１４年 イーグルスvs阪急 ２回戦

3月30日 （木） 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 イーグルス １勝５敗１分 0.167 亀田忠

0 1 0 0 2 4 1 0 X 8 阪急           ４勝３敗       0.571 荒木政公

勝利投手 荒木政公 １勝０敗

敗戦投手 亀田忠     １勝２敗

二塁打　（阪）西村

荒木政公、プロ入り初先発初完封！

　阪急は注目のルーキー荒木政公がプロ入り二度目の登板にして初先発。

　阪急は2回、一死後上田藤夫が左前打、伊東甚吉の二ゴロをセカンド漆原進がエラーして無死一二塁、石井武夫が中前に先制タイムリーを放って1-0とする。

　阪急は5回、先頭の西村正夫が四球で出塁するとすかさず盗塁、フランク山田伝の二ゴロを又も漆原がエラーして無死一三塁、山田も二盗を決めて無死二三塁、矢張りバッキー･ハリスが抜けた弱点を突いている。山下実は四球（敬遠か）で無死満塁、ここでキャッチャー伏見五郎がパスボールを犯して三走西村が生還して2-0、バックネットまで白球を追った伏見からの送球を受けたピッチャー亀田忠は一走山下実の離塁が大きいと見るや一塁に送球、山下実は一二塁間に挟まれて挟殺プレーとなる。パスボールで三塁に進んだ山田がホームに突っ込むとファースト中河美芳は伏見に送球、タイミングはアウトであったがこれを伏見が落球して3-0とする。

　阪急は6回、先頭の石井が四球で出塁、荒木の中前打で無死一二塁、トップに返り西村が左翼線にタイムリー二塁打を放って4-0、山田が四球を選んで無死満塁、山下実は三振に倒れるが山下好一の一塁内野安打で二者還って6-0、一走山下好一が牽制に刺されて二死三塁、ここで三走山田伝が単独ホームスチールを決めて7-0とする。

　阪急は7回、先頭の伊東が四球で出塁、石井の一ゴロでランナーが入れ替わり、荒木の三ゴロの間に石井が二進、西村の一塁内野安打で石井が還って7-0とする。

　荒木政公は初回、一死後太田健一に左前打を許し太田が二盗、中河の投ゴロで太田が飛び出したところに荒木が二塁に送球して太田を二三塁間に挟み「1・6・5-1」でタッチアウトとして落ち着いたようだ。2回は三者凡退、3回は一死後山田潔を四球で歩かせるが寺内一隆を遊ゴロに仕留めて6-4-3のゲッツー。4回は先頭の太田を四球で出すが後続を抑え、5回、6回は三者凡退。7回は先頭の中河に左翼線ヒットを許し、一死後杉田屋守に右前に運ばれるがライト西村が三塁を狙った中河を刺してピンチを未然に防ぐ。8回も先頭の漆原を四球で出すが伏見の遊ゴロは6-4-3のゲッツー。9回を三者凡退で抑えてプロ入り初先発を3安打4四球4三振の完封で飾る。

　荒木政公は各球団が狙っていた逸材。大和球士著「真説 日本野球史」によると、阪急の村上実代表が荒木家を訪ねた際、壁に各球団から提示された契約金の額が張ってあったとのこと、当然阪急が一番高い額を提示して射落とした訳である。ジャイアンツは長崎の荒木詣でのついでに熊本に寄って吉原正喜と川上を獲った訳で、「◎荒木」は逃したが「○吉原」と「△川上」を獲った訳であるが、元々川上の打撃に注目していたと歴史を書き換えている節がある。それなら何故昭和14年にも川上をピッチャーで使っているのですか？歴史などは後世の主流派が都合よく書きかえる訳で、荒木が戦死せずに戦後大監督になって川上が戦死していたら今度は荒木に都合よく書き換えられる訳です。と言うことで、荒木政公のプロ野球選手としての現役生活は今年限りで終止符を打たれることとなり、戦後を迎えることはなかった。

　　　　　　　　　　＊荒木政公はプロ入り初先発初完封