回を完投

 阪急は秋季シリーズ首位打者の浅野勝三郎を四番に起用する。

 金鯱は初回、先頭の五味芳夫が四球で出塁、佐々木常助が送って一死二塁と先制のチャンスを作るが濃人渉は右飛、森田実は三振に倒れる。2回は一死後上野義秋が右前打を放つが後続なく、3回~6回は阪急先発の石田光彦に三者凡退に抑えられる。

 阪急は初回、先頭の西村正夫が左前打で出塁するがピッチャー長尾貞利の牽制にタッチアウト。続くフランク山田伝が四球から二盗に成功、しかし山下実は左飛、四番・浅野は中飛に倒れて無得点。2回も先頭の黒田健吾が四球から二盗に成功するが後続なく、3回も先頭の石田が三塁内野安打で出塁するが西村の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってチャンスをつぶす。4回は三者凡退に終わって5回、四球と敵失で二死一三塁とするが西村は投飛に倒れて無得点。

 阪急は7回、先頭の上田藤夫が右中間に三塁打、日比野武に代わる代打井野川利春は四球、下村豊が右前に先制タイムリーを放って1-0とする。更に石田の送りバントが野選を誘い無死満塁とするが西村の投ゴロは「1-2-3」と渡ってダブルプレー。8回も一死後浅野が右前打を放つが黒田の遊直に浅野が戻れずダブルプレー。

 7回、8回と1安打ずつを放ってきた金鯱は9回、先頭の濃人渉が四球で出塁、森田が送って一死二塁、室脇正信は右飛に倒れて二死二塁、ここで本日2安打を放っている上野に代えて代打に黒澤俊夫が登場、黒澤は期待に応えて左前に同点タイムリーを放ち金鯱が土壇場で追い付く。

 阪急は9回裏、一死後井野川が左翼線にヒットを放つが下村の一飛に井野川が戻れずこの試合4つ目のダブルプレーで延長戦に突入する。


 延長に入って石田のピッチングは冴え渡り、10回から16回まで金鯱打線を無安打に抑える。

 阪急は10回裏、一死後西村が左前打、山田も二塁への内野安打で続いて一死一二塁、山下実の二ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、しかし四番・浅野は中飛に倒れて無得点。更に13回裏、山田、山下実の連続四球で無死一二塁、浅野が送って一死二三塁、黒田は四球で一死満塁とサヨナラのチャンスを迎えるが、上田の投ゴロで三走山田は本封、これはスクイズ失敗の可能性がある。井野川も遊ゴロに倒れてこの回も無得点に終わる。

 金鯱は17回表、一死後濃人が左前打を放って二盗に成功、森田の二塁内野安打で一死一三塁、森田が二盗を決めて一死二三塁、しかし室脇は三振、古谷倉之助は遊飛に倒れて無得点。

 阪急は17回裏、先頭の石田が四球を選んで出塁、西村の投前送りバントを長尾は二塁に送球するがセーフ、山田の投前送りバントも長尾が三塁に送球するがセーフ、連続野選が記録されて無死満塁、新富卯三郎は三邪飛に倒れて一死満塁、浅野がサヨナラスクイズを決めて阪急が延長17回サヨナラ勝ち。


 翌日の読売新聞は「17回の延長記録」の見出で「打撃の威力価値が殆ど死滅している現在では守備力に重点を置く争いとなるので上位球団と下位球団との懸隔が非常に狭められて全く互角の仕合を演ずる事になるのだが此の一戦を17回まで延長したのも前述の理由からである。」と伝えている。但し、12年秋季9月23日のライオンvs名古屋2回戦でも延長17回名古屋がサヨナラ勝ちを記録しているので新記録ではありません。

 石田光彦は202球を投げて17回を完投、6安打5四球7三振の熱投で13勝目をあげる。長尾貞利も212球を投げて16回3分の1を完投、10安打8四球2三振であった。


 阪急は16残塁を記録して終始押し気味に試合を進めたが、最後は四番・浅野勝三郎のスクイズで決めた。因みに浅野は阪急球団創設以来第十代の四番となります。初代の山下実から山下好一、ジミー堀尾文人、北井正雄、キヨ野上清光、宮武三郎、上田藤夫、黒田健吾、井野川利春と続いて浅野が十代目となります。









            *石田光彦は202球で17回を完投して13勝目をあげる。













                   
                  *阪急の第十代四番バッター浅野勝三郎。













     *延長17回の熱戦を伝えるスコアブック。








 

2013年3月30日土曜日

15年 セネタースvsタイガース 10回戦


9月23日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   1   1 セネタース 42勝26敗9分 0.618 金子裕 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0 タイガース 46勝29敗3分 0.613 若林忠志

勝利投手 野口二郎 26勝9敗
敗戦投手 若林忠志 18勝13敗

勝利打点 柳鶴震 2


柳鶴震、延長11回決勝タイムリー

 両軍無得点のまま試合は延長11回に進む。

 セネタースは11回表、二死後小林茂太が四球で出塁、小林が二盗を決めて二死二塁、柳鶴震が左中間に決勝タイムリーを放って1-0とする。

 タイガースは11回裏、一死後ジミー堀尾文人が中前打を放つが皆川定之は三振、本堂保次は遊飛に倒れて試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。

 セネタース先発の金子裕が素晴らしいピッチングを見せた。初回一死後皆川に四球を与えるが皆川の二盗をキャッチャー佐藤武夫が刺す。続く本堂にも四球を与えるが伊賀上良平を中飛に打ち取る。ここから2回はカイザー田中義雄左飛、松木謙治郎中飛、若林忠志も中飛。3回は松尾五郎中飛、宮崎剛の四球を挟んで堀尾右飛、皆川は三飛。4回は本堂左飛とここまで凡飛の連続、伊賀上は三ゴロ、田中は中飛。5回も松木右飛、若林遊飛、松尾は一直でここまで補殺は2個だけである。

 タイガースは6回、先頭の宮崎の二ゴロをセカンド苅田久徳がエラー、トップに返り堀尾は一飛、これは送りバント失敗の可能性がある。続く皆川の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 タイガースは7回、一死後伊賀上が左前にチーム初ヒット、田中も左前打を放って一死一二塁、松木は一邪飛に倒れて二死一二塁、セネタース苅田監督はここで好投の金子から野口二郎にスイッチ、若林は遊飛に倒れてスリーアウトチェンジ。野口は11回までタイガース打線を無得点に抑えた。


 若林忠志は延長11回を完投して7安打4四球1三振、最後に力尽きた。

 金子裕は6回3分の2を投げて2安打3四球1三振無失点、リリーフの野口二郎は4回3分の1を投げて2安打無四球2三振無失点であった。











                   *金子裕-野口二郎による完封リレー。












 

