2012年12月23日日曜日

15年 イーグルスvs南海 6回戦


7月13日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 イーグルス 27勝23敗3分 0.540 長谷川重一 亀田忠
4 0 0 0 0 0 0 0 X 4 南海          16勝34敗2分 0.320 政野岩夫

勝利投手 政野岩夫     5勝8敗
敗戦投手 長谷川重一 7勝4敗

三塁打 (イ)岩垣、太田

勝利打点 なし


鮮やかな先制攻撃

 南海は初回、先頭の岩出清がレフト線にヒット、藤戸逸郎が中前打を放って無死一二塁、国久松一も中前打で続き、センター岩垣二郎からの返球を中継したショート山田潔の本塁送球が悪送球となる間に岩出が還って1点を先制する。記録はワンヒットワンンエラーで国久には打点は記録されていないので勝利打点も記録されません。送球の間に一走藤戸は三塁、打者走者の国久は二塁に進んで無死二三塁、吉川義次が左前に2点タイムリーを放って3-0、レフト谷義夫からのバックホームをピッチャー長谷川重一がエラーする間に吉川は三塁に進む。イーグルスベンチはここで先発の長谷川を下げて亀田忠が二番手としてマウンドに上がる。無死三塁から木村勉の当りは一ゴロ、三走吉川が飛び出したのを見てファースト中河美芳は三塁に送球してタッチアウト、ここは中河のファインプレーであった。山尾年加寿の三ゴロの間に木村は二進、サード木下政文からの送球をキャッチした中河が今度は二塁に送球するがこれが悪送球となって木村は三塁に進む。ここは中河が調子に乗り過ぎた。二死三塁となって伊藤経盛が中前にタイムリーを放ち4-0とする。南海の鮮やかな先制攻撃であった。

 政野岩夫の下手投げに6回まで2安打に抑えられてきたイーグルスは7回、先頭の太田健一が左中間に三塁打、谷義夫に代わる代打玉腰忠義が右翼線にタイムリーを放って1-4とする。

 政野岩夫は118球を投げて5安打3四球2三振の完投で5勝目をあげる。


 代打に出てイーグルス唯一の得点を叩き出すタイムリーを放った玉腰忠義は現在ピッチャーとしても初登板以来20イニングス連続無失点を続けて防御率0.00である。玉腰忠義は結局投手としては通算1勝6敗で終わることとなるが戦後は駿足好守の好打者として活躍し、通算469安打を記録することとなる。投手通算成績は1勝6敗ではあるが、完投を6回記録している。投手としての能力も高かったが打線に恵まれなかったということでしょう。それが却って打者転向に踏ん切りがついた要因かもしれません。南海の木村勉もイーグルスの玉腰忠義も戦前は投手からスタートして投手としては芽が出ませんでしたが戦後は野手として大いに活躍しました。花巻東の大谷の将来を暗示しているように見えるのは筆者だけでしょうか。


 当時の選手の多くが徴兵延期を目的として大学に籍を置いていたのは有名な話です。中河美芳もその一人でしたが何故か中河だけが憲兵隊に目を付けられていました。スケープゴードに巨人以外の選手が狙われるのは世の常であり、できれば人気選手である方が好都合であり、そんな条件にお調子者の中河美芳はぴったりだったのでしょう。野球史的観点からそれが残念だったのは、中河美芳が史上最高の一塁守備の持主であったことです。この試合の中河美芳のプレーぶりを見ると、そんなことを感じずにはおれません。一枚のスコアカードから、こういうことを読み解くのが当ブログの目的です。ここまで読んで池永正明を連想できれば立派な当ブログ通と言えます。









*政野岩夫は下手からの投球が冴えて5安打完投で5勝目をあげる。













*当ブログは南海1回の攻撃を上記のように解読しました。三走吉川義次が木村勉の一ゴロで「3-5」でアウトになっているところと、一走木村が山尾年加寿の三ゴロで「3’-6」により三塁に進塁しているところがポイントです。読者の皆さんも解読作業に挑戦してみてください。







 

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