2010年4月30日金曜日

12年春 セネタースvsジャイアンツ 2回戦



4月19日(月)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セネタース  7勝5敗 0.583 浅岡三郎-野口明
0 0 0 0 0 1 0 0 X 1 ジャイアンツ 8勝4敗 0.667 澤村栄治


勝利投手 澤村栄治 6勝1敗
敗戦投手 浅岡三郎 2勝3敗

二塁打 (セ)北浦、家村 (ジ)澤村、水原


二塁打の水原茂を三原脩が還す

 セネタースに並ばれたジャイアンツはエース澤村栄治が先発。セネタースは初回、澤村の立ち上がりを攻め一死後中村信一が三遊間を破り出塁、尾茂田叶との間でヒットエンドランを敢行、尾茂田一二塁間を破り一死一三塁と先制のチャンス、更に尾茂田がディレード気味に塁を離れる、中村信ホームを窺う、キャッチャー内堀保はセカンド偽投からサードに送球し中村信を刺す。澤村踏ん張り綿貫惣司を三振に仕留めピンチを切り抜ける。セネタースは2回も先頭の大貫賢が四球で出塁、北浦三男が右中間を破り無死二三塁の大チャンス、しかしここからが澤村の真骨頂、浅岡三郎を遊飛に打ち取り伊藤次郎、横沢七郎を連続三振に斬って取る。澤村は3回以降立ち直り、7回まではパーフェクトピッチング。

 一方浅岡は5回まで4安打2四球を許すも要所を締めジャイアンツに得点を与えない。セネタース百万ドル内野も本領を発揮、初回は6-4-3、4回は5-4-3と苅田を軸に二つのゲッツーを決める。ジャイアンツは6回、この回先頭の二番水原茂が右中間二塁打で出塁、セネタースベンチは浅岡から連投となるエース野口明にスイッチ、しかし三番に入った三原脩が中前にタイムリーを放ち1点を先制。続く中島治康は三ゴロで又も5-4-3のゲッツーに仕留めただけに三原への一投が悔やまれる。澤村は9回に家村相太郎に右翼線二塁打を許すが大貫を遊ゴロに仕留めて4安打2四球6三振で今季2度目の完封、ハーラー単独トップに立つ6勝目をあげる。野口明は3回で5三振を奪う力投を見せるが、代りばなを捕えた三原にしてやられる。

 ジャイアンツは二塁打で出塁した水原茂を三原脩が還して得た1点を澤村栄治が完封で守りきる。6年前の早慶戦では三原がピッチャー水原のすきを突いてホームスチールを決める、シベリアから帰還した水原に監督の座を奪われた三原、巨人ー西鉄での巌流島の闘い等終生のライバルとなる二人のほんのひと時の接点である。

12年春 イーグルスvs大東京 2回戦







4月19日(月)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 イーグルス 3勝9敗   0.250 古川正男
0 0 3 1 2 0 0 1 X 7 大東京   5勝6敗1分 0.455 近藤久

勝利投手 近藤久  3勝2敗
敗戦投手 古川正男 1勝2敗

二塁打 (大)浅原、藤浪2
三塁打 (イ)辻 (大)水谷

近藤久投打に活躍
 大東京は3回、筒井隆雄が四球で出塁、近藤久の当たりはボテボテの一塁線ゴロ、これが幸いして内野安打となる間に筒井三進して無死一三塁、トップに返り鬼頭数雄一二塁間を破り先制、水谷則一左中間へ三塁打して3点を先取。更に4回、藤浪光雄四球、漆原進三失で掴んだ無死一三塁のチャンスに近藤中前タイムリーして4-0。5回にも坪内道則遊失、浅原直人三塁内野安打から藤浪光雄左翼線に二塁打を放ち6-0とリードを広げ、8回も近藤の右飛が相手エラーを誘い1点を追加。自ら2安打して調子に乗る近藤は、イーグルス打線に8四球を許すも4安打5三振無得点に抑えきり見事完封で3勝目を飾る。近藤久の投打にわたる活躍で大東京は5割復帰へあと一歩。

 2回裏の大東京の攻撃は、四番中村三郎が四球で出塁、続く浅原直人が右中間に二塁打を放ち無死二三塁となり藤浪光雄の当たりはショートへのゴロとなりました。この時白球をつかんだのはショートを守る辻信夫です。辻は一塁に走る藤浪と三塁からホームを窺う三走中村三郎を両睨みし、体を反転させてサードに送球して中村を刺しました。写真中央のスコアブックの記載を解説すると、中村の第一打席のBBは四球を表し、左隅のeは五番打者により三塁に進塁したことを表します(すなわち、浅原の二塁打で無死二三塁)。「6-5及びその下の1」は藤浪の遊ゴロがサードに送球されて中村が一死目を記録したことを表します。そして、一死一二塁から漆原進の一邪飛(恐らくハーフライナーでしょう)をファースト石井秋雄が捕球してそのままファーストベースに入り無補殺併殺を記録しました。

 辻信夫はWikipediaにも紹介されていない選手ですので、当ブログで徹底調査してみます(ゴールデンウィークに入って暇なので、因みに5月6、7日は出勤です。)。今年足利工業からイーグルスに入団、1920年生まれのようなのでこのとき若干17歳(登録選手名簿では19歳となっているようですが、これはかぞえ年齢で表記されているため。4月19日に誕生日が来ていなければ満17歳ですが、遅生まれなら18歳)、恐らく名古屋の養成選手西沢道夫に次ぐ若さと思われます。この場面でのサード送球は相当の野球センスを感じさせます。二塁ランナーが三塁に走ったケースで若干シチュエーションが違いますが、現西武の浅村栄斗が大阪桐蔭時代甲子園で見せたプレーを思い起こさせます(このプレーはユーチューブで見ることができます。因みに浅村は現若手では私の一押しの選手、中島が怪我から復帰してスタメンからはずされましたが中島をサード、中村をファーストかDHに回してでも使い続けてほしい。)。ショートの控えとして途中出場がいくつかありましたが、前日の試合で初のスタメン。これまで7打数0安打、本日も第三打席まで1四球のみで通算9打数0安打で迎えた第四打席でセンターオーバーの三塁打を放ち職業野球入り初安打を記録しました。辻信夫にとっては、プロでやっていけるという感触を掴んだ忘れられない試合となったのではないでしょうか。

2010年4月29日木曜日

12年春 名古屋vs金鯱 2回戦


4月18日(日)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 名古屋 4勝8敗 0.333 田中実
2 0 1 0 0 0 0 1 X 4 金鯱   3勝9敗 0.250 中山正嘉-鈴木鶴雄


