2012年1月8日日曜日

14年 ライオンvs南海 8回戦


8月15日 (火) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  計
0 0 0 0 0 4 0 0 2  0   0   6 ライオン 20勝32敗5分 0.385 菊矢吉男 福士勇
0 0 0 0 2 2 0 2 0  0  1X  7 南海      24勝31敗3分 0.436 宮口美吉 天川清三郎 劉瀬章 平野正太郎 政野岩夫


勝利投手 政野岩夫 11勝10敗
敗戦投手 福士勇       9勝11敗


二塁打 (ラ)岡本 (南)小林


南海、5投手で延長戦を制す


 このところ好調を持続している南海先発の宮口美吉は5回までライオン打線に付け入る隙を与えず1安打無失点。3回には一死後岡本利之、菊矢吉男に連続四球を与えたが山本尚敏、井筒研一を連続三振に打ち取る。

 4回まで無安打の南海は5回裏、二死後宮口が四球を選んで出塁、小林悟楼の左中間タイムリー二塁打で宮口が生還して1点を先制、トップに返り平井猪三郎が左前タイムリーを放って2-0とする。

 ところがライオン6回の攻撃で宮口が突然乱れた。先頭の坪内道則四球、玉腰年男も四球、キャッチャー中田道信からの二塁牽制が悪送球となって無死二三塁、水谷則一も四球を選んで無死満塁、鬼頭数雄が押出し四球を選んで1-2、南海ベンチはここで宮口をあきらめて天川清三郎をリリーフに送るが、岡本が左翼線に二塁打を放って二者還り3-2と逆転に成功、菊矢が左犠飛を打ち上げて4-2とする。

 南海は6回裏、先頭の鶴岡一人が四球を選んで出塁、岡村俊昭は左飛に倒れるが国久松一、吉川義次が左前に連打して一死満塁、ライオンベンチはここで先発の菊矢から福士勇にスイッチ、しかし中田が押出し四球を選んで3-4、天川に代わる代打中村金次が右犠飛を打ち上げて4-4の同点に追い付く。

 南海は天川に代打を送った関係で7回から劉瀬章が三番手としてマウンドに上がる。

 南海は8回、二死後吉川が四球を選んで出塁、中田の三ゴロをサード井筒研一がエラーして二死一二塁、平野正太郎が左翼線にタイムリーを放ち5-4と勝ち越す。一走中田は三塁に進み打者走者平野もバックホームの隙を突いて二塁に進み二死二三塁、小林のピッチャー強襲ヒットで中田が還って6-4とする。

 平野には代打の記録が無く、劉は8回を投球完了したと記録されているので恐らく8回表二死後の井筒の打席でピッチャー有利のカウントの時に劉瀬章から平野に交代して井筒が中飛に倒れたのでしょう。広瀬謙三著「野球スコアの付け方(ベースボール・マガジン社、昭和32年8月5日第一刷)によるとこの場合は劉が打ち取ったと記録されます。8回裏の攻撃で打席が回ってくれば当然平野の打席となります。本来であれば打席の途中で投手交代があった場合はスコアブックには途中交代が分かるように書かれているのですが、平野は9回から登板したと記載されています。であれば8回の平野の打席は代打で登場でなければおかしい。但しスコアブックが誤記載で単に平野の打席に代打の記録が抜けており実際は代打であった可能性もあります。「日本プロ野球記録大全集」のテーブルスコアにも平野の打席には「代打」とは記載されていません。但し「日本プロ野球記録大全集」は私が解読しているスコアブックと同じスコアカードからテーブルスコアを作成したと考えられますのでスコアブックの記載が間違っていればテーブルスコアの記載も事実とは異なることとなります。

 と言うことでライオン9回の攻撃ではマウンドに四番手平野正太郎が上っています。先頭の西端利郎に代わる代打近藤久が四球を選んで出塁、南海ベンチはここであっさりと平野を下げて五番手に政野岩夫をマウンドに送る。トップに返り坪内も四球を選んで無死一二塁、玉腰の一塁線送りバントをファースト吉川が一塁ベースカバーに入ったセカンド国久に悪送球する間に近藤が還って5-6としてなお無死一三塁、水谷が右前に同点タイムリーを放って6-6に追い付く。しかし鬼頭は中飛、岡本は一ゴロ、福士は三振に倒れて同点止まり。その裏の南海の攻撃も無得点で延長戦に突入する。

 南海は11回裏、先頭の平井が右翼線安打で出塁、岩出清が送って一死二塁、鶴岡は当然敬遠で一死一二塁、岡村は中飛に倒れて二死一二塁、ここで国久が左前にサヨナラタイムリーを放ち南海がライオンを7対6で打っ棄る。


 南海は8安打12四球、ライオンは6安打13四球、両チーム合計25個の四球が乱れ飛んだとあって、手に汗握る大接戦とは言い難い延長11回の死闘であった。12時30分に始まったこの試合の終了は14時40分で珍しく2時間をオーバーした要因は合計25四球にある。


 南海が繰り出したピッチャーは5人ですが、これは昭和13年7月17日、13年春季リーグ戦タイガースvsジャイアンツ戦でジャイアンツが前川八郎、川上哲治、スタルヒン、水原茂、成田友三郎の5人の継投を行った以来のこととなります。おそらく昭和11年にも無かったでしょうし、日本運動協会、宝塚運動協会、天勝野球団でも無かったと推察されますのでプロ野球タイ記録の可能性があります。但しジャイアンツの記録は川上、水原という野手を専業とするピッチャーも登板しておりシーズン最終戦の顔見せ興行という側面もあったと考えられます。本日の南海は5人ともピッチャー専業ですので実質的にはプロ野球新記録と言えます。







             *南海は5人の継投で勝利をものにする。







               *国久松一がサヨナラヒットを打った場面。


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