岐商魂



 試合終了後、アルプススタンドの応援席に向かったのは16人だった。


 春・夏・春の三連覇を狙う大阪桐蔭は近田(きんでん)、森を故障で欠く飛車角落ち。挑む18年ぶり出場の県岐阜商が春3回、夏1回優勝の伝統の力を見せた。


 エースの藤田凌司が6回の打席で右脚に死球を受けてドラマは始まった。臨時代走が出て治療にやや時間がかかって出てきた時は大丈夫そうに見えたが相当痛そうであった。死球の次の打席でワンストライク後の二球目にフルスウィング、青春の意地を見せた瞬間です。余裕の笑顔もなくなり、イニング終了後は脚を引きずりながらベンチに戻る。左腕の藤田にとって踏み出す右脚には全体重が掛かります。


 5対4と県岐阜商1点リードで迎えた9回裏大阪桐蔭の攻撃、二死一二塁からの中前打で二走は三塁ベースを蹴ってホームに突っ込む。浅目の守備を敷いたセンターからノーバウンド返球、ランナーがキャッチャー神山に激突、白球はミットからこぼれますが主審の判定は守備妨害によるアウトとなって試合終了、県岐阜商の校歌に整列するメンバーにキャッチャー神山の姿はなく、右脚を引きずるエース藤田はアルプススタンドに向かって走り出しましたが途中で断念しました。アルプススタンドに向かったのは16人だったのです。試合終了後の藤田の談話は「脚は痛くなかった。力が抜けてチェンジアップが効果的でした。」でした。



 県岐阜商の甲子園制覇は夏は1936年、春は1933、35、40年と全て戦前のことですが、伝統の「岐商魂」と校訓の「不撓不屈」は現在にも受け継がれています。岐阜商業時代の全盛期、ピッチャー松井栄造、キャッチャー加藤三郎、ファースト森田定雄、セカンド長良治雄、サード加藤義男、ショート近藤清のうち、森田定雄を除く5人は戦死しています(2012年9月9日付けブログ「最も無名の最強打者 」参照)。






 

15年 名古屋vsライオン 10回戦


9月23日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 名古屋   42勝30敗5分 0.583 河村章 村松幸雄
1 0 0 1 0 0 1 0 X  3 ライオン 20勝54敗4分 0.270 近藤久

勝利投手 近藤久 6勝14敗
敗戦投手 河村章 1勝2敗

二塁打 (ラ)前田

勝利打点 玉腰年男 2


村上重夫猛打賞

 ライオンは初回、先頭の村上重夫が中前打、センター桝嘉一が転倒後逸する間に村上は三塁に進み、玉腰年男が右前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 ライオンは4回、二死後鬼頭政一が左前打で出塁、前田諭治が左翼線にタイムリー二塁打を放って2-0とする。

 ライオンは7回、二死後広田修三が四球で出塁、近藤久が右翼線にヒット、ライト吉田猪佐喜が後逸する間に広田が還って3-0とする。

 ライオンは秋季シリーズから合宿に入っており、内野守備陣が安定して春季、夏季シリーズとは見違えるチームに進化している。

 ライオン先発の近藤久は5回、三浦敏一に三塁内野安打、芳賀直一に右前打を許して無死一二塁、しかし木村進一を三振に打ち取り、三浦の三盗をキャッチャー広田が刺して二死一塁、代打岩本章を遊ゴロに打ち取る。7回、二死後芳賀に二打席連続右前打を許し、村松幸雄、岩本連続四球で二死満塁とするが桝嘉一を三ゴロに抑えてピンチを切り抜ける。近藤は4安打5四球5三振で今季4度目の完封、6勝目をあげる。


 ライオンではこのところ一番に入っている村上重夫が4打数3安打を記録して秋季シリーズ通算20打数7安打3割5分で打撃ベストテンの五位に付けている。村上は中京商業時代は夏の甲子園三連覇に貢献して昭和6年、7年のセンバツでは外野部門の「優秀選手賞」に選出されている。明大に進学して最上級生の年から四連覇がスタートすることとなる。昭和13年の都市対抗には田村駒で出場して4打数2安打、翌14年の都市対抗は太陽レーヨンで出場して1回戦は3打数1安打、準々決勝も3打数1安打を記録している。右打ちに定評があり、満州リーグからプロ入りして期待に応えられない日々が続いていたが秋季シリーズに入って本領を発揮してきた。


 鬼頭数雄は4打数無安打、2試合連続無安打となって今季通算打率を3割1分6厘7毛に落としたが、後楽園の第二試合でも川上哲治が4打数無安打で、川上を5毛抑えて首位打者をキープしている。








                *近藤久は今季4度目の完封で6勝目をあげる。














     *このところ一番に定着している村上重夫が猛打賞を記録したライオン打線。












 

2013年3月29日金曜日

15年 阪急vsジャイアンツ 11回戦


9月23日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 0 0 0 0 2 阪急             44勝29敗5分 0.603 浅野勝三郎
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 ジャイアンツ 55勝23敗 0.705 中尾輝三

勝利投手 浅野勝三郎 6勝5敗
敗戦投手 中尾輝三  18勝8敗

勝利打点 黒田健吾 9

浅野勝三郎、投打に活躍

 ジャイアンツは初回、先頭の白石敏男が四球で出塁すると二盗に成功、水原茂の中前タイムリーで1点を先制する。

 阪急は3回、一死後フランク山田伝が中前打で出塁、新富卯三郎の投ゴロをピッチャー中尾輝三が二塁に悪送球する間に一走山田が三塁に進んで一死一三塁、新富が二盗を決めて、井野川利春四球で一死満塁、浅野勝三郎がストレートの押出し四球を選んで1-1の同点、黒田健吾の三ゴロの間に三走新富が還って2-1と逆転に成功する。

 この後は両軍得点なく、浅野勝三郎は4安打6四球4三振の完投で6勝目をあげる。中尾輝三は6安打6四球4三振2失点ながら自責点はゼロであったが、これは自らの悪送球によるものであった。

 ジャイアンツでは好調中島治康が3打数2安打を記録する。一方、川上哲治は4打数無安打で今季通算打率を3割1分6厘2毛に落とした。


 阪急では投打に好調の浅野勝三郎が3打数2安打を記録、9月24日付け読売新聞の秋季シリーズ打撃ベストテン欄には打数6以上が掲載されており、浅野は6打数3安打5割で現在首位打者、二位も長谷川重一が9打数4安打4割4分4厘とピッチャーが一位二位を占めている。好調中島治康は21打数9安打4割2分9厘で三位に付けている。