勝利投手 中山正嘉 2勝2敗
敗戦投手 田中実   2勝3敗
セーブ   鈴木鶴雄 1S

二塁打 (名)大沢清
三塁打 (名)桝 (金)小林

中山正嘉、鈴木鶴雄の継投で金鯱連勝 
 名古屋ダービー第2戦、金鯱は初回、濃人渉が左前に痛打、佐々木常助が送り小林利蔵の左超え三塁打で先制、黒澤俊夫一二塁間を破り2点を先取。名古屋は3回、スタメンセカンドで初登場の大沢清が得意の右打ちで右翼線に二塁打、ここまで代打で5打数4安打二塁打2本4打点の実力を見せつける。73年後に弟の啓二(親分)がアッパレ!と叫んでいる。田中実一二塁間を破り志手清彦中堅右に痛打して1点返し2-1。しかし金鯱はその裏、四球出塁の佐々木を二塁に置いて三上良夫が右翼線にタイムリーを放ち3-1と突き放す。中山正嘉は丁寧なピッチングで4、5、6回を無得点に抑える。7回名古屋は、一死から大沢清が右前打で出塁、田中実三失で一二塁、三浦敏一左飛で二死一二塁、ここで志手に代わり代打前田喜代志が登場すると金鯱ベンチは中山から鈴木鶴雄にスイッチ、両軍ベンチの動きが目まぐるしくなる、しかし田中実がキャッチャー相原輝夫の牽制に刺されチェンジ。鈴木はその後を2安打無得点に抑える好リリーフで今季初セーブ(もちろん当時の公式記録ではセーブは記録されておりません。この点につきましては2010年3月24日付ブログ「解読」をご参照ください。)をあげ金鯱が逃げ切る。逆に前日好リリーフを見せてセーブを記録した中山は連投で臨んだこの日も好投、2勝目をあげる。
 野手としては初スタメンの大沢清は4打数2安打、上記のとおり2安打とも右翼へのヒット。今季10打数6安打、6本のヒットはすべて右翼方向へのもの、この日の凡退は右飛と投ゴロ、これまでの凡退は捕ゴロと澤村から喫した三振であり、捕ゴロも右打ちを狙った結果と考えられ、澤村に対してはよもや引っぱろうなどと考えていた訳もないであろうことから推測すると、全打席で右方向を狙っていることになる。流石は右打ちの名人と言われた千葉茂が「ワシよりも巧かった。」と述べているだけのことがあることを何よりスコアブックが証明している。アッパレ!

2010年4月28日水曜日

12年春 タイガースvs阪急 2回戦

4月18日(日)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 タイガース 8勝3敗1分 0.727 西村幸生-景浦将
1 0 0 1 0 0 0 0 X 2 阪急     9勝3敗    0.750 中田武夫


勝利投手 中田武夫 1勝0敗
敗戦投手 西村幸生 2勝2敗

中田武夫の軟投タイガース打線を翻弄
 ライバル対決第1戦の雪辱を誓う阪急は初回、一死後山田伝四球、山下実一ゴロで山田二封、山下好一四球の一死一二塁から上田藤夫が左翼線にライナーで安打を放ち山下実還り先制。阪急は4回、黒田健吾が三失で生き、川村徳久の投前送りバントを西村幸生が一塁へ悪送球し無死一三塁、川村が二盗、キャッチャー広田悪送球し三走黒田が還り2-0。タイガースは5回、奈良友夫四球、岡田宗芳のバントは三前内野安打となり無死一二塁、西村の代打御園生崇男は一塁線にプッシュバント、ファースト山下実捕って自らベースを踏み一死二三塁、御園生には犠打が記録される。ここで松木謙治郎が巧くおっつけて左翼に犠牲フライを打ち上げ2-1と1点差に迫る。5回からライト景浦将がリリーフ登板、センター山口政信がライトに回り代打御園生がセンターに入る。景浦はその後8回まで阪急打線を無安打に抑える。しかしタイガースは中田の巧投の前に凡飛凡ゴロを繰り返すのみ、阪急が初戦の雪辱を果たす。
 職業野球入り初先発となる中田武夫(後に溝部武夫)は下手から左右に球を散らして好投、2回に山口、7回には広田修三にぶつけるなど大胆に内懐を突いてくるため外のボールが効果的。特に四番景浦は第一打席三ゴロ、第二打席三飛、第三・第四打席三ゴロと全くタイミングが合わず。結局強打タイガース打線を3安打に抑えて完投。タイガースの敗因は松木のようなバッティングができなかったことにある。打倒澤村の執念に燃え、打撃投手をプレートの1尺前から投げさせて速球対策を練ってきたが、案外中田のようなピッチングには脆いか。

2010年4月27日火曜日

12年春 大東京vsイーグルス 1回戦

4月18日(日)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 大東京   4勝6敗1分 0.400 大友一明-近藤久
2 0 0 0 0 1 0 0 X 3 イーグルス 3勝8敗    0.273 畑福俊英


勝利投手 畑福俊英 2勝4敗
敗戦投手 大友一明 1勝2敗

三塁打 (イ)杉田屋、佐藤
本塁打 (大)浅原

畑福俊英無四球完投勝利
 イーグルスは初回、トップの寺内一隆が四球で出塁、一死後杉田屋守が右中間に三塁打を放ち先制、サム高橋吉雄四球、石井秋雄が三塁線を破り2点を先取。イーグルス先発畑福俊英は初回の先制点を守り快調に飛ばし6回まで2安打無四球4三振無得点に抑える。イーグルスは6回、先頭の高橋が三遊間を破り、これをレフト鬼頭数雄がもたつく間に二塁へ進む、記録はワンヒットワンエラー、石井四球で無死一二塁、更に大友一明のワイルドピッチで無死二三塁、六番を打つ畑福は一邪飛に倒れ一死二三塁、佐藤武夫の三ゴロで高橋ホームへ向かう、サード漆原進バックホームも及ばず高橋が生還、野選が記録されイーグルスは待望の追加点を畑福にプレゼント。しかし3-0となり畑福気が緩んだか、大東京は7回、先頭の坪内道則中前痛打、漆原の三ゴロで坪内二封、ランナーが入れ替わる。筒井隆雄の当たりは一二塁間を破り右前へ、一走漆原は三塁へ向かう、ライト杉田屋前進してこれをつかむや三塁へレーザービーム、漆原を刺してピンチを未然に防ぐ。この間に打者走者の筒井は二塁へ進む、ここで5回の代打からファーストに入っている伏兵浅原直人がバックスクリーンへ大ホームランを放ち3-2と1点差に迫る。大東京は8回、先頭の鬼頭が右前打で出塁、藤浪光雄送って一死二塁、鬼頭三盗を決めて一死三塁と同点のチャンスを迎えバッターは三番水谷則一、しかし畑福気力を振り絞り水谷を三振に仕留め四番中村三郎を迎える。歩かせても次はうるさい坪内でここは勝負。畑福再度気合いを入れ直し中村を三振に斬って取り最大のピンチを切り抜ける。大東京は最終回3者凡退でイーグルスが快勝。畑福は今シーズン最高の出来で6安打無四球6三振の完投、2勝目をあげる。

2010年4月26日月曜日

一騎討ち ①

 新連載のご案内をさせていただきます。今年のナショナル・リーグサイ・ヤング賞争いは、早くもティム・リンスカムVSロイ・ハラデーの一騎打ちになったと言っても過言ではありません。ここまで共に4勝0敗、所属するサンフランシスコ・ジャイアンツ、フィラデルフィア・フィリーズも二人に引っ張られて好調です(ジャイアンツがリンスカムに引っ張られているのは明白ですが、フィリーズはハラデーがいなくても現在の位置をキープしているでしょう。)。

