2012年3月9日金曜日

14年 名古屋vsタイガース 10回戦


9月18日 (月) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8  9   計
0 0 0 0 0 1 4 1  0   6 名古屋      27勝43敗3分 0.386 西沢道夫 松尾幸造
0 0 3 0 0 0 3 0 1X  7 タイガース 47勝22敗2分 0.681 木下勇 若林忠志


勝利投手 若林忠志 16勝4敗
敗戦投手 松尾幸造   6勝12敗


二塁打 (名)村瀬
三塁打 (名)中村

皆川定之、サヨナラ打


 タイガースは3回、先頭の木下勇が中前打を放って出塁、皆川定之が投前に送りバントを決めて、トップに返り松木謙治郎四球で一死一二塁、二番に入ったジミー堀尾文人の三塁内野安打で一死満塁、三番門前真佐人の左飛をレフト桝嘉一が落球して1点を先制する。桝にはエラー、門前には犠飛が記録される犠打エラーとなった。更に二走松木も三塁を蹴ってホームに向かい、白球を拾った桝からの返球を中継したショート村瀬一三の本塁悪送球の間に松木も還って2-0、一死二三塁から景浦将の遊ゴロの間に三走堀尾が還って3-0とする。

 5回までタイガース先発・木下勇の下手からの軟投に2安打に抑えられていた名古屋は6回、先頭の桝が中前打で出塁してパスボールで二進、しかし石田政良の投ゴロに桝が飛び出して二三塁間で挟殺プレーとなり「1-5-4-1」と渡ってタッチアウト、この間に打者走者の石田は二塁に進む。大沢清は右飛に倒れて二死二塁、加藤正二が左前にタイムリーを放って1-3とする。

 名古屋は7回、先頭の中村三郎が右中間に三塁打、芳賀直一の左飛をレフト森国五郎が落球して2-3、西沢道夫が投前に送りバントを決めて一死二塁、村瀬の一ゴロの間に芳賀は三進、トップに返り桝の左翼線タイムリーで3-3の同点、石田の三ゴロをサード伊賀上良平がエラー、大沢四球で二死満塁、タイガースベンチはここで先発の木下をあきらめて若林忠志をマウンドに送る。しかし四番加藤が若林の初球を左前に運び二者を迎え入れて5-3と逆転に成功する。加藤はここ三試合で8打点を記録して四番の貫録を見せる。

 タイガースは7回裏、一死後森に代わる代打中田金一が四球を選んで出塁、若林の右翼線ヒットで中田は三塁に進み一死一三塁、皆川が右前にタイムリーを放って4-5、トップに返り松木の一ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、堀尾が中前に2点タイムリーを放って6-5と再逆転する。レフトには代走の中田に代わって富松信彦が入る。

 名古屋は8回、先頭の中村が四球を選んで出塁、代走に高木茂を起用、芳賀の右前打で無死一二塁、西沢に代わる代打天野竹一の投前送りバントは若林が三塁に送球して高木は三封、村瀬が四球を選んで一死満塁、桝は一飛に倒れるが石田に代わる代打服部受弘の三ゴロをサード伊賀上がエラーする間に芳賀が還って6-6の同点に追い付く。

 名古屋は8回から西沢に代わって松尾幸造がマウンドに上る。

 タイガースは8回裏、先頭の景浦が四球を選んで出塁、代走に釣常雄を起用、伊賀上は三振、岡田宗芳は中飛に倒れて二死二塁、釣が二盗を試みるがキャッチャー三浦敏一からの送球にタッチアウト。釣は景浦に代わってそのままライトに入る。

 名古屋は9回、加藤が右飛に倒れるが三浦が右前打で出塁、高木は左飛に倒れるが芳賀が左前打を放って二死一二塁、タイガースベンチはここでライトを釣から松廣金一に交代、天野は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 タイガースは9回裏、富松に代わる代打カイザー田中義雄が左前打で出塁、代走に山根実を起用、若林が投前に送りバントを決めて一死二塁、皆川が左前にサヨナラタイムリーを放ってタイガースが7対6で接戦をものにする。翌日の読売新聞によると皆川のサヨナラ打は遊撃を強襲して「俄かに左翼方面へバウンドを変え」るイレギュラーヒットであった。


 名古屋は13人を注ぎ込み11安打、タイガースは16人を注ぎ込み7安打。7安打のタイガースが11安打の名古屋を破った。

 勝敗を分けたのは選手層の違いであった。名古屋は8回、四球で出塁した中村三郎に代走・高木茂を起用、西沢道夫に代打天野竹一を起用して同点には追い付いたものの、そのまま天野をセカンド、高木をセンターに起用した。9回に高木と天野に打順が回ってきたが試合経験の少ない二人は共に凡退した。

 一方、タイガースは森国五郎に代打・中田金一を起用してレフトには中田に代わって富松信彦が入り、9回は富松に代打・カイザー田中義雄を起用して左前打を放った田中に代走・山根実を起用し、皆川の左前打で山根がサヨナラのホームを踏んだ。ライトの景浦にも釣常雄を代走に送り9回には釣に代えて松廣金一を起用するなど、兵役で主力選手が数多く抜けている状況にありながらも選手層の厚さを見せつけた一戦であった。

 病気のため戦列を離れていたカイザー田中義雄が貴重な代打安打を放った。今季は15試合の出場に止まり16打数5安打を記録することとなるが終盤戦は代打の切り札となる。

 9回裏に田中の代走に起用されて劇的なサヨナラのホームを踏んだ山根実は16日のイーグルス戦に続いて二試合連続代走から得点を記録した。山根は今季8打数無安打2得点を記録することとなるが今季の全得点をこの2試合で記録することとなった。隠れたラッキーボーイである。

 7回に代打に起用されて3得点の口火を切る四球を選んだ中田金一は日新商業から今季入団した新人で山口政信、本堂保次の後輩となる。今季は9打数1安打1得点を記録することとなるので、本日の得点が今季唯一の得点となる。



             *選手層の厚さを見せつけたタイガース打線。









             *皆川定之がサヨナラタイムリーを放った場面。




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