 翌日の読売新聞は「飛ばぬ用球とあって互に単安打と盗塁の応酬に終始し外野手は頗る浅く守りながら且つ前進して飛球を捕える等明治、大正時代の野球に逆行し・・・」と伝えている。阪急は新富卯三郎、上田藤夫、井野川利春が盗塁を決めて失敗はゼロ。一方、ジャイアンツは白石敏男が2盗塁、千葉茂、平山菊二が盗塁を決めたが水原茂、中島治康、山本栄一郎が二盗を試みるも井野川利春の強肩に阻まれた。ジャイアンツの敗因はここにもある。








                 *浅野勝三郎は4安打完投で6勝目をあげる。

















 

2013年3月28日木曜日

15年 南海vsイーグルス 10回戦


9月23日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 2 0 0 0 0 1 0 5           南海 21勝52敗5分 0.288 政野岩夫
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 イーグルス 39勝34敗4分 0.534 長谷川重一 中河美芳

勝利投手 政野岩夫       7勝16敗
敗戦投手 長谷川重一 10勝7敗

勝利打点 岩本義行 1


イーグルス守乱により連勝ストップ

 南海は初回、先頭の国久松一が遊失に生きて捕逸で二進、木村勉の遊ゴロの間に国久は三進、岩本義行の三塁内野安打がタイムリーとなって1点を先制、吉川義次の右前打で一死一三塁、岡村俊昭の二ゴロ併殺崩れの間に三走岩本が還って2-0とする。

 イーグルスは1回裏、先頭の岡田福吉がストレートの四球、岩垣二郎は捕邪飛に倒れるが太田健一が四球を選んで一死一二塁、中河美芳の一ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、長谷川重一の右前タイムリーで1-2とする。

 南海は3回、木村勉の二ゴロをセカンド岡田が一塁に悪送球して木村は二進、岩本の三ゴロをサード木下政文が失して岩本が二盗に成功し無死二三塁、吉川は三振に倒れて一死二三塁、岡村の捕ゴロの間に三走木村が生還、更に二走岩本も三塁ベースを蹴ってホームに突入して4-0とする。岡村には捕ゴロで2打点が記録された。

 イーグルスは4回途中から先発の長谷川に代えて中河美芳をマウンドに送り、中河はスローカーブで7回まで南海打線を無得点に抑える。

 南海は8回、先頭の岩本が四球で出塁すると二盗に成功、吉川は遊飛に倒れるが岡村の左前打で一死一三塁、清水秀雄の一ゴロエラーの間に岩本が生還して5-1として試合を決める。

 イーグルスの快進撃を止めたのは政野岩夫の下手投げであった。政野は5安打5四球5三振の完投で7勝目をあげる。


 イーグルスは内野陣が5失策を記録して自滅した。長谷川重一は4回3分の0を投げて4失点であったが自責点はゼロであった。








                 *政野岩夫は5安打完投で7勝目をあげる。















     *岩本義行が3得点2盗塁、岡村俊昭が3打点を記録した南海打線。













 

2013年3月26日火曜日

15年 第19節 週間MVP



 秋季シリーズ開幕週はイーグルスが4勝0敗、タイガースが4勝1敗、ジャイアンツが3勝2敗、セネタースが2勝2敗、名古屋が2勝2敗、ライオンが2勝3敗、阪急が2勝3敗、南海が1勝4敗、金鯱が0勝3敗であった。イーグルスが飛び出した。



週間MVP

投手部門

 イーグルス 亀田忠 4

 今節2試合連続完投勝利、9月16日の名古屋戦は延長16回を1失点の完投勝利であった。


 タイガース 若林忠志 1

 今節2試合に完封勝利を飾って3勝0敗。


 ジャイアンツ 須田博 7

 須田博に改名したスタルヒンの2試合連続完封勝利は意義深い。




打撃部門

 イーグルス 岡田福吉 1

 イーグルス 岩垣二郎 2

 イーグルス快進撃を支える岡田-岩垣の一二番コンビ。岡田は14打数4安打、岩垣は15打数2安打と打率は高くないが共に2得点3打点を記録して勝利への貢献度が高い。


 ジャイアンツ 中島治康 3

 今節18打数7安打、ようやく当りが戻ってきた。









殊勲賞

 南海 清水秀雄 1

 22日の金鯱戦で完封勝利を飾る。




敢闘賞

 イーグルス 長谷川重一 1
 

 阪急 浅野勝三郎 1

 共に投打に活躍する。




技能賞

 名古屋 桝嘉一 2

 15日のジャイアンツ戦で2補殺を記録して勝利に貢献する。


 ライオン 前田諭治 2

 15日の南海戦で4打数無安打4残塁を記録する。


 ジャイアンツ千葉茂 1

 22日の阪急で延長13回表に好走塁で決勝jのホームを踏む。
 





























 

2013年3月24日日曜日

全力疾走



 注目の一戦は期待通りの熱戦となりました。浦和学院としてはやりにくい試合となりました。空席の目立った甲子園もこの試合の前には超満員、全国から土佐高校OBが駆けつけてきました。


 何しろ浦和学院の森監督も、解説の杉浦さんも土佐高校の全力疾走に憧れて野球に熱中することになったとのことです。その御二人が忘れられない試合というのが昭和50年第57回全国高等学校野球選手権大会3回戦、土佐高校vs上尾高校の熱戦です。試合は先行する上尾を土佐が追う展開となりましたが4対3で上尾が逃げ切りました。アサヒグラフの見出しは「さわやか土佐 追撃とどかず」でした。


 38年経っても、純白のユニフォームと全力疾走は変わることはありません。観終わって、清々しい疲れを感じる試合でした。



 因みに今大会の当ブログの本命は浦和学院です。埼玉県代表は夏の甲子園では関東地方では唯一優勝していませんが、センバツでは昭和43年に吉沢敏雄投手(後に慶大で三塁手)を擁して大宮工業が優勝していますので45年ぶりのチャンス到来と睨んでいます。秋の関東大会を三連覇、エースの左腕小島和哉は序盤にストレートが高めに浮く癖がありますがインストレートに威力があり、攻守とも洗練されていますので優勝すると考えています。当ブログの予想はよく当ることで有名ですが(笑)、決してトトカルチョには利用しないでください。










 

15年 タイガースvs名古屋 11回戦


9月22日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 タイガース 46勝28敗3分 0.622 藤村隆男 木下勇 三輪八郎
0 0 0 6 0 0 1 0 X 7 名古屋    42勝29敗5分 0.592 松尾幸造
 
勝利投手 松尾幸造 9勝10敗
敗戦投手 木下勇  13勝10敗

勝利打点 三浦敏一 7


雪辱

 3回まで無安打の名古屋は4回、大沢清、吉田猪佐喜が連続四球を選んで無死一二塁、タイガースは先発の藤村隆男から木下勇にスイッチ、中村三郎の三前送りバントが内野安打となって無死満塁、三浦敏一が押出し四球を選んで1点を先制、芳賀直一の中前タイムリーで2-0、木村進一のバント安打で3-0、木下は一死も取れずに降板して三番手として三輪八郎が登場、松尾幸造は三振に倒れるが、トップに返り桝嘉一が死球を受けて押し出し4-0、村瀬一三が右前に2点タイムリーを放って6-0とする。大沢も中前打を放って一死満塁、吉田猪佐喜の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 タイガースは6回、皆川定之右前打、本堂保次中前打、伊賀上良平左前打で無死満塁、一死後松木謙治郎の二ゴロの間に1点を返す。