 そこで、緊急企画として、今年のナショナル・リーグサイ・ヤング賞争いをウォッチしていくこととさせていただきます。ご存じのとおり、ハラデー(ハラデイと表記するべきなのかもしれませんが、昔からハラデーと呼んでいるので当ブログではハラデーと表記させていただきます。)は2003年のアメリカン・リーグサイ・ヤング賞を受賞しており、リンスカムは2008年、2009年と2年連続ナショナル・リーグサイ・ヤング賞を受賞しております。リンスカムの三振奪取率が高い(と言うより突出している)ため、どうしてもサイ・ヤング賞候補No1になってしまいがちですが、3年連続受賞となれば、当然そのハードルが高くなるのは必然であり、現在のところ65対35でハラデー有利と考えております。

 4月の段階でサイ・ヤング賞を論じるなど早計過ぎるという反論が来ることは当然予想されますので、その前に再反論を準備させていただきます。4月に論じるのは早計過ぎるという意見の論拠は主に二つあると想定されます。すなわち、一つ目は、単純に現在調子がいいだけという意見、これに対しては過去の二人の実績から4月だけの特異性と断じるだけの根拠が見いだせないと反論させていただきます(すなわち、春の珍事とは言えないだけの実績を二人が有しているということです。)。二つ目は、故障するかもしれないのに何故4月にそんなことが言えるのかという意見、これに対しては、松坂等と違って二人は故障する確率が少ないためと反論させていただきます。ハラデーに関しては、過去の実績、投球スタイル、トレーニング理論の正確性から極めて故障は考えにくいことは多くの方に賛同していただけると思います。リンスカムに関しては、実質2年半しかない実績、一見無理のあるフォーム、シーズンオフのマリファナ事件から、ハラデーよりもはるかに故障する可能性が高い点は否めません。私の評価は、リンスカムの投球スタイルとフォームは故障しにくいものであるというものです。リンスカムの持ち球はきれいな回転のフォーシーム(Wikipediaにはツーシームと出ていますが、あの伸びのある速球がツーシームとは思えません)、正統派のカーブ、チェンジアップですが、このうち故障の原因となる可能性が最も高いのはカーブにあることは誰にでも思いつく点だと思います。果たしてスライダーは故障しにくく、カーブは故障しやすいのかという点が論点の中心となると思いますが、リンスカムが猿腕の持ち主であればカーブを持ち球としていても故障しにくいということは容易に想像できます。リンスカムが猿腕の持ち主であるかどうかは私は知りませんが、リンスカムが尊敬する父親(マイナーリーグの選手であった聞いています。違っていたらゴメンナサイ。)と現在の投球フォームを作っていく過程で、スライダーでいくかカーブで行くかの議論は再三にわたってなされたことは想像に難くなく、カーブのほうがスムーズに投げらるという確信から現在の投球スタイルになったと考えるほうが必然であると考えるならば、リンスカムが猿腕の持ち主であり、カーブを投げることにより故障しやすくなるという論拠が否定されることとなります(松坂等と敢えて固有名詞を出して例示させていただきましたが、私には2008年の投球フォームを見て2009年の故障は容易に予測できました。(この点に関してはリアルタイムで私の松坂評を聞いていた私の周りの友人たちに確認してください。)。2008年のフォームは、全盛期に比してかなり肘が下がっており(この点については左打者に対する外に逃げるツーシームを投げるために敢えて肘を下げているという解説が圧倒的に多かったと思います。)、肩をやるまで(現在の松坂が肘止まりであり肩まできていないと願っています。)の過程としてよくあるパターンであることは過去何人ものケースが実証しております(代表的事例としては昭和15年の澤村栄治)。松坂のそれまでの実績から本格的な故障にはつながらないと考えていた(穿った見方をすると、そうコメントしておかないと取材活動に支障をきたす恐れがあった)評論家が多かったようですが、2009年の故障を見てから「肘が下がっている」論が圧倒的に増えてきたのは残念です。)。
 リンスカムのような正統派オーバースローは、極めて故障しにくい理想的なフォームなのではないでしょうか。野茂は何度も手術を繰り返していますので故障がなかったとはとても言えませんが、松坂のように本格的にシーズンを棒に振るような故障はありませんでした。この点、今年のセンバツを制した興南高校の島袋投手も同様の理想的なフォームなのではないでしょうか。

 岐阜県の長良川球場に建立されている松井栄造投手(岐阜商業ー早稲田大学ー戦没)の銅像を見てください(Wikipedia「松井栄造」で見るのが一番容易でしょう)。松井栄造のフォームは左投手として理想的といわれておりますが、理想的なオーバースローのフォームです。もちろん松井栄造は肩を壊したため大学では打者に転向しておりますが、これは当時はローテーションという概念がなく、「アイアンコーノ」に代表されるようにエースは常にマウンドに立つものという理想論を現実に当てはめていたことによる肩の酷使によるものであり、フォームに起因しているものではありません。

三冠への道 ⑥ 試合を制覇する一撃

 アルバート・プホルスは4月25日ジャイアンツ戦で久々の第7号を含む4打数3安打1打点。ここ6試合で25打数3安打と不振が続いていただけに久々の爆発です。本日は2対0でセントルイス・カージナルスの勝利、プホルスが1回に放ったホームランで試合が決まりました。マット・ホリデー加入までの数年はプホルス一人で打っていたと言っても過言ではない状況でしたが(4月4日のブログにはカージナルスの強さは打線のつながりにあると書いておりますが、もう一歩踏み込んで分析すれば、プホルス一人とも言えると思います。4月4日にも書いているとおり、プホルスの後ろを打つ四番、五番は、マット・ホリデー加入以前は猫の目状態でした。)、本日のタイトルどおり、プホルスの一発は「試合を制覇する一撃」が多く、これは彼の精神性に起因していると考えております。ここまで18試合に出場し、73打数22安打17打点7本塁打。

 なお、4月23日のジャイアンツ戦で今季初の「ティム・リンスカムVSアルバート・プホルス」という、ここ20年で最高の対決が見られました。プホルスに関しては、私は、マイク・シュミット、ピート・ローズ、ハンク・アーロン、ミッキーマントル、ウイリー・メイズを凌ぎ、スタン・ミュージアル以来の大打者であると評価しています(実際、同じセントルイス・カージナルス所属ということもあり、プホルスはネクストミュージアルと呼ばれています。)。リンスカムに関しては、初めて見たときの衝撃はドワイト・グッデン、ケリー・ウッド以来のものでした。

2010年4月25日日曜日

12年春 ジャイアンツvsセネタース 1回戦

4月18日(日)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 ジャイアンツ 7勝4敗 0.636 前川八郎-スタルヒン
0 3 2 0 0 0 0 0 X 5 セネタース  7勝4敗 0.636 野口明



