2011年6月28日火曜日

13年秋 ライオンvsイーグルス 5回戦

11月17日 (木) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 1 0 0 2 0 0  0   0  3 ライオン     19勝20敗1分 0.487 菊矢吉男
0 0 0 1 2 0 0 0 0  0   0  3 イーグルス 15勝20敗5分 0.429 亀田忠


本塁打 (ラ)鬼頭 1号 (イ)ハリス 5号

菊矢vs亀田の投げ合い


 いよいよ昭和13年秋季リーグ戦も最終日を迎えた。イーグルスは勝っても負けても七位が確定しているが、現在セネタースと同率五位で並んでいるライオンは勝てば単独五位、負ければ六位に転落する。ライオン・菊矢吉男、イーグルス・亀田忠の両エースの対決。

 3回までは両軍無得点。ライオンは中谷順次の左前打1本、イーグルスは太田健一の左前打と山田潔の左前打だけ。

 ライオンは4回、一死後鬼頭数雄がライトスタンドに先制ホームランを放って1-0。

 イーグルスは4回裏、この回先頭の中根之が左前打、バッキー・ハリスは右飛に倒れて亀田の投ゴロで中根は二封、太田中前打、杉田屋守ストレートの四球で二死満塁、山田がツースリーから押出し四球を選んで1-1の同点に追い付く。

 イーグルスは5回、二死から中根が中前打で出塁、ここで打席に迎えるのは今季限りでアメリカに帰国することになっているバッキー・ハリス、ハリスはワンワンからの3球目をレフトスタンドにライナーで叩き込む惜別の第5号ツーランホームラン、3-1とリードする。

 ライオンは7回、鬼頭、水谷則一が連続ストレートの四球、室井豊が投前に送りバントを決めて一死二三塁、ここで小林茂太に次ぐクラッチヒッター中谷順次が中前に同点タイムリーを放って3-3とする。

イーグルスは6回、7回と三者凡退。ライオンは8回三者凡退、9回は先頭の鬼頭が右前打で出塁、水谷の二ゴロでランナーが入れ替わり、室井豊は三球三振、ここで水谷がディレード気味にスタートを切るが1-4と渡ってタッチアウト。イーグルスは8回一死からハリスが左翼線にヒット、パスボールで二塁に進むが後続無し。9回は二死後漆原進が左前打から二盗を決めるが野村実は三ゴロに倒れて延長戦に突入する。

 ライオンは10回表、一死後中村三郎が四球で出塁すると代走に柳澤騰市を起用、菊矢の三ゴロをサード漆原進がエラーして一死一二塁、中野隆雄の三ゴロは漆原からセカンド野村に送られてフォースアウト、ここで二走柳澤が三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むと野村はホームに送球、タッチアウトとなって5-4-2のダブルプレーが完成する。イーグルスの10回裏は三者凡退。

 ライオンは11回表、この回先頭の酒沢政夫が四球で出塁、坪内道則の投前送りバントはピッチャーの正面を衝いて酒沢は二封、鬼頭は二飛、水谷は一飛に倒れる。

 イーグルスは11回裏、この回先頭の亀田が左前打で出塁、太田の投前送りバントは菊矢の野選を誘い無死一二塁、杉田屋の一ゴロはファースト玉腰年男が三塁に送球して亀田は三封、山田に代わる代打古川正男の投ゴロを菊谷は三塁に送球するがサード中谷がエラーして一死満塁、しかし漆原に代わる代打望月潤一はツーボールから3つストライクを見逃して三振、野村は投ゴロに倒れて決着つかずに引き分く。

 菊矢吉男は11回を投げ抜き9安打2四球4三振。亀田忠も11回を完投して4安打4四球3三振。この結果ライオンは19勝20敗1分けでセネタースと並んで同率五位となった。


 バッキー・ハリスの帰国は子供が産まれて子育てのため。日中戦争は泥沼に入り込んでいるが日米関係はまだ選手が引き揚げる程では無い。当時の新聞にも大リーグ関係の記事は多く見られます。日米関係緊迫化のため亀田忠やジミー堀尾文人が帰国するのは約2年半後のこととなります。




     *この時代を代表する剛腕投手による投げ合い。









     *バッキー・ハリスの第三打席、最後のホームラン。

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