 名古屋は7回、一死後吉田、中村が連続中前打、三浦が四球を選んで一死満塁、芳賀の中前タイムリーで7-1と突き放す。

 松尾幸造は4安打2四球3三振の完投で9勝目をあげる。


 昨日の10回戦を0対7で敗れた名古屋は見事雪辱を遂げた。












                 *松尾幸造は4安打完投で9勝目をあげる。













 

弱気は最大の敵



 2年生ながら今大会屈指の好投手と言われる大和広陵の立田将太はストレートに力があり完封目前でしたが9回逆転負け、大隅半島からは初めての甲子園出場となった尚志館の執念が乗り移ったような安打が2本続き、満塁で迎えた六番・関拓哉はここまで変化球にタイミングが合っていました。立田にも分かっていてストレートで追いこんだが最後は膝元のスライダーを巧く打たれました。コースは良かったので失投ではないが、力で押し切れなかったのには悔いが残るところでしょう。


 昭和53年第60回全国高等学校野球選手権大会2回戦、大会屈指の好投手と言われた南陽工業の津田恒美(後に恒実)は、天理高校の八番バッター若井康至に甘いカーブをレフトにホームランされて0対1で敗れました。津田はこの投球を悔やんで「弱気は最大の敵」と書き込んだボールを常に持ち歩いていたと言われています。その若井康至監督が率いる大和広陵高校を28年ぶりの甲子園出場に導いた立田については解説の広瀬さんも「マウンド捌きがいい」と褒めているように素質は十分、力で押し切れる投手に成長して甲子園に戻ってきてもらいたいものです。


 当ブログに若井康至が登場するのは2度目のこととなります(2012年1月14日付けブログ「ツネゴン」参照)。アサヒグラフには若井と津田のコメントが残されています。「カーブです。入るなんて思いませんでした。公式戦では2本目です。もともと守備を買われてレギュラーになれたんですけど・・・このところちょっと当たってきてるんです。」「本塁打されたのは、「ストライクをとりにいったカーブ。落ちるはずが浮いてしまった。試合中ずっと『直球で勝負すべきだった』と悔やんでました。」






 

15年 ライオンvsセネタース 11回戦


9月22日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ライオン     19勝54敗4分 0.260 菊矢吉男 井筒研一
0 0 0 0 5 0 0 0 X 5 セネタース 41勝26敗9分 0.612 浅岡三郎

勝利投手 浅岡三郎 10勝6敗
敗戦投手 菊矢吉男   7勝21敗

二塁打 (セ)柳

勝利打点 石井豊 3


浅岡三郎、今季6度目の完封

 ライオンは9月15日に登録された灰山元章が五番ファーストでプロ入り初出場。


 セネタースは5回、横沢七郎、浅岡三郎が連続四球を選んで無死一二塁、石井豊が左前に先制タイムリーを放って1-0、一走浅岡は三塁に進み、バックホームの隙を突いて打者走者の石井も二塁に進んで無死二三塁、トップに返り苅田久徳は三ゴロ、西岡義晴は三振に倒れて二死二三塁、山崎文一が中前に2点タイムリーを放って3-0、小林茂太の右前打で一走山崎は三塁に進み、バックサードの間に打者走者の小林も二塁に進んで二死二三塁、柳鶴震が左中間を破る二塁打を放って5-0とする。

 セネタース先発の浅岡三郎は3回までパーフェクトピッチング。4回、先頭の村上重夫に中前に初安打を許すが戸川信夫を遊ゴロ併殺に打ち取る。5回、一死後灰山にピッチャーを強襲されてプロ入り初ヒットを献上、鬼頭政一にも左前に運ばれて一死一二塁、ここは落ち付いて前田諭治を遊飛、広田修三を投ゴロに仕留める。6回、一死後村上に左前打、二死後坪内道則に四球を与えて一二塁とするが鬼頭数雄を三飛に打ち取る。7回も先頭の灰山を四球で歩かせ、二死後広田に左前打を許して3イニング連続二走者を背負うが、井筒研一を三振に打ち取りピンチを凌ぐ。

 浅岡三郎は8回、9回を三者凡退に抑えて5安打2四球2三振で今季6度目の完封、10勝目をあげる。


 プロ入り初出場で初安打を記録した灰山はプロでは「灰山元章」を名乗ったが、アマチュア時代の「灰山元治」の方が有名です。広島商業では昭和4年夏の甲子園優勝時の四番ショート、翌5年の連覇時はエースで四番、日本で初めて背番号が採用された昭和6年のセンバツでもエースで四番として史上初の夏春連続優勝を飾る。但しセンバツ優勝のご褒美としてアメリカ遠征に出掛けたため夏の甲子園三連覇は成らなかった。慶應義塾大学ではファーストに転向し、宮武三郎、山下実、山下好一、水原茂が抜けて慶應が弱体化した時代で立教、法政の台頭や明大四連覇を許すこととなるが、昭和11年は四番ファースト灰山元治、五番ライト楠本保というオーダーを組んでいる。卒業後は田村駒治郎の太陽レーヨンで昭和14年の都市対抗に四番ファーストとして出場し、全呉戦では4打数1安打、兄弟対決となった庄内田村駒戦では3打数1安打を記録している。


 鬼頭数雄は4打数無安打で3割2分0厘9毛と打率を落したが、後楽園の第二試合で川上哲治も5打数無安打で3割2分0厘6毛に落としている。









               *浅岡三郎は今季6度目の完封で10勝目をあげる。












     *山崎文一が2安打2打点、柳鶴震が3安打2打点を記録したセネタース打線。



















     *灰山元章がラインナップに名を連ねたライオン打線。











 

2013年3月23日土曜日

15年 ジャイアンツvs阪急 10回戦


9月22日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   1   1 ジャイアンツ 55勝22敗 0.714 須田博
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0   0 阪急              43勝29敗5分 0.597 石田光彦

勝利投手 須田博     27勝11敗
敗戦投手 石田光彦 12勝10敗

二塁打 (ジ)中島

勝利打点 なし


千葉茂好走塁

 翌日の読売新聞によると「現在の用球で得点をあげるには走打法を巧く的中するか犠牲軟打か盗塁かで二死前に三塁を占めて機会を窺うより外に妙手がない。」とのこと。「エンドラン」や「バント」の横文字が使えなくなり、「走打法」、「犠牲軟打」となっている。