勝利投手 野口明   5勝2敗
敗戦投手 前川八郎 1勝2敗

二塁打 (ジ)内堀 (セ)野口明
三塁打 (ジ)白石
本塁打 (セ)尾茂田

セネタース、ジャイアンツに並び同率三位へ浮上
 セネタースは2回、綿貫惣司左前打、大貫賢四球、北浦三男遊ゴロで大貫二封、一死一三塁、先発の野口明左中間二塁打で綿貫還り先制、続く伊藤次郎右前に運び二者還り3点を先取。更に3回、先頭の苅田久徳中前クリーンヒットで出塁、中村信一の3ゴロの間に一走苅田は三塁へ、西武辻発彦もビックリの苅田の走塁に動揺したか前川八郎の球は甘く入り尾茂田叶ハッシと叩くや右翼スタンドへホームランとなり5-0と突き放す。ジャイアンツは4回から前川を諦めスタルヒンを投入、4回まで内堀保の二塁打1本に抑えられていたジャイアンツは5回、一死後内堀がひとり気を吐く三遊間安打で出塁、スタ公三振後この試合からスタメン登場の三原脩が初ヒットを中前に、三原がトップに入った関係で二番を打つ呉波が中堅左に落とし内堀還って1点を返す。リリーフのスタルヒンは5イニングを無得点に抑えるが、野口明はこの上をいく出来栄え、結局5安打2四球8三振の完投で5勝目を飾る。ハーラーダービーは澤村と野口明の一騎打ちか。三原はフル出場し、4打席3打数1安打1四球2残塁、守っては失策0補殺4刺殺3、更に2つの併殺に絡む。2回一死一塁で伊藤の遊ゴロを6-4-3、7回一死満塁で尾茂田の二ゴロを捌き4-6-3。成長著しい白石との二遊間コンビから目が離せない(なお、文中の「スタ公」発言ですが、これは三原や水原の著述にもあるように、いつもニコニコと笑顔を絶やさず先輩にかわいがられていたスタルヒンに対して親しみをこめて使われていた呼称であり、三原の復帰を祝して使わせていただきました。問題があるようでしたら削除いたします。)。

2010年4月24日土曜日

12年春 阪急vsタイガース 1回戦

4月17日(土)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急     8勝3敗   0.727 笠松実
0 4 0 0 0 0 0 1 X 5 タイガース 8勝2敗1分 0.800 御園生崇男

勝利投手 御園生崇男 1勝0敗
敗戦投手 笠松実    3勝1敗

二塁打 (タ)藤井

首位交代
 関西の電鉄会社同士のライバル対決でしかも首位攻防戦、69年後に経営統合することになるが今は最大のライバル同士、御園生崇男は立ち上がりから快調なペース、1、2回ともに三者凡退に退ける。一方笠松実は今やエース格、ライバル対決初戦を任される。タイガースは2回、一死後御園生四球、足も速い御園生がスタートを切り山口政信との間でヒットエンドランを敢行、山口中前にはじき返し御園生は三塁へ、岡田宗芳三邪飛に倒れるも奈良友夫四球、トップに返り松木謙治郎も四球で押し出し、藤井勇は満塁走者一掃の右中間二塁打を放ち4点を先取。御園生は依然快調なピッチングで7回まで阪急打線を3四球のみでノーヒットに抑え込む。タイガース守備陣も軽快に2併殺を見せ阪急は未だ二塁も踏めず。阪急は8回、先頭の黒田健吾が左前にはじき返し初ヒット、昨年澤村以来の無安打無得点は消える。こういう時は得てしてピーッチャーは崩れるもの、しかし御園生は後続をピシャリと抑え4-0のまま。その裏タイガースの攻撃、先頭の広田修三が四球で出塁、御園生は遊ゴロ、ショート上田藤夫はセカンド宇野錦次に送球するも広田の足が早く野選が記録され無死一二塁、山口が送り岡田の中犠飛で広田生還しタイガースは待望の追加点をあげる。御園生の出来から見ればダメ押しか。阪急は最終回、二死後山下実がチーム2本目のヒットを右前に放つがこれまで、御園生は2安打3四球1三振で二塁を踏ませず今季初勝利を完封で飾る。
 阪急は2連敗で首位の座をタイガースに明け渡す。快調に打ちまくってきた打線が息切れ気味。病気のため代打でしか出ていない宮武三郎、山下実、山下好一と慶應出身のビッグネームが並ぶがこういうチームは負けだすと脆いもの。戦後も太平洋クラブライオンズの山賊打線、近年の巨人等各チームの四番をかき集めたチームは客は集まっても勝利が続かない(因みに私は1970年から西鉄ライオンズのファンであり、西鉄消滅を機に1973年以降広島ファンとなりましたが当然太平洋クラブライオンズもウォッチしていました。太平洋初年度はビュフォードの加入が効いて春先快進撃を続け、後楽園に応援に行って大観衆が詰めかけていたことに驚きました。東映ー西鉄戦はほとんど見に行っていましたが、観客は2、3千人というところではなかったでしょうか。1975年に江藤、土井、白が加入して山賊打線となった時は嫌な予感がしましたが、江藤監督はよく頑張ったと思います。江藤監督はショートに梅田邦三を使い続けました。梅田は打率こそ2割そこそこですが守備では間違いなく12球団No1でした。阪急に大橋がいたためダイヤモンドグラブ賞は獲れませんでしたが(というより西鉄・太平洋には記者が投票しなかった)、江藤監督は山賊打線を売り物にしながらも「梅田だけは打撃に目をつぶっても使う。」と言っていました。観客がまばらな後楽園球場の東映ー西鉄戦で、ショート梅田の声が球場中に鳴り響いていました。なお、巨人については、さすがに羹に懲りて最近はまともなチーム作りをして成果を上げています。)。

12年春 金鯱vs名古屋 1回戦

4月17日(土)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 0 5 6 金鯱   2勝9敗 0.182 古谷倉之助-中山正嘉
0 0 0 2 0 1 0 0 0 3 名古屋 4勝7敗 0.364 木下博喜-田中実


