2010年11月21日日曜日

12年秋 イーグルスvsジャイアンツ 6回戦

11月26日 (金) 洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 イーグルス  27勝18敗2分 0.600 畑福俊英
2 0 0 0 3 2 0 0 X 7 ジャイアンツ 30勝17敗    0.638 澤村栄治


勝利投手 澤村栄治    9勝5敗
敗戦投手 畑福俊英 12勝11敗


三塁打 (ジ)中島


澤村栄治、六者連続三振


 ジャイアンツに1ゲーム差(この時点ではまだ10月27日のセネタース戦が取消しになっていませんので負けにカウントすると0.5ゲーム差)に迫ってきたイーグルスとの二位攻防戦。ダブルヘッダーの第一試合はジャイアンツが調子をあげてきた澤村栄治、イーグルスは昭和9年全日本以来昨年まで澤村と苦楽を共にしてきた畑福俊英の先発。

 イーグルスは初回、先頭の寺内一隆が四球で出塁、澤村は相変わらず立ち上がりのコントロールが定まらない。二番ファースト中河美芳の投ゴロでランナーが入れ替わり、バッキー・ハリス左飛、サム高橋吉雄四球で二死一二塁とするが小島利男は三振。イーグルスとしては澤村を崩す絶好のチャンスを逃す。

 ジャイアンツは初回、先頭の呉波が右前打で出塁、こちらも前川八郎の二ゴロでランナーが入れ替わり、水原茂の遊ゴロをショート辻信夫がエラーして一死一二塁、中島治康の中飛をセンター寺内がエラーして前川に続いて水原も生還して2点を先制。翌日の読売新聞には「中島の中堅左安打性痛打に野手(寺内一隆=筆者注)よく追いすがりながらもグラブに弾いて逸した」と記されている。当時のグローブの性能では致し方がないところか。

 イーグルス打線は2回以降澤村に手も足も出ず。2回は杉田屋守二飛、畑福俊英三振、辻信夫二飛とストレートの伸びとドロップのキレを感じさせる。3回は先頭の漆原進の三ゴロを水原先輩がエラーし寺内は送りバント、ワイルドピッチで寺内を三塁に進めるが中河は三振、ハリスを投ゴロに打ち取る。4回は高橋、小島、杉田屋守から三者三振、杉田屋の三振は三振ナットアウトと記録されており、杉田屋が空振りしたドロップを内堀が捕りきれなかったものであろう。5回も畑福、辻、漆原から三者三振と6者連続三振。まだ全てを調べているわけではありませんが、私の記憶では新記録です。5回まで8三振無安打無得点。

 ジャイアンツは5回、先頭の内堀保が左前打で出塁、澤村が送って呉三振、前川四球、水原右前タイムリーで3-0、中島治康が右中間を破る三塁打を放って5-0。本日の澤村の出来では試合は決まりと言ってもよいでしょう。

 イーグルスは6回、先頭の寺内一隆が右前に初ヒット、ライト中島からの返球をセカンド筒井修が失して無死二塁、中河二打席連続三振後ハリスの左前打で二死一三塁、ここで澤村がこの日二つ目のワイルドピッチを犯して寺内が生還し1点を返す。

 ジャイアンツは6回裏、筒井中前打、内堀右前打、ライト太田健一からのバックサードが悪送球となり無死二三塁、ここで澤村が中前に弾き返して二者を迎え入れて7-1として二位の座を確定する。

 澤村は7回以降もイーグルス打線を杉田屋の左前打1本に抑えて結局、3安打3四球11三振の完投で9勝目、タイガースとの王座決定戦を残してはいるものの今季最終登板を飾る。年が明けると入営が待っており、澤村が次に公式戦のマウンドに姿を見せるのは昭和15年のこととなる。澤村は春季リーグ戦では244回を投げてワイルドピッチはゼロ、秋季リーグ戦でも140回で10月30日のタイガース5回戦初回に景浦将の打席で一つあっただけであるが、本日は二つのワイルドピッチを犯している。最後の登板で力が入ったのか、志半ばでマウンドを去るやるせなさからなのか。



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