 2回に盗塁を決めた吉原正喜は5回の守備では黒田健吾の盗塁を刺す。吉原は今季30個の盗塁を記録して石田政良32個、国久松一31個に次いで三位にランクされることとなる。

 阪急は7回、二死後日比野武が四球で出塁してワイルドピッチで二進、下村豊に変わる代打浅野勝三郎も四球を選んで二死一二塁、石田光彦が中前打を放ち二走日比野が鈍足を飛ばしてホームを狙うがセンター呉波の強肩にタッチアウト。

 ジャイアンツは8回、呉に代わる代打楠安夫が右前打で出塁、代走に山本栄一郎を起用、しかしキャッチャー日比野からの一塁牽制に山本はタッチアウト、水原茂が四球を選ぶが千葉茂の一直に水原が飛び出してダブルプレー。両チームとも先の塁を狙うが焦りも見える。

 ジャイアンツ先発スタルヒン、阪急先発石田光彦による投げ合いは延長12回まで0対0、引分けは廃止されているので試合は13回に進む。

 ジャイアンツは13回、先頭の林清一が左前打で出塁、水原が送りバントを決めて一死二塁、千葉が四球を選んで一死一二塁、川上哲治も四球を選んで一死満塁、中島治康の三ゴロで三走林は本封、キャチャー日比野が併殺を狙って一塁に送球するがセーフ、この隙を突いて二走千葉が三塁を回ってホームイン、1点を先制する。


 須田博は170球を投げて13回を3安打4四球4三振で今季13回目の完封、27勝目をあげる。石田光彦も181球を投げて13回を完投し5安打9四球3三振のピッチングであった。須田は9回までに4四球を与えたが延長に入ってからは無四球。一方、石田は9回までは3四球であったが延長に入って6四球を与えたことが敗因となった。







            *須田博は170球を投げて今季13回目の完封、27勝目をあげる。













     *延長13回の末阪急を降したジャイアンツ打線。















 

2013年3月21日木曜日

15年 金鯱ns南海 10回戦


9月22日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 金鯱 18勝50敗7分 0.265 古谷倉之助
0 0 0 0 1 0 0 0 X  1 南海 20勝52敗5分 0.278 清水秀雄

勝利投手 清水秀雄  10勝18敗
敗戦投手 古谷倉之助 4勝16敗

二塁打 (金)佐々木
三塁打 (南)伊藤

勝利打点 なし


清水秀雄、2安打完封で10勝目

 南海先発の清水秀雄、金鯱先発の古谷倉之助両投手の好投で3回まで両軍無安打。金鯱は3回、プロ入り初の先発マスクとなった飯塚達雄の遊ゴロをファースト伊藤経盛が落球して二死一塁とするが五味芳夫は二飛に倒れる。南海は2回、先頭の吉川義次が四球で出塁するが後続が凡ゴロの連続で無得点。

 南海は4回、先頭の木村勉がこの試合両軍を通じて初ヒットを左前に放つが木村は盗塁失敗、岩本義行は三ゴロ、吉川は遊飛に倒れて無得点。

 南海は5回、一死後清水が四球で出塁すると捕逸で二進、伊藤の二ゴロが進塁打となって一死三塁、上田良夫の三ゴロをサード漆原進が一塁に悪送球する間に三走清水が還って1点を先制する。これがこの試合両チーム唯一の得点となった。

 清水は5回二死後佐々木常助に初ヒットとなる左翼線二塁打を許すが漆原を三振に打ち取る。6回は三者凡退に抑えるが、7回、一死後黒澤俊夫にストレートの四球、室脇正信を三振に打ち取るが古谷に四球を与えて二死一二塁、しかし佐々木を中飛に抑えてここまで無失点。

 清水は8回、先頭の漆原を三ゴロに打ち取るがサード藤戸逸郎の悪送球で漆原は二進、飯塚の三ゴロの間に漆原は三進、トップに返り五味はストレートの四球で一死一三塁、しかし森田を三飛、濃人渉を右飛に打ち取る。終盤になってコントロールは乱れてきたが球威は衰えていないようだ。

 清水は9回、先頭の黒澤に2打席連続となる四球を与え、室脇の右翼線ヒットで無死一三塁の大ピンチを迎える。室脇が二盗を決めて無死二三塁、古谷の一ゴロで三走黒澤がホームを狙うがファースト伊藤からキャッチャー吉川に送球されてタッチアウト、更に吉川からサード藤戸に送球されて室脇もタッチアウトとなって二死一塁、古谷に二盗を許すが、最後は佐々木を一飛に打ち取る。


 清水秀雄は2安打4四球6三振で今季3後目の完封、10勝目をあげる。古谷倉之助も3安打3四球1三振1失点、自責点ゼロのピッチングであった。











                *清水秀雄は2安打完封で10勝目をあげる。










 

2013年3月20日水曜日

ドミニカ優勝!



 第3回WBCはドミニカが優勝しました。私がWBCに興味があったのは第1回だけで、当然ドミニカが優勝するものと思っていました。周りの連中にも似非メジャー通ぶって「ドミニカの優勝に決まってんじゃん」と言いまくっていましたが、まさかの日本優勝となって「なんだかなぁ~」というのが正直な気持ちでした。まぁ王さんには素直に「ありがとう」と思ったのも事実ですが。以来、「WBC=オープン戦」説を信奉して今日に至っています(笑)。


 ということで、WBCを見たのは2006年の東京ドームで行われた日本vs中国戦と日本vsチャイニーズタイペイ戦だけです。中国戦は外野スタンドで見ていましたが、福留のホームランが私の頭上に飛んできました。すぐ後ろに落ちたと思ったらコロコロと私の座席の真後ろに転がってきました。左隣りの同僚と右隣りの赤の他人との取り合いとなって、軍配は赤の他人に上がりました。あの時左手にレモンサワーさえ持っていなかったら争奪戦に参加できたはずでした。記憶ではレフトスタンドで見ていたので福留が流し打ったホームランだったと思います。左打者特有の切れてくる打球ではなく、まっすぐ私に向かってきました。体が開かず振り切っていればああいう打球になるのか、福留のバッティング技術のなせる業なのか。


 翌日のチャイニーズタイペイ戦は一塁側で見ていました。多村がレフトファウルフライを壁に飛びつくように捕ったシーンを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。一塁側から見ていたのでレフト壁際のプレーも良く見えました。多村がジャンプした瞬間「捕れる!」と叫んだのをよく覚えています。まぁ2005年まで住んでいた横浜では横浜スタジアムまで自転車で通っていましたので多村の才能はよく知っているつもりでしたが。