勝利投手 古谷倉之助 1勝4敗
敗戦投手 木下博喜   0勝1敗
セーブ   中山正嘉   1S

二塁打 (金)小林 (名)志手

最終回、名古屋守備陣4失策で勝利を逃す
 新愛知新聞を母体とする名古屋と名古屋新聞を母体とする金鯱による名古屋ダービー第1戦。1回から3回までは古谷倉之助と今シーズン金鯱から名古屋に移籍した木下博喜の投げ合いで0-0。試合が動いたのは4回、金鯱は先頭の小林利蔵左中間二塁打、黒澤俊夫の二ゴロで三進、三浦敏一の捕逸で小林ホームを突き先制。その裏名古屋は、先頭の志手清彦負けじとこちらも左中間二塁打、流石は名古屋ダービー意地と意地のぶつかり合い、しかし当たりは志手の方が鋭かった。一死後岩田次男の二飛を江口行男が落球、志手は三塁へ進み一死一三塁、小島茂男の二ゴロは4-6と渡るも併殺ならずの間に志手が還り同点。白木一二二遊間を破り二死一二塁、ここで重盗を敢行、一走白木はディレード気味、キャッチャー相原はセカンドに送球、白木挟まれ一二塁間で挟殺プレーに、セカンド江口からファースト小林に送球、白木再び二塁へ向かう、小林ショートの濃人渉に送球、三塁に達していた二走小島はホームへ走る、濃人ホームへ送球、これが大暴投となり小島生還し2-1と逆転。名古屋は6回、先頭の志手が四球で出塁岡本利三が送り岩田の中前タイムリーで志手還り3-1。
 今季初登板となる木下は8回まで金鯱打線を6安打1得点に抑える好投、とにかく名古屋には森井茂と田中実しかいないので救世主誕生となるか。金鯱は9回、先頭の四番黒澤四球、五番を打つピッチャー古谷が三塁頭上を越える安打で続き無死一二塁、逆転のランナーとなる古谷の代走に快足島秀之助を起用、瀬井清が投前に送りバント、木下一塁へ送球、しかしこれが悪送球となり犠打とエラーが記録され無死満塁、名古屋はここで木下をあきらめ田中実を投入、田中は相原を捕邪飛に打ち取るが続く三上良夫に痛恨の押出し四球を与え3-2と1点差に。なおも続く一死満塁で江口の当たりは二ゴロ、ゲッツー試合終了かと思われた瞬間セカンド岡本の送球をショート芳賀直一がはじき、代走島に続き二走瀬井もホームに還り4-3と逆転。一死一二塁から濃人の三ゴロを今度はサード岩田がファンブルし一死満塁、ここで佐々木常助がスクイズを敢行、見事に決まり三走三上が還り5-3、更に続く二死二三塁から小林の三ゴロを岩田が一塁へ悪送球し6-3。名古屋守備陣の悪夢のような4失策により金鯱はこの回1安打で5点をあげ逆転、最終回を中山正嘉が2三振で締め名古屋ダービー初戦をものにする。主力打者との二足のわらじを履く古谷がようやく今季初勝利をあげる。

Tinker to Evers to Chance


















 







 昨日のブログでエバース(バントの構えからバットを引いて守備陣を混乱させるプレー、そのままゴロを打つと現代のバスターとなる。)が登場しましたので、語源であるジョニー・エバースとジョー・ティンカーを紹介いたします。
 私が彼らの名を知ったのは、中学か高校の時に読んだ「ジョン・マグロー伝」の扉に写真入りで紹介されていたからです。1900年代初頭、ジョン・マグロー率いるニューヨーク・ジャイアンツのライバルチーム シカゴ・カブスが誇る名併殺トリオがショートのジョー・ティンカー、セカンドのジョニー・エバース、ファーストのプレイングマネージャー フランク・チャンスです。
 写真はアメリカでよく流通しているインデックス・カードです。ジョニー・エバースとジョー・ティンカーは非常に人気が高く、ともに早逝したため希少価値が高く従って価格も高くとても手が出なかったのですが、2008年の金融危機のおかげでベースボールメモラビア市場も価格が暴落したため、2009年初めのアメリカのオークションで入手したものです。ともにPSAミント9の高評価を得ている逸品で、日本ではまずお目にかかれないのではないでしょうか。
 



2010年4月23日金曜日

12年春 阪急vs名古屋 2回戦

4月16日 (金)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
0 0 1 0 0 0 1 0 0  0  0  2 阪急   8勝2敗 0.800 石田光彦-重松通雄-北井正雄
0 1 0 0 0 0 1 0 0  0 X1 3 名古屋 4勝6敗 0.400 森井茂


勝利投手 森井茂   2勝3敗
敗戦投手 北井正雄 1勝2敗

二塁打 (阪)黒田(名)前田2、岩田
三塁打 (阪)西村

三浦敏一のチャンスメイクで延長の末首位阪急を倒す
 名古屋は2回、小島茂男が四球で出塁、前田喜代士が左中間に痛烈なライナーを放ち小島還り先制。阪急は3回、石田光彦四球、西村正夫左前打で一死一二塁、山下実の一打は一二塁間へ、ファースト小島よく追いつきファーストベースカバーに入ったセカンド小坂三郎に送球、これが逸れる間に二走石田が還り同点、西村三塁山下実は二塁へ、記録はワンヒットワンエラーで山下実には打点は記録されない。名古屋は4回先頭の小島が中前に痛烈なライナーを飛ばす。石田の十字架投法これまでと見た阪急ベンチは下手投げの重松通雄にスイッチ、重松後続を抑え4、5、6回は森井・重松の投げ合いでゼロ行進が続く。
 阪急は7回、先頭の川村徳久が四球で出塁、名古屋守備陣はバントシフトを敷くが大原敏夫はバントの構えからエバース、打球は三ゴロとなりサード岩田次男からセカンドベースカバーに入ったショート芳賀直一に送球され(スコアブックの記載からだけでは大原がバントの構えからエバースに出たかは分かりませんが、大原がバントの構えからエバースとした理由は、サードゴロを三塁手がセカンドに送球したセカンドベースカバーにショートが入る、すなわち二塁手はバントの構えを見てファーストベースカバーに入りショートはセカンドベース寄りにシフトを敷いていたからサードゴロのセカンドベースカバーにショートが入ったと推認されるからです。もちろん、大原が左の強打者でサードゴロのセカンドベースカバーにショートが入るほどの極端なシフトを敷いていたという可能性もありますが、そもそも大原が左打者であったかどうかが私の調べている限りにおいて分かっておりません。この日も大原の打順は八番であることから極端なシフトを敷くほどの強打者であったとは考えられませんし、昭和12年頃にそのような極端なシフトを敷いていたという文献等の記録もありません。ご存じのとおり左打者に対する極端なシフトの元祖はテッド・ウィリアムスに対するブードロー・シフトであり、日本においては、戦後、王貞治に対して広島カープが敷いた王シフトが最初とされています。因みにエバースとは、1900年代初頭のシカゴ・カブスの名二塁手ジョーニー・エバースが得意としていたバントの構えからバットを引いて内野手をおびき寄せる戦法のこと。)
川村二封、続く重松は二ゴロ、4-6と渡り一塁へ転送されるが重松ヘッドスライディング、セーフとなり二死一塁、トップに返り西村が右中間を真っ二つ、重松還り阪急が均衡を破り2-1とリードする。名古屋はその裏、先頭の三浦敏一が四球で出塁、志手清彦は投ゴロ、併殺を狙って重松二塁へ放るがこれが悪送球となり三浦は三塁へ進み無死一三塁、ここでとっておきの代打の切り札大沢清が登場、大沢期待に応えて得意の右打ちを見せ一二塁間を破り三浦が還り2-2と振り出しに戻る。
 森井茂は8回以降も続投、一方阪急は7回途中から昨年のエース北井正雄を投入、8回、阪急は三者凡退、名古屋はその裏、先頭の小島が中前に痛打、芳賀が送り一死二塁、しかし続く前田、森井がともに北井の十字架球で投ゴロに打ち取られ9回へ。因みに石田の十字架投法は投げる前に胸前で十字を切る癖から付いたニックネームであり、北井の十字架球は現在のスライダーのこと。スライダーの元祖は藤本英雄とされているが、昭和12年当時北井や西村幸生が投げていた外に流れる変化球もスライダーの一種と考えられる。おそらく関東4校を倒した関西大学時代に研さんを積んで編み出したものであろう。
 阪急は9回も三者凡退、名古屋はその裏、先頭の三浦が四球で出塁と7回と同じ展開、志手が送り一死二塁とサヨナラのチャンス、しかし岡本利三は遊飛、岩田四球と盗塁で二死二三塁、期待の白木一二は右飛に倒れ北井なんとか踏ん張るも名古屋が押し気味に試合を進め延長へ。
 10回表阪急の攻撃、一死から西村が左前に痛打し出塁、山田伝は捕邪飛、森井の牽制に西村釣り出されアウト。その裏名古屋は、二死から前田が三塁線を破る二塁打、しかし森井は二ゴロに倒れチェンジ。名古屋打線は北井の左右の揺さぶりに少しづつ対応してきている。11回表阪急は、山下実四球、山下好一三ゴロで山下実二封、ランナーが入れ替わる。続く上田も四球で一死一二塁、しかし黒田健吾は三ゴロ、宇野錦次は遊ゴロに倒れチェンジ。11回裏名古屋の攻撃、先頭の三浦が右翼線安打で出塁、三浦は3打席連続で先頭打者として出塁、志手の三ゴロで三浦二封、ランナーが入れ替わる、岡本も北井の左右の揺さぶりに三ゴロに打ち取られる、と見られたがサード黒田が痛恨のエラーで一死一二塁、ここで岩田が左中間に痛烈なラインドライブを放ち志手をホームに迎え入れ名古屋がサヨナラ勝ち。延長11回を投げ抜いた森井が完投で2勝目。体調の優れない北井は奮闘するも2敗目を喫す。阪急投手陣は3人で10四球を献上、名古屋は1回から7回まで7イニングス連続四球を記録する。
 名古屋の八番打者三浦敏一はこの日5打席中4回先頭打者として登場し、3四球1安打と4度とも出塁してチャンスメーカーとなり、7回は同点のホームを踏み、延長11回は三ゴロで入れ替わったランナートップの志手がサヨナラのホームを踏む。

