2013年1月3日木曜日

15年 イーグルスvsライオン 8回戦 満州リーグ


7月31日 (水) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 4 0 0 0 4 イーグルス 28勝26敗3分 0.519 亀田忠
3 2 0 0 0 0 0 0 X 5 ライオン     16勝38敗3分 0.296 菊矢吉男 福士勇

勝利投手 菊矢吉男 7勝14敗
敗戦投手 亀田忠  15勝13敗
セーブ     福士勇 1

二塁打 (イ)岩垣 (ラ)鬼頭

勝利打点 戸川信夫 2


 
ライオン辛くも逃げ切る

 第二試合は午後6時17分、横沢三郎球審が試合開始を宣して始まった。

 ライオンはプロ入り初出場となる村上重夫を二番ライトで起用した。7月30日付け読売新聞は満州に向かう吉林丸の船中で開催された理事会でライオンの村上重夫、佐野忠澄と金鯱の福永一馬の登録を承認したと伝えている。村上は中京商業では吉田正男の一年上となり、昭和6年~8年の中京三連覇のうち昭和6年はセンターでクリーンアップを打ち、7年は一番センターで活躍した。昭和6年、7年のセンバツでは優秀選手賞にも輝いている。満州日日新聞にも「打撃王鬼頭を左翼に新選手村上を右翼、更に坪内が中堅に収まるであろう外野陣は九チーム中屈指の好外野陣」と書かれており高い評価を受けている。ルーキーと言っても27歳で、中京商業から明治大学に進み、倶楽部チームでも野球を続けていたと考えられるベテランでもある。

 ライオンは初回、先頭の坪内道則が四球で出塁、村上の三ゴロをサードサード木下政文が二塁に送球するがセカンド岡田福吉が落球して無死一二塁、ピッチャー亀田忠の二塁牽制が悪送球となって坪内は三進、戸川信夫の一ゴロをファースト長谷川重一がエラーする間に坪内が還って1点を先制、戸川には打点が記録される。鬼頭数雄が四球を選んで無死満塁、玉腰年男の死球が押出しとなり村上がプロ入り初得点を記録して2-0、広田修三の三ゴロが「5-4-3」と渡る併殺となる間に三走戸川が還って3-0とする。

 ライオンは2回、一死後菊矢吉男が中前打、トップに返り坪内は三振に倒れるが菊矢が捕逸で二進後、村上が四球を選んで二死一二塁、戸川も四球を選んで二死満塁、鬼頭が左中間に二塁打を放って5-0と突き放す。

 ライオン先発の菊矢吉男は5回まで1安打5四球3三振無失点で降板し、6回から福士勇がマウンドに上がる。

 イーグルスは6回、先頭の玉腰忠義が四球で出塁、谷義夫が中前打を放って無死一二塁、木下の投ゴロの間に二者進塁、清家忠太郎は投ゴロに倒れるが山田潔が四球を選んで二死満塁、トップに返り岡田が押出し四球を選んで1-5、岩垣二郎が左翼線に二塁打を放って3-5、長谷川のピッチャー強襲ヒットで4-5、亀田は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 福士は7回にも一死後谷に右前打を許すが後続を抑える。8回も二死後岩垣に左翼線に運ばれるが長谷川を中飛に抑える。9回は一死後玉腰忠義に四球、代走に宗宮房之助を起用、谷にも中前打を浴びて一死一二塁、木下に代わる代打菅利雄を中飛に打ち取り二死一二塁、清家に代わる代打杉田屋守の遊ゴロをショート加地健三郎がお手玉する間に二走宗宮が三塁ベースを蹴ってホームを突くがは球を拾い上げた加地からのバックホームにタッチアウト、試合終了を告げるサイレンが満州の空に高々と響き渡る。

 福士勇は4イニングを投げて6安打4四球1三振4失点であったが何とか逃げ切り当ブログルールによりセーブが記録される。菊矢吉男は5月12日に6勝目をあげてから8連敗が続いていたが好投を見せて7勝目をあげる。

 ライオン打線は4本の外野に抜けるヒットを放ったが外野飛球は0本、イーグルス外野陣は刺殺0であった。


 試合終了は午後7時58分であった。イーグルスとジャイアンツは明日は大連で対戦しますので夜行列車で大連に向かうこととなります。大連-奉天間は昼間でも5時間半かかりますので夜行列車ではもう少しかかるのではないでしょうか。












              *菊矢吉男は5月12日以来の勝星で7勝目をあげる。













*辛くも逃げ切ったライオン打線。吉林丸の船中で登録を承認された村上重夫がスタメンで起用された。













     *イーグルスは追い詰め切れず。谷義夫が猛打賞を記録した。





 

2 件のコメント:

  1. 村上重夫は明大卒業後は大阪田村駒商店でプレーしました。

    ちなみに大阪田村駒商店は39年の都市対抗では太陽レーヨンの名で出場しました。近畿地区から傍系の庄内田村駒商店が出てきたためです。
    2回戦で太陽レーヨンと庄内田村駒の兄弟対戦となり、庄内田村駒が勝利しています。庄内田村駒はその大会で準優勝しました。

    いわずもがな、両チームともライオン軍のオーナーだった田村駒次郎の会社チームでした。
    その関係から、村上の他にも、灰山元章(慶大)、戸川信夫(浪商)、中谷順次(和歌山商)、酒沢政夫(育英商)らがライオン軍に入団しています。

    一昔前の西武とプリンスホテルのようなシステムだったようですね。

    http://eiji1917.blog62.fc2.com/

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    1. ご教示ありがとうございます。太陽レーヨンは大卒選手を集めていたのに対して、庄内田村駒は中学出身者主体の無名選手集団だったようですね。決勝では藤倉電線の吉田正男に完封されましたが旋風を巻き起こしたようです。

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