 スタンドはガラガラでした。念のためにWikipediaで調べてみると中国戦は15,869人、チャイニーズタイペイ戦は31,047人となっています。中国戦の三塁側は本当にポツリポツリと人がいるだけで数えられるほどでした。中国戦は仕事帰りに同僚と行ったので平日だったはずです。中国には18対2、チャイニーズタイペイには14対3で勝っていますが、やる前からどう考えても韓国以外には負ける要素はありませんでした。あれから7年、予選でも苦戦するようになるとは全体のレベルが上がったのやら日本が弱くなったのやら。予選から騒ぎ過ぎるところが最大の問題点でしょうが。




*2006年WBCドミニカ代表チームによるサイン入りジャージ。アルバート・プホルス、デビッド・オルティスの左右の大砲以下、世界最強メンバーでした。「DO」の真下がアルバート・プホルス。













     *ジャージはアルバート・プホルスのオーセンティック・ジャージです。







 

15年 名古屋vsタイガース 10回戦


9月21日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 名古屋      41勝29敗5分 0.586 西沢道夫
0 0 0 0 4 1 0 2 X  7 タイガース 46勝27敗3分 0.630 若林忠志

勝利投手 若林忠志 18勝12敗
敗戦投手 西沢道夫 14勝7敗

二塁打 (名)三浦 (タ)田中、若林
三塁打 (タ)田中、伊賀上

勝利打点 若林忠志 3


若林忠志、2試合連続完封

 タイガースは初回、先頭のジミー堀尾文人が中前打で出塁、皆川定之の投ゴロで堀尾は二封、ピッチャー西沢道夫の一塁牽制に皆川がタッチアウト。皆川の投ゴロも送りバントを西沢が巧く処理した可能性がある。

 タイガースは2回、先頭の伊賀上良平が三塁に内野安打、二盗を試みるがキャッチャー三浦敏一からの送球にタッチアウト、カイザー田中義雄が左中間に二塁打、松木謙治郎は二ゴロに倒れて二死二塁、キャッチャー三浦の二塁牽制に二走田中はタッチアウト、ここまで名古屋バッテリーの堅い守りが見られた。

 タイガースは5回、先頭の田中が左越えに三塁打、松木が四球を選んで無死一三塁、若林忠志が左中間に先制二塁打を放って1-0、松尾に変わる代打比留木虎雄の三ゴロをサード芳賀直一がエラーする間に三走松木が還って2-0、比留木には打点が記録されている。なお無死一三塁から宮崎剛が左翼線にタイムリーを放って3-0、トップに返りジミー堀尾文人の投前バントを西沢が二塁に送球するがセーフ、野選となって無死満塁、皆川は遊飛に倒れるが本堂保次の左犠飛で4-0とする。

 タイガースは6回、先頭の伊賀上が左翼線に三塁打、田中の遊失で伊賀上は動かず無死一三塁、松木の右犠飛で5-0と突き放す。

 タイガースは8回、先頭の本堂が四球で出塁、伊賀上が左前打、田中の投ゴロで二走本堂は三封、松木は二飛に倒れて二死一二塁、しかし若林が中前タイムリーを放って6-0、森国五郎の左前打で二死満塁、宮崎の中前タイムリーで7-0とダメを押す。

 名古屋は初回、桝嘉一が遊失に生き、すかさず二盗に成功、村瀬一三は三振に倒れるが大沢清が四球を選んで一死一二塁、しかし吉田猪佐喜は右飛、三浦敏一は遊ゴロに倒れる。2回も先頭の中村三郎が中前打、芳賀直一も中前打で続いて無死一二塁、木村進一の送りバントを若林が巧く捌いて中村は三封、トップに返り桝の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。名古屋は序盤のチャンスを生かすことができなかったのが最後まで響いた。

 名古屋は8回、先頭の桝が右前打で出塁、しかし村瀬は三振、大沢の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。9回も一死後三浦が右翼線に二塁打を放つが中村は遊ゴロ、芳賀直一も遊ゴロに倒れて“試合終り”を告げるサイレンが鳴り響く。名古屋打線はゴロアウト14個で2併殺を喫するなど若林の術中にはまった。

 若林忠志は6安打2四球4三振で2試合連続、今季6度目の完封で18勝目をあげる。


 タイガースは9月16日にプロ入り初出場した松尾五郎が八番レフトでプロ入り初スタメン。松尾の入団の経緯について松木謙治郎は「タイガースの生いたち」に「昭和8年、私が大連実業に招かれて満州に渡ったとき、松尾が佐賀商業から外野手として入団してきた。・・・松尾は中学出たてとは思えぬほどの打力をもち、三番に起用されたが、その重責を立派につとめた。15年8月、満州遠征したとき、私は彼を阪神に勧誘した。・・・」と書いている。「都市対抗野球大会60年史」によると、昭和8年の第7回都市対抗に大連市代表として出場した大連実業は三番松木謙治郎、六番松尾五郎というラインナップであった。松尾は昭和18年に応召するが生き延びて地元に戻り、戦後は昭和27年の第23回都市対抗に佐賀大町町代表として杵島炭鉱の四番打者で出場することとなる。翌28年の第24回都市対抗にも杵島炭鉱の三番打者として出場して3打数1安打を記録している。


 タイガース5回の攻撃で松尾の代打に登場した比留木虎雄は昭和12年に長崎商業からタイガースに入団、12年暮れに入営して帰還復帰してきた。比留木は昭和16年までのプロ生活で通算3打点を記録するが、この日の打点が自身通算2打点目となる。戦争の時代を生き抜いて戦後は母校・長崎商業の監督に就任し、昭和27年には春夏連続甲子園に出場し、センバツはベスト8、夏はベスト4に進出している。このチームからは河津憲一(大阪タイガース)、太田正男(西鉄)の二人をプロに送り込むこととなる。


 満州からやって来てプロ入り初スタメンの松尾五郎と、松尾の代打に登場した比留木虎雄の二人は、戦争を挟んで12年後の昭和27年に檜舞台に帰ってくることとなるのである。




                 *若林忠志は6安打完封で18勝目をあげる。










                *数奇な運命を辿ることとなる松尾五郎と比留木虎雄。





























 

2013年3月18日月曜日

15年 セネタースvsライオン 10回戦


9月21日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 セネタース 40勝26敗9分 0.606 野口二郎
0 0 1 1 0 0 0 0 X 2 ライオン    19勝53敗4分 0.264 近藤久

勝利投手 近藤久       5勝14敗
敗戦投手 野口二郎 25勝9敗

三塁打 (ラ)広田

勝利打点 広田修三 3


毛差の争い

 セネタースは初回、苅田久徳の遊ゴロをショート前田諭治がエラー、ライオンは秋季シリーズ初の失策を記録した。村松長太郎は三飛に倒れるが、野口二郎の中前打で苅田が三塁を陥れて一死一三塁、小林茂太の左犠飛で1点を先制する。

