2012年3月18日日曜日

14年 タイガースvs南海 11回戦


9月23日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 タイガース 49勝23敗2分 0.681 宮口美吉
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 南海      31勝41敗4分 0.431 木下勇


勝利投手 宮口美吉 8勝11敗
敗戦投手 木下勇    2勝2敗


二塁打 (タ)富松

宮口美吉、一世一代の快投


 翌日の読売新聞は「宮口、タ軍を封ず」の大見出しで「南海宮口は稀に見る好投を示してタ軍を無得点に斥け」たと伝えている。「彼は難点たる制球力に僅かの乱れも見せず十分スピードを乗せて外角から打者の手許へ斜めに切れ込む直球をもって全面的にタ軍打者を苛(さいな=筆者注)み許した安打4、四球1の好投振りであった。」とのことである。サイドからのクロスファイアが右打者の膝元に食い込んでくるのであろう。外角球はナチュラルにシュートしているのでしょう。

 南海は6回、一死後鶴岡一人が左前打で出塁、7月12日の名古屋戦以来約2カ月ぶりに四番に起用された中村金次も左前打を放って一死一二塁、国久松一の投ゴロをピッチャー木下勇が一塁に痛恨の悪送球、一死満塁となって吉川義次の中犠飛により1点を先制する。この得点が両チーム唯一の得点であった。

 南海先発の宮口美吉は1回~4回までパーフェクトピッチング。1回は松木を二ゴロ、堀尾を三ゴロ、門前を三ゴロに打ち取る。2回は景浦は左飛、伊賀上は遊ゴロ、富松は三振に倒れる。3回は皆川が左飛、岡田が中飛、木下が二飛を打ち上げる。4回は松木が投ゴロ、堀尾が三ゴロ、門前は中飛に終る。

 5回も景浦は中飛、伊賀上が右飛に倒れて史上空前の完全試合が見えてきたところで富松信彦に左中間を抜かれて二塁打を許す。続く皆川定之を左飛に打ち取りスリーアウトチェンジ。6回は先頭の岡田宗芳に三塁線を破られるが二塁を狙った岡田をレフト平井猪三郎からの送球で刺してピンチの芽を摘む。木下一飛後、松木謙治郎に四球を与えて二死一塁、ジミー堀尾文人の左前打をレフト平井が後逸する間に一走松木は二塁、三塁を蹴ってホームを狙うが平井からの返球を中継したショート小林悟楼のバックホームにタッチアウトとなりこの回も無得点。レフトの平井猪三郎は1イニングで1失策2補殺を記録した。

 6回に1点を貰った宮口は7回にタイガースのクリーンナップトリオを迎えるが門前真佐人を三ゴロ、景浦将を三振、伊賀上良平を遊ゴロに打ち取る。8回は富松に代わる代打カイザー田中義雄を右飛に打ち取り、当っている皆川に三遊間を破られるが岡田の三ゴロが「5-6-3」と渡ってダブルプレー。これは「5-4-3」の間違いでは無くスコアブックには「5-6-3」と記録されている。恐らくエンドランが掛かっていてショートの小林が二塁ベースカバーに入っていたからでしょう。岡田がバントの構えからバスターエンドランを見せたのでセカンドの上田良夫は一塁ベースカバーに向かっていたのかもしれない。


 宮口美吉はタイガースの最終回の攻撃も木下に代わる代打中田金一を三振、トップに返り松木を左飛、最後は堀尾を三ゴロに打ち取り、4安打1四球3三振で8月9日の阪急戦以来今季2度目の完封を飾り8勝目をあげる。一世一代の快投を見せた宮口は今季を最後に戦場に赴き昭和17年に一度プロ野球に帰還するが戦死することとなり、その名は「鎮魂の碑」に刻まれている。




     *一世一代の快投を見せた宮口美吉は4安打1四球3三振の完封で8勝目をあげる。





                *宮口に封じ込められたタイガース打線。



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