2011年6月25日土曜日

13年秋 南海vs名古屋 5回戦

11月15日 (火) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 5 0 0 0 0 0 0 1 7 南海     11勝26敗3分 0.297 宮口美吉
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 名古屋 19勝16敗3分 0.543 松尾幸造 田中実


勝利投手 宮口美吉 6勝11敗
敗戦投手 松尾幸造 12勝7敗


三塁打 (南)高野、宮口
本塁打 (南)中村 2号

南海、八位を死守


 今季最終戦の南海は勝てば八位を死守、負ければ最下位転落。南海球団史上最初の大一番とも言える試合となった。名古屋も勝てば阪急と三位に並び明日行われる阪急5回戦が決戦となる。

 南海は初回、先頭の小林悟楼がスレートの四球、海蔵寺弘司の三前送りバントをサード倉本信護が失して犠打エラーとなり無死一二塁、小林はキャッチャー三浦敏一からの牽制に釣り出されてタッチアウト、西端利郎四球、高野百介もツースリーから四球を選んで一死満塁、中村金次の三ゴロの間に海蔵寺がホームに還って1点を先制する。

 南海は2回、この回先頭の中田道信の遊ゴロをショート村瀬一三がエラー、宮口美吉の三前送りバントをサード倉本が二塁に送球するがセーフ、犠打野選となって無死一二塁、トップに返り小林の左前打で無死満塁、海蔵寺の三ゴロで三走中田は本封、西端の投ゴロで三走宮口は本封されて二死満塁、しかしここで四番高野がボール、見逃し、ファウル、ファウル、ボールからの6球目、左中間を深々と破る走者一掃の三塁打を放ち4-0、センターからの返球を中継したショート村瀬のバックサードが悪送球となる間に高野もホームに還り5-0、更に中村がファウル、ボール、ボール、見逃し、ファウル、ファウル、ボール、ファウルからの9球目を左翼観覧席に叩き込んで6-0とする。名古屋は先発の松尾幸造をあきらめて二番手に田中実を投入。中野正雄の三ゴロをサード倉本がエラーするが中野の盗塁失敗でスリーアウトチェンジ。

 3回まで1四球無安打の名古屋は4回、石田政良、桝嘉一が連続四球、大沢清の二ゴロで桝は二封、倉本四球で一死満塁、鈴木秀雄に代わる代打白木一二がワンスリーから押出し四球を選んでノーヒットで1点を返す。

 南海先発の宮口美吉は5回まで無安打ピッチングを続ける。6回一死後大沢に四球、倉本に左翼線に初ヒット、白木を三振に打ち取るが芳賀直一に左前打を許して二死満塁、しかし三浦を三球三振に抑える。7回~9回も無安打で逃げ切り結局、2安打8四球7三振、151球の完投で6勝目をあげる。

 球団創設初シーズンとなった南海は今季最終戦を勝利で飾り金鯱を抑えて八位の座を死守する。殊勲の三塁打と本塁打を放った高野百介、中村金次は共に粘った末での快打、シーズンを通しても随所に粘り強さを見せて負ければ最下位転落という瀬戸際の最終戦をものにするなど、戦後まで連綿と受け継がれるしぶとさは球団創設初年度から見られたものである。


 名古屋の二番手田中実は3回以降南海打線を無得点に抑え、9回に高野と伊藤経盛の内野安打で1点を失うが7回3分の1を投げて6安打3四球4三振1失点1自責点の好投を見せる。田中実は昭和15年まで在籍するが14年に1試合打者2人に投げただけで現役を引退することとなるので、本日が実質的に現役最後の晴れ舞台となった。プロ野球史上「元祖・リリーフの切り札」と言えば宮田征典や佐藤道郎の名前が挙がるかもしれないが、当ブログをお読みになっている賢明な読者諸兄であれば「元祖・リリーフの切り札」が田中実であることを御理解いただけるでしょう。





          *八位を死守した南海初年度のメンバー








*宮口美吉は2安打完投。
  田中実は現役最後の晴れ舞台。今季最終登板は明後日、現役最終登板は昭和14年となります。



 

0 件のコメント:

コメントを投稿