 ライオンは3回、先頭の広田修三の三ゴロをサード高橋輝彦が一塁に悪送球する間に広田は二塁に進み、近藤は左飛、トップに返り村上重夫の二ゴロで二走広田は動けず二死二塁、玉腰年男が四球を選んで二死一二塁、坪内道則の中飛をセンター小林がエラーする間に二走広田が還って1-1の同点に追い付く。

 ライオンは4回、一死後前田が四球で出塁、広田が右中間に決勝の三塁打を放って2-1と勝ち越す。

 ライオン先発の近藤久は2回以降、セネタース打線を内野安打2本に抑えて無失点の力投を見せ、3安打2四球3三振1失点、自責点ゼロの完投で5勝目をあげて野口二郎に投げ勝った。



 8月23日に満州リーグが終わり夏季シリーズを終了した時点で鬼頭数雄は277打数90安打3割2分4厘9毛、川上哲治は268打数87安打3割2分4厘6毛と3毛差で鬼頭が今季通算の首位打者であった。秋季シリーズに入り、9月15日は鬼頭が4打数1安打で3割2分3厘8毛、川上は4打数2安打で3割2分7厘2毛と川上が逆転。16日は鬼頭が3打数1安打で3割2分3厘9毛、川上は4打数0安打で3割2分2厘5毛と鬼頭が再逆転。17日は鬼頭が4打数2安打で3割2分6厘4毛、川上は3打数2安打で3割2分6厘2毛と2毛差で鬼頭が首位打者をキープ。18~20日は試合がなく、21日は鬼頭が4打数1安打で3割2分5厘3毛、川上は3打数1安打で3割2分6厘2毛で川上が再々逆転となった。秋季シリーズに入って「毛差」の争いを続けている。










                *近藤久は野口二郎に投げ勝って5勝目をあげる。














     *川上哲治と激しい首位打者争いを繰り広げている鬼頭数雄率いるライオン打線。










 

2013年3月17日日曜日

15年 南海vsジャイアンツ 10回戦


9月21日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 南海       19勝52敗5分 0.268 政野岩夫
0 0 0 0 0 1 2 0 X 3 ジャイアンツ 54勝22敗 0.711 中尾輝三

勝利投手 中尾輝三 18勝7敗
敗戦投手 政野岩夫   6勝16敗

勝利打点 平山菊二 2


中尾輝三5安打完投で18勝

 南海はジャイアンツ先発中尾輝三の前に3回まで無安打。4回、本日二番に入った木村勉が右前打で出塁、吉川義次が右翼線にヒットを放って無死一三塁、しかし四番岩本義行は三飛、吉川が二盗を決めるが岡村俊昭は三振、伊藤経盛が四球を選んで二死満塁、前田貞行は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 ジャイアンツは初回に千葉茂が中前打を放って以降、南海先発政野岩夫の前に5回まで無安打に抑え込まれる。

 ジャイアンツは6回、一死後呉波がツーナッシングから粘って四球で出塁、水原茂の二ゴロの間に呉は二進、千葉茂が左前にタイムリーを放って1点を先制する。川上哲治も左前打を放つが千葉が二塁をオーバーランして「7-5-4」と渡りタッチアウト。

 南海は7回、先頭の岡村俊昭が中前打で出塁、伊藤が送って一死二塁、前田は三振に倒れるが、政野の三ゴロをサード水原がエラーして二死一三塁、藤戸逸郎が左前に同点タイムリーを放って1-1とする。

 ジャイアンツは7回裏、一死後白石敏男が右翼線にヒット、吉原正喜の一ゴロの間に白石は二進、平山菊二が中前に決勝タイムリーを放って2-1、平山が二盗を決めて中尾も中前にタイムリー、3-1とする。

 中尾輝三は5安打2四球8三振の完投で18勝目をあげる。









               *中尾輝三は自責点ゼロの完投で18勝目をあげる。












 

2013年3月16日土曜日

15年 阪急vsイーグルス 10回戦


9月21日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 0 1 0 2 阪急           43勝28敗5分 0.606 重松通雄 森弘太郎
0 0 0 0 0 1 1 5 X 7 イーグルス 39勝33敗4分 0.542 亀田忠

勝利投手 亀田忠     21勝14敗
敗戦投手 森弘太郎 22勝10敗

二塁打 (阪)山下実 (イ)岡田

勝利打点 山田潔 3


イーグルス、破竹の5連勝

 阪急は7月14日のセネタース7回戦以来の先発となる重松通雄、イーグルスはエース亀田忠が先発する。 

 阪急は3回、一死後中島喬が三塁に内野安打、フランク山田伝も左前にヒットを放って一死一二塁、ここで亀田忠の二塁牽制が悪送球となって一死二三塁、山下実の一ゴロの間に三走中島が還って1点を先制する。

 イーグルスは6回、先頭の岩垣二郎がストレートの四球、太田健一の二ゴロの間に岩垣は二進、中河美芳は三飛に倒れて二死二塁、次の亀田の三ゴロは「5FC」と記録されて二走岩垣が三進している。恐らく亀田の三ゴロが軟ゴロとなりサード黒田健吾は一塁は間に合わないと判断して三塁ベースに走ってきた二走岩垣にタッチに行ったが間に合わず野選が記録されたものと考えられる。公式記録員は一塁に投げていれば間に合ったと判断して内野安打ではなく野選と認定したのでしょう。ということで二死一三塁、ここで亀田が二盗に成功、キャッチャー日比野武からの二塁送球が悪送球となる間に岩垣が還って1-1の同点とする。

 イーグルスは7回、先頭の清家忠太郎が左前打で出塁、山田潔が四球を選んで無死一二塁、阪急ベンチはここで先発の重松から森弘太郎にスイッチ、トップに返り岡田福吉の三前バントが内野安打となって無死満塁、岩垣の一ゴロで三走清家は本封されて一死満塁、太田が中犠飛を打ち上げて2-1と勝ち越しに成功する。

 阪急は8回、先頭の田中幸男の三ゴロをサード木下政文が一塁に悪送球して田中は二塁に進む。森が投前に送りバントを決めて一死三塁、トップに返り中島がスクイズを決めて2-2の同点に追い付く。

 イーグルスは8回裏、先頭の亀田が右前打で出塁、寺内一隆が投前に送りバントを決めて一死二塁、木下が四球を選んで一死一二塁、清家もストレートの四球で一死満塁、阪急ベンチはセカンドの上田をショートに回し、ショートの田中に代えて伊東甚吉をセカンドに入れる。これは森に一息入れさせるための交代でしょう。しかし山田が右前に決勝タイムリーを放って3-2、トップに返り岡田が左翼線に二塁打を放って5-2、岩垣が右前に2点タイムリーを放って7-2と畳みかけて試合を決める。