12年春 タイガースvs金鯱 2回戦

4月16日(金)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 2 3 0 0 1 0 0 6 タイガース 7勝2敗1分 0.778 藤村富美男
0 0 0 0 0 0 0 0 X 0 金鯱     1勝9敗    0.100 鈴木鶴雄-松元三彦

勝利投手 藤村富美男 1勝0敗
敗戦投手 鈴木鶴雄    0勝1敗

二塁打 (タ)藤井、岡田
三塁打 (タ)玉井

藤村富美男14イニングス無失点
 タイガースは3回、一死後松木謙治郎が左前打、藤井勇の右中間二塁打で松木快足を飛ばして長駆ホームに達し先制、広田修三三遊間安打、景浦将四球で一死満塁とし、五番に入る先発投手藤村富美男の中犠飛で2点目。更に4回、死球出塁の伊賀上良平を一塁に置いて岡田宗芳が左中間二塁打して3-0、奈良友夫四球後松木の二ゴロで二者進塁し藤井四球で一死満塁、広田の遊ゴロは6-4と渡るが一塁セーフでゲッツーならず三走岡田が還ってなお二死一三塁、景浦右前にタイムリーを放ちこの回3点を追加、5-0とする。7回にはこの回先頭の玉井栄(5回に山口政信の代打で起用されそのままセンターに入りこの日2打席目)が右翼線三塁打を放ち岡田の遊ゴロで還り6-0。
 五番セカンドで出場することもある藤村は今季二度目の登板、金鯱打線を6安打5四球2三振無得点に抑え、今季初勝利を完封で飾る。前回4月8日の大東京戦では5回無安打無得点(降雨引分け)で、今季14インニングス無失点を続けている。タイガース打線は二~四番が1打点ずつ、八番岡田が2打点を記録、控えの玉井が三塁打を放つなど万遍なく打ちまくりまさに総合力の勝利。

2010年4月21日水曜日

12年春 大東京vsセネタース 2回戦

4月15日(木)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大東京   4勝5敗1分 0.444 大友一明
0 0 2 0 2 1 0 0 X 5 セネタース 6勝4敗    0.600 浅岡三郎


勝利投手 浅岡三郎 2勝2敗
敗戦投手 大友一明 1勝1敗

二塁打 (大)鬼頭、浅原、中村 (セ)横沢、北浦

セネタース試合巧者振りを見せ快勝
 セネタースは3回、青木幸造二失で一死一塁、横澤七郎の遊ゴロを併殺を焦ったショート筒井隆雄が二塁へ悪送球(公式記録は遊失となっているが、翌日の読売新聞鈴木惣太郎氏の論評では、セカンド柳澤騰市のベースカバーも遅れたとしている。)して一死一三塁のチャンスを貰う。
この機を逃さず苅田久徳、尾茂田叶が三遊間にタイムリーを放ち2点を先制。5回も横澤が右中間に二塁打、苅田の二ゴロで三塁へ、中村信一四球の二死一三塁からダブルスチールを敢行、見事に決まり3点目、尾茂田が2打席連続タイムリーを放ち4-0。6回も大貫賢四球、北浦三男左中間二塁打から浅岡三郎右犠飛で5-0。セネタースは6安打で5得点と効率のよい攻撃、浅岡三郎は8安打6三振2四球無得点に抑え当たりだしたら止まらない大東京打線を見事完封。
 大東京は、鬼頭数雄の3安打を始めセネタースを上回る8安打をを放ちながら零封される。チームカラーの違いが如実に出たゲームであった。

2010年4月20日火曜日

12年春 ジャイアンツvsイーグルス 2回戦





















4月15日(木)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 0 3 2 0 6 ジャイアンツ  7勝3敗 0.700 スタルヒン
0 0 0 0 0 0 0 0 X 0 イーグルス  2勝8敗 0.200 望月潤一


勝利投手 スタルヒン  1勝1敗
敗戦投手 望月潤一  0勝1敗

スタルヒン今季初勝利を完封で飾る 
 ジャイアンツは初回、遊失で生きた白石敏男が捕逸で二進、水原茂中堅左に落とし先制。ジャイアンツは7回、スタルヒンが四球で出塁、呉波が送り白石、水原連続四球で一死満塁、中島の二ゴロをサム高橋吉雄が本塁悪送球、スタルヒンに続き白石も還る、更にキャッチャー筒井良武の三塁送球をサード野村実が失する間に水原還りこの回3点。更に8回、永沢富士雄、内堀保連続四球、スタルヒンの送りバントは絶妙の転がりを見せ内野安打で無死満塁、呉左犠飛で5-0、内堀三盗の際又も野村が捕球ミスで内堀還り6-0。スタルヒンは打っても3打数3安打、コントロールされた剛球をビシビシと決めイーグルス打線を3安打3四球6三振無得点に抑え今季初勝利を完封で飾る。澤村栄治との二本柱誕生となるか。
 早実からイーグルスに入団した望月潤一が職業野球入り初登板初先発。初登板の緊張感からか完投するも10四球を与え、9回にはボークも犯した。しかし上記試合経過にもあるようにイーグルス守備陣の4失策に足を引っ張られた感が強く、6失点ながら自責点は1であり、2回から6回まではスタルヒンの2安打(うち1本は内野安打)のみに抑え、3失点の7回も無安打、2失点の8回もスタルヒンの送りバントが内野安打となったのみ、結局5安打を許したのみで初登板としては及第点の出来と言える。

