2012年3月13日火曜日

14年 ジャイアンツvsセネタース 9回戦


9月20日 (水) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 0 0 1 0 3 ジャイアンツ 50勝19敗2分 0.725 スタルヒン 中尾輝三 楠安夫
1 0 1 2 0 0 0 1 X 5 セネタース   40勝29敗4分 0.580 野口二郎


勝利投手 野口二郎   27勝15敗
敗戦投手 スタルヒン 31勝11敗


二塁打 (セ)横沢、柳

野口二郎、スタルヒンに投げ勝つ


 セネタースは初回、一死後横沢七郎が中前打で出塁、尾茂田叶の二ゴロでランナーが入れ替わり、野口二郎のセンター右へのヒットで尾茂田は三塁に進んで二死一三塁、野口が二盗を決めて二死二三塁、ここでキャッチャー吉原正喜がスタルヒンの投球を後逸する間に尾茂田が還って1点を先制する。吉原は昭和13年のデビュー当時スタルヒンの球が捕れず、スタルヒン登板時にはスタメンを外されていたが体中をアザだらけにする特訓でスタルヒンの投球を捕れるようになった。しかしながら本日は手痛い捕逸を犯した。

 ジャイアンツは3回、先頭の吉原が汚名挽回の左翼線ヒットで出塁、スタルヒンが投前に送りバントを決めて白石は四球、水原茂の三塁内野安打で一死満塁、千葉茂の右犠飛で1-1の同点、中島治康が中前にタイムリーを放って2-1と逆転する。

 セネタースは3回裏、一死後横沢が右中間に二塁打、尾茂田叶は四球、野口の一ゴロで尾茂田が二封されて二死一三塁、柳鶴震が中前に同点タイムリーを放って2-2とする。

 セネタースは4回、一死後森口次郎が四球を選んで出塁、織辺由三は三振に倒れるが、トップに返り苅田久徳が中前に弾き返して森口は三塁に進む。苅田が二盗を決めて二死二三塁、横沢が左前に2点タイムリーを放って4-2とする。

 ジャイアンツは8回、先頭の川上哲治が右前打で出塁、アチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)の右前打で無死一三塁、リベラの代走に呉波を起用、平山菊二が左前にタイムリーを放って3-4と1点差に詰め寄りなお無死一二塁、しかしここで野口二郎が踏ん張り吉原の投ゴロで呉は三封、スタルヒンの代打三田政夫の遊ゴロは「6-4-3」のセネタース併殺網に掛かってスリーアウトチェンジ。スタルヒンに代打を出したジャイアンツは8回から中尾輝三をマウンドに送る。

 セネタースは8回裏、先頭の佐藤武夫は中飛、森口に代わる代打小島二男は三振に倒れて二死無走者、しかしここから粘りを見せて織辺が四球を選んで二死一塁、トップに返り苅田が中前にヒットを放って二死一二塁、横沢が四球を選んで二死満塁、ジャイアンツはここで中尾を下げて楠安夫を三番手としてマウンドに送るが、尾茂田が押出し四球を選んで5-3と突き放して快勝する。

 野口二郎はスタルヒンに投げ勝って11安打を許しながら3四球5三振の完投で27勝目をあげ、スタルヒンに4勝差と迫った。


 翌日の読売新聞によるとセネタースの勝因は守備陣にあったとのこと。2回に一死一二塁のピンチを迎えるが平山の遊ゴロはショート柳からセカンド苅田に送られ苅田は一塁に擬投してから一転三塁に送球、オーバーランしていた二走川上を刺して「6-4-5」の併殺を完成させた。左眼で打者走者平山を睨みながら右眼で川上の動きを察知して瞬時に三塁送球を判断する苅田ならではの名人芸であった。4回の二死一二塁のピンチにも水原の左翼線を襲う猛ライナーをレフト織辺が背走逆シングルでスーパーキャッチを見せたとのことである。


 秋季シリーズもこれで40試合を終了、各チーム10試合弱を終えて現在首位打者はジャイアンツの吉原正喜で4割4分。この試合で3回に同点タイムリーを放ったセネタースの柳鶴震が3割8分9厘で第二位。戦前随一のクラッチヒッター・金鯱の小林茂太が3割8分7厘、打撃好調のタイガース・皆川定之が3割8分5厘で続いている。






        *野口二郎はスタルヒンに投げ勝って27勝めをあげる。






            *「6-4-5」のダブルプレーで川上が苅田に刺された場面。







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