 亀田忠は3安打2四球5三振2失点、自責点ゼロの完投で21勝目をあげる。亀田は6回の攻撃で盗塁を記録したが、筆者は亀田の盗塁は記憶がなかったので調べてみると昭和15年に2個だけ記録しており通算盗塁数は2個、スコアブックをめくってみると5月11日の名古屋3回戦で4回に二盗を決めています。この時も一三塁での一塁走者でした。得点シーンでなかったので実況中継しておらず、気付きもしませんでした。


 破竹の快進撃を続けるイーグルスはこれで5連勝、じりじりと二位争いを続けるタイガース、セネタース、阪急、名古屋に迫ってきました。快調イーグルスを引っ張っているのが岡田福吉、岩垣二郎の早稲田出身の一二番コンビです。本日も8回に山田の決勝打に続いて止めの連続タイムリーを放ちました。









                 *亀田忠は3安打完投で21勝目をあげる。











*快進撃を続けるイーグルス打線。亀田忠は6回に盗塁「O’」を決めている。亀田はプロ通算2盗塁です。2013年2月25日付けブログ「NO-HITTERS」に掲載させていただいたカードの写真の体型を見れば納得できるのではないでしょうか。











 

15年 ライオンvsタイガース 10回戦


9月17日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 ライオン     18勝53敗4分 0.254 福士勇 近藤久
0 0 0 0 0 1 0 2 X 3 タイガース 45勝27敗3分 0.625 藤村隆男 三輪八郎 若林忠志

勝利投手 若林忠志 17勝12敗
敗戦投手 近藤久       4勝14敗

勝利打点 皆川定之 4


皆川定之、同点打と決勝打

 ライオンは初回、先頭の坪内道則の三ゴロをサード伊賀上良平がエラー、坪内が二盗を決めて、村上重夫の右前打で無死一三塁、玉腰年男の投ゴロは「1-6-3」と渡ってゲッツー、三走坪内は動けず二死三塁、鬼頭数雄の三塁内野安打で1点を先制する。

 ライオンは2回、先頭の福士勇が右前打で出塁、トップに返り坪内が四球を選んで無死一二塁、タイガースベンチはここで先発の藤村隆男から三輪八郎にスイッチ、村上は三振、玉腰の投ゴロは「1-5-3」と渡ってダブルプレー。

 ライオン先発の福士は5回まで無安打1四球無失点の好投を続けるがこの回で降板、翌日の読売新聞によると「満州戦の過労から抜けきれず」とのことで、6回から近藤久が二番手としてマウンドに上がる。

 2回以降三者凡退が続くタイガースは6回、先頭の山根実が四球で歩くと二盗に成功、三輪は三振、トップに返りジミー堀尾文人も遊飛に倒れて二死二塁、皆川が右前に同点タイムリーを放って1-1とする。

 ライオンは8回、一死後坪内が左前打で出塁、村上も左前打で続いて一死一二塁、タイガースベンチはここで三輪に代えて若林忠志をリリーフに送る。玉腰は三飛、鬼頭(兄)は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 タイガースは8回裏、二死後堀尾が四球で出塁すると二盗に成功、皆川が中前に決勝タイムリーを放って2-1、皆川もバックホームの隙を突いて二塁に進み、本堂保次の右前タイムリーで3-1とする。

 若林忠志は9回表のライオンの反撃を三者凡退に抑えて17勝目をあげる。

 皆川定之が6回に同点タイムリー、8回に決勝タイムリーを放つ活躍を見せた。


 秋季シリーズから合宿を行っているライオンは3試合で守備率10割をマーク、満州リーグ最終戦から4試合連続無失策を続けている。翌日の読売新聞によると「兎に角ライオンの内野陣は見違えるばかりに引締まり遊撃前田(諭治=筆者注)の演じた二度の美技を始め終始無失策の快記録を飾った」とのこと。










     *皆川定之が同点打と決勝打を放ったタイガース打線。















*秋季シリーズに入って無失策を続けるライオン打線。選手名欄、守備位置欄の2列左が「失策欄」です。







 

15年 南海vs阪急 10回戦


9月17日 (火) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 19勝51敗5分 0.271 政野岩夫
0 0 0 0 0 0 0 2 X 2 阪急 43勝27敗5分 0.614 浅野勝三郎

勝利投手 浅野勝三郎 5勝5敗
敗戦投手 政野岩夫    6勝15敗

二塁打 (阪)山下実、浅野

勝利打点 山下好一 3


浅野勝三郎、4安打完封

 阪急は三番ファーストに山下実が登場、5月9日のライオン3回戦以来のスタメン出場となった。

 阪急は初回、二死後その山下実が中越えに二塁打を放つが山下好一は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は4回、先頭の黒田健吾が中前打で出塁、上田藤夫が送って二死二塁、しかし日比野武は中飛、田中幸男は三ゴロに倒れる。5回も一死後中島喬、フランク山田伝が連続右前打を放って一死一二塁とするが、山下実のファーストライナーに一走山田が戻れずダブルプレーでチャンスを逃す。

 阪急は8回、先頭の山田が四球から二盗に成功、山下実は敬遠されて新富卯三郎を代走に起用、パスボールで一死二三塁、山下好一の二ゴロは一二塁間の緩い打球だったようで捕球したセカンド上田良夫がそのまま一塁ベースに走り込む間に三走山田が還って1点を先制、一死三塁から黒田のスクイズが内野安打となって2-0として試合を決める。

 阪急先発の浅野勝三郎は2回、3回と味方のエラー絡みで一二塁のピンチを迎えるが2回は前田貞行を三ゴロ併殺に打ち取り、3回は藤戸逸郎を三振に打ち取ると飛び出していた二走政野岩夫を「2-4-5」で刺す変則三振ゲッツーで切り抜ける。浅野は4安打2四球1死球3三振で今季2度目の完封、5勝目をあげる。浅野の完封勝利は4月14日のタイガース2回戦で1四球のみの準完全試合をやって以来のこととなります。


 翌日の読売新聞に掲載されている論評は後楽園の二試合は鈴木惣太郎、甲子園の二試合は三宅正夫の署名記事ですが、鈴木はイーグルスのエンドラン多用について「飛ばぬ用球を考え、このイ軍理詰めのこの攻撃法は頗るよかった。」と書いている一方で、三宅は「最近球の反発力が悪くなっているとはいえ自らの打撃不振を用球の質的低下にへ藉口(口実をもうけて言い訳すること=筆者注)するが如きは断じて許されないことで、球が悪ければそれだけ技術の錬磨で或る程度補う事こそ当面の急務ではなかろうか、これは聯盟、全選手に警鐘としたい。」と手厳しい。








                 *浅野勝三郎は4安打完封で5勝目をあげる。

















     *久々に山下実がスタメンに顔を見せた阪急打線。