2011年8月6日土曜日

14年 3月 月間MVP

 今季から一シーズン制が採用され、今年は3月中旬から11月中旬までがペナントレースの期間となります。3月は各チーム8試合前後しか消化していませんので3月の月間MVPは4月と統合するという選択肢もありますが、今月から表彰させていただくこととします。


月間MVP

投手部門

 名古屋 松尾幸造 1

 今月の成績は1勝3敗と聞いて唖然とする方が多数いらっしゃるかと思いますが、間違いではありません。松尾は6試合に登板して48回を投げ、26安打、24四球、22三振、自責点は4、防御率0.75、WHIP 1.04、奪三振率4.13の成績です。勝運に恵まれず、1勝3敗に終わりました。

 ライバルの御園生崇男は5試合に登板して4勝1敗、30回を投げて20安打9四球7三振、自責点は7、防御率2.10、WHIP 0.93、奪三振率2.10。

 勝ち数はチームの状況に左右されますが、各種スタッツはその投手が発揮した能力評価となります。

 他の候補のスタッツは、

 金子裕  5試合で3勝0敗、22回      防御率3.57、WHIP 1.54、奪三振率4.91。
 福士勇  5試合で2勝0敗、40回      防護率1.58、WHIP 1.03、奪三振率3.60。
 スタルヒン3試合で2勝1敗、26回1/3 防御率1.71、WHIP 1.03、奪三振率7.96。
 菊矢吉男 5試合で2勝2敗、36回2/3 防御率1.72、WHIP 1.34、奪三振率4.50。

 近年のメジャーリーグにおけるサイ・ヤング賞投票では勝ち数は重要視されず、各種スタッツを重視する傾向が年々強まってきています。2010年11月15日付けブログ「三冠への道⑲&一騎打ち⑮」において、アメリカン・リーグ サイ・ヤング賞について、21勝7敗のC.C.サバシアではなく13勝12敗のフェリックス・ヘルナンデスと予想する理由を述べていますので参照してみてください。

 松尾幸造の防御率が0.75と飛びぬけており、御園生崇男にWHIPで見劣りしますが、防御率2.10の御園生が逆転できるほどの差ではありません。奪三振率では松尾が倍近いですがこれはピッチングスタイルの違いによるものなので当ブログではあまり重要視はしていません。サイ・ヤング賞投票では奪三振数は大いに影響があります。因みにWHIPは重要な要素ですが、ランナーを出しながら抑えていくタイプには不利になりますので、絶対視するべきではないと考えています。

 伝統的な指標である防御率が重要視されるべきであり、防御率が突出している松尾幸造を選出させていただきました。WHIPは歴史的には新しい指標ではありますが、算出式は(被安打+与四球)÷投球回数、すなわち1イニング当りヒットと四球で何人の走者を出したかを見る指標であり、無駄なランナーを出さないのがいいピッチングであるのは普遍的な考え方です。

 また、松尾の投球回数が突出しているのも評価の対象としています。長いシーズンの春先でまだ各チームのエース級が仕上がっていない中、松尾はフル回転しています。今季に期するものがあったのか、オフに十分なトレーニングを積んでシーズンに臨んだものと考えられます。



 
打撃部門

 イーグルス 中河美芳 1

 中河美芳は今月8試合に出場して30打数13安打、4得点1打点4四球、打率4割3分3厘、出塁率5割、長打率4割3分3厘、OPS 0.933。

 ヒットは全てシングルですので打率=長打率となっています。一般的には長打がないとOPS(出塁率+長打率)は伸びない(イチローのOPSは高くない)わけですが、そもそもベースとなる打率が他を圧していますので比較しても見劣りがしません。2011年の統一球同様、今季の使用ボールはますます飛ばなくなってきていますので、長打で圧倒するスラッガーには不利な状況となっています。

 現在打率2位はピッチャーの福士勇が19打数7安打、3割6分8厘ですが投手で打数が少ないので例外扱いさせていただきますと、次は千葉茂が3割4分6厘、松木謙治郎3割4分3厘、玉腰年男3割3分3厘、西村正夫3割3分3厘と続いています。

 中河のライバルは貢献度から松木と玉腰となります。

 松木謙治郎は9試合に出場して35打数12安打、8得点5打点7四球、打率3割4分3厘、出塁率4割5分2厘、長打率5割1分4厘、OPS 0.966。

 玉腰年男は8試合に出場して30打数10安打、6得点4打点7四球、打率3割3分3厘、出塁率4割5分9厘、長打率4割6分7厘、OPS 0.926。

 打率以外の要素を考慮すると、むしろ松木と玉腰の争いとなり、序盤戦の主役ライオンの活躍から玉腰年男を選出するという選択肢もありますが、中河の打率の突出ぶりを評価して中河美芳を選出し、玉腰年男は次点とさせていただきます。

 なお、中河美芳は昭和12年秋季、10月に鮮烈デビューを飾った際、投手部門で月間MVPに選出されており、投打で選出されたこととなります。今後可能性があるとしたら、亀田忠が打者に専念した場合や、野口二郎あたりかと思われますが、野口二郎が打者に専念する頃はスラッガーが目白押しの時代になっていますので難しいかもしれません。




過去の選出選手
昭和12年・春 第1期 澤村栄治      山下実
          第2期 西村幸生      景浦将
           第3期 野口明          松木謙治郎
           第4期 澤村栄治      黒澤俊夫


昭和12年・秋     9月 西村幸生      山下好一
             10月 中河美芳      山口政信
                  11月 澤村栄治      景浦将


昭和13年・春    5月 御園生崇男   伊藤健太郎
            6月 亀田忠          苅田久徳
             7月 浅岡三郎      バッキー・ハリス


昭和13年・秋   9月 スタルヒン      尾茂田叶
           10月 スタルヒン      中島治康
           11月 スタルヒン      藤村富美男

















 

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