2010年4月19日月曜日

12年春 金鯱vsタイガース 1回戦

4月14日(水)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 6 0 0 1 2 0 0 9 金鯱    1勝8敗    0.111 平川喜代美-松元三彦
3 4 0 2 0 0 1 2 X 12 タイガース 6勝2敗1分 0.750 菊矢吉男-若林忠志-景浦将


勝利投手 景浦将    3勝1敗
敗戦投手 平川喜代美 0勝1敗

二塁打 (タ)山口、藤井
三塁打 (金)相原

金鯱粘るも及ばず
 タイガースは初回、松木謙治郎左前打、一死後広田修三四球、スリム平川喜代美のワイルドピッチで松木三進、キャッチャー相原輝夫三塁けん制が悪送球となり松木還り広田は三塁へ、景浦将四球後盗塁、伊賀上良平四球で一死満塁、奈良友夫三遊間を破り二者還り3点を先制、先発平川は比留木虎雄に四球を与えたところでKO。続く2回、松木右前打、藤井勇四球、広田四球で無死満塁、捕逸で松木生還、景浦四球で再度無死満塁、山口政信一失で5-0、奈良二遊間を破り2打席連続タイムリーで6-0、比留木遊ゴロの間に景浦還り7-0と大量リード。ところがイーグルスは3回、濃人渉三失、島秀之助左前打で無死一二塁、一死後小林利蔵四球、瀬井清死球で押出し、松元三彦右犠飛で2点目、相原が汚名挽回の右翼線三塁打を放ち4点目。佐々木常助四球で一死一三塁、相原・佐々木重盗を決め5点目、先発菊矢吉男はここでKO、若林忠志を投入するも代りばなを江口行男が右翼線打で6点目、1点差に追い詰め俄然伯仲ムードに一変。
 タイガースは4回、景浦が右前打で出塁、伊賀上二失で無死二三塁、山口右中間二塁打を放ち9-6とリードを広げる。金鯱は6回、黒澤俊夫が三遊間を破り出塁、二盗と捕手悪送球で三進、小林の遊ゴロの間に還り9-7。そして7回、松元右前、相原左前とバッテリーが痛打を放ち伊賀上の走塁妨害で無死二三塁、二死後濃人が三遊間を破り遂に9-9と同点に追いつく。その裏タイガースは、松木左前打、藤井が送り広田遊失で一死一三塁、ここで景浦が貫録をみせ右前タイムリーを放ち10-9。その景浦がウォーミングアップもそこそこに8回からマウンドに上がるやいきなりうるさい島、黒澤を連続三振、カミソリシュートで星野正男を三ゴロに打ち取る。その裏タイガースは、二死後景浦の登板によりセンターに入った御園生が四球を選び出塁、松木二失で二死二三塁から藤井が左前に2点タイムリーを放ち12-9。最終回も景浦が三者凡退に抑え何とか逃げ切る。
 奈良友夫が5打数3安打3打点の活躍。若林はここまで4試合連続リリーフ登板、先発ピッチャーが突然乱れる場面でもベテランらしい老練なピッチングでタイガース投手陣を支える。

12年春 名古屋vs阪急 1回戦

4月14日(水)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 0 0 0 1 0 0 0 3 名古屋 3勝6敗 0.333 森井茂
3 0 0 1 0 0 0 2 X 3 阪急   8勝1敗 0.889 石田光彦-中田武夫-笠松実


勝利投手 笠松実 3勝0敗
敗戦投手 森井茂 1勝3敗

二塁打 (阪)上田

上田藤夫逆転二塁打
 名古屋は初回、志手清彦左前打、三浦敏一四球の無死一二塁から桝嘉一が右前にクリーンヒットを放ち志手還り先制、ここまで全試合で四番を打ってきた小島茂男に代わり初めて四番に起用された白木一二が一二塁間を破り2点を先取。好調阪急はその裏、西村正夫が三塁前にセーフティバントを決めすかさず二盗、山田伝、山下実連続四球で無死満塁、山下好一の遊ゴロで山下実が二封される間に西村還り2-1、一死一三塁から山下好一が二盗、上田藤夫が右中間に二塁打を放ち3-2と逆転に成功。阪急は4回、二失で二塁に進んだ上田を宇野錦次の三塁線安打で還し4-2。名古屋は6回、五番に下がって奮起の小島が左前打で出塁、芳賀直一四球、森井茂三遊間安打から岡本利三が押出し四球を選び4-3と1点差に迫る。阪急は8回、山下実の右飛をライト志手が落球、山下実は二塁へ、ここで山下好一が三遊間を破り5-3、上田が送り黒田健吾四球の満塁で途中出場の川村徳久が右前に運び6-3とリードを広げる。6回一死からマウンドに立った好調笠松茂はこの日も後続を2安打に抑える好投で3勝目。
 殊勲の逆転二塁打を放った上田藤夫は、永田陽一氏著「ベースボールの社会史 ジミー堀尾と日米野球」によると、ハワイ出身の日系二世であり、1年早く阪急に入団していたジミー堀尾のツテで今年入団、戦後はパ・リーグ審判を永く務め、「俺がルールブックだ」の二出川延明の後のパ・リーグ審判部長となる極めて実直な人柄であった。何度も書いているように阪急のポイントは打線のつながりであり、今日で6連勝と絶好調の要因は好調を持続する上位4人に続く五番上田藤夫、六番黒田健吾が打点をあげていることが大きい。四番山下好一の得点が多いうちは阪急の優位は揺るがない。

2010年4月18日日曜日

12年春 イーグルスvsジャイアンツ 1回戦




4月14日(水)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 イーグルス  2勝7敗 0.222 畑福俊英
0 0 2 2 0 1 1 0 X 6 ジャイアンツ 6勝3敗 0.667 澤村栄治


勝利投手 澤村栄治 5勝1敗
敗戦投手 畑福俊英 1勝4敗

二塁打 (イ)畑福、寺内、山本 (ジ)白石、筒井
本塁打 (ジ)白石


白石敏男逆転2ラン
 イーグルスは初回、トップの寺内一隆が四球で出塁、続く野村実は投前に送りバント、行けるとみた澤村栄治が二塁へ送球、しかしこれが間に合わず野選かと思われたがショート白石敏男が一塁に送球、野村も懸命に走るがアウトとなり一死二塁、野村には犠打が記録され、白石には補殺が記録される。中根之三振、高橋吉雄四球で二死一二塁、杉田屋守の当たりは二遊間を破り中前に抜ける、センター呉波は前進して捕球するやバックホーム、寺内猛然と滑り込むが内堀保が好ブロック、ピンチを切り抜ける。澤村は京都商業時代にも見られた立ち上がりの悪い癖が出てピンチを招くが白石、呉の強肩に感謝。一方畑福俊英は1回2四球、2回1四球と相変わらずの荒れ球ではあるが剛球でジャイアンツ打線をねじ伏せる。イーグルスは3回、先頭の畑福が澤村の速球を右中間に運び二塁打、トップの寺内も左中間二塁打して一点を先取。その裏ジャイアンツは一失の呉を一塁に置いて白石が左翼へ逆転ツーランホーマーを放ち2-1。シーズン序盤では若さが目立っていた白石だが攻守に練習の成果を発揮しだした。4回のイーグルスの攻撃においても二死から山本博愛が左中間を深々と破る当たりを放ち二塁を蹴って三塁に向かうが、レフト伊藤健太郎の送球を中継した白石が三塁に矢のような送球で刺してピンチを未然に防ぐ。
 ジャイアンツは4回、一死後内堀が中堅左へ安打して出塁、澤村は二ゴロ、セカンド高橋は併殺を狙って二塁ベースカバーに入ったショート山本に送球、しかしこれが逸れて山本のグラブをかすめた白球は三塁後方に転々内堀は三進し澤村は一塁に生きる。打者呉の時澤村がディレードスチール気味に二塁方向へ、ピッチャー畑福はプレートを外し三走内堀をけん制しながら二塁方向に前進、セカンド高橋に放る、澤村一塁へ戻る、澤村の意図を察した内堀はホームへのタイミングを覗う、高橋は横目で内堀の動きを警戒しながら澤村を追い詰めファーストの石井秋雄へ送球、澤村は二塁へダッシュ、石井は二塁ベースカバーに入ったショート山本に送球、刹那、内堀がホームへ向かいスタート、山本はキャッチャー筒井へ送球、内堀万事休すかと思われた瞬間筒井が落球、内堀ホームへ還り3-1とリードを広げる。澤村は二塁へ進むが澤村の二進は捕手失策によるもので盗塁は記録されない。呉の二ゴロで澤村三進、白石四球後水原が三遊間を破り澤村還り4-1。
 ジャイアンツは6回、一二塁間を破った澤村を白石の右翼線二塁打で還し5-1、7回にも三塁内野安打で出た中島治康がすかさず二盗、筒井修の三塁線二塁打で中島還り6-1。澤村は5回まで5安打を浴びる不安定なピッチング、しかし6回以降は無安打、9回は2四球を与えるも中根、石井、筒井から三振を奪う力投。澤村の投・攻・走に亘る活躍を954人しか見ていないとは残念。澤村は今季4度目の完投で5勝目をあげハーラートップに躍り出る。
 澤村はここまで43回3分の2を投げ奪三振39、与四球18、与死球0、179人の打者に対して被安打26、被本塁打0、犠打が3あるため打数158、失点13、自責点4、防御率0.84。スタルヒンがまだ一本立ちしていないこともあり自身の負担を考え、1試合中で力を抜く場面がしばしば見られる。本日の前半、4月8日の名古屋戦の後半等が典型事例である。しかし気合いを振り絞った場面でのピッチングは圧巻、4月10日のタイガース戦、本日の後半のピッチングであれば、落合、清原、イチローであれ、たやすく攻略することは困難であろう。この時実年齢20歳、しかし宇治山田時代の少年野球、京都商業、昭和9年全日本、昭和10年及び11年の二度のアメリカ遠征、昭和11年公式戦と常にエースの座を歩んできた投手年齢としては既にベテランの域に達している。昭和9年にはルー・ゲーリッグからチェンジオブペースを覚えるようにアドバイスされている。これは勿論緩急を付けたピッチングをするようにとのアドバイスであるが、常にエースとして投げていく間に試合の流れの中でも緩急を付けることを覚えたようだ。それが素人目には立ち上がりが悪く見えたりする原因ではないだろうか。

12年春 セネタースvs大東京1回戦




4月14日(水)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 1 1 0 0 0 2 セネタース 5勝4敗    0.556 野口明
0 2 2 0 0 0 0 0 X 4 大東京   4勝4敗1分 0.500 近藤久


勝利投手 近藤久 2勝2敗
敗戦投手 野口明 4勝2敗


二塁打 (大)柳澤
本塁打  (大)中村

中村三郎逆風をつく一発
 今節は東京に本拠を置く4チームが洲崎に集合、名古屋、大阪に本拠を置く4チームが甲子園に集合して試合を行う。
 大東京は2回、四番中村三郎が三遊間を破る。坪内道則、漆原進連続三振後、筒井隆雄四球で二死一二塁、ここで柳澤騰市左翼線に二塁打を放ち二者還り2点を先取。大東京は3回、二失の藤浪光雄が水谷則一の投ゴロで二進、中村三郎が逆風をついて左翼ブリーチャーに大ホームランを放ち4-0とリードを広げる。セネタースは5回、野口明がバットで取り返そうと中前に安打、トップに返り苅田久徳も中前打で続く。中村信一の投前バントを近藤久が一塁悪送球し無死満塁と反撃のチャンス、しかし期待の尾茂田叶は遊ゴロに倒れ6-4-3のゲッツーの間に野口明が還り4-1として苅田は三塁へ、打者綿貫惣司の時に苅田は本盗を狙いホームに突入、しかしこれは失敗に終わる。セネタースは6回、綿貫、北浦三男連続四球で無死一二塁と再度チャンスをつかむ。家村相太郎三ゴロで北浦二封、一死一三塁とする。打者大貫賢の時家村二塁へスタート、強肩キャッチャー藤浪は二塁へ送球、ここで三走綿貫がホームへ走る、送球を捕ったショート中村信はバックホームするも綿貫生還しダブルスチール成功で4-2。しかしその後7、8、9回を近藤久がセネタース打線を1安打に抑え完投勝利、大東京は星を5分に戻す。一方セネタースはエース野口明で痛い星を落とす。

三冠への道 ⑤

 4月16日のメッツ戦は4打数0安打ながらチームは4対3で勝利。
 4月17日はいよいよヨハン・サンタナとの対決。現在メジャーリーグで複数回サイヤング賞獲得選手と複数回MVP獲得選手の対決が見られる機会は、ヨハン・サンタナvsアルバート・プホルス、ティム・リンスカムvsアルバート・プホルスのみ、恒例のインターリーグ地下鉄シリーズでヨハン・サンタナvsアレックス・ロドリゲスの対決が見られる可能性もあります。
 この試合は延長20回の激戦の末、ニューヨーク・メッツが2対1で勝利を収めております。プホルスは9打席5打数2安打4四球、今期通算44打数16安打15打点5本塁打、打率3割6分4厘。こういう一発で決まってしまう展開になるとなかなか打たせてもらえません。そういう中で9年連続3割30本100打点を継続する精神性は王貞治に通じるものがあると思います。

 延長18回まで0対0、松山商業vs三沢高校のような試合でした(因みにこの試合は私の野球人生の原点とも言える試合であり、夏休みに親戚の家で延長18回及び再試合をテレビの前で全て見ていました。大人気の三沢高校太田ではなく、松山商業の井上投手を応援していました。例の延長15回裏一死満塁ワンストライクスリーボールからの外角低めは、私にはストライクに見えました。これはボールだったが郷司主審が井上に同情してストライクとコールしたと語られていますが、この時NHKのアナウンサーが「ボ、あっ、ストライク」と放送したことにに起因していると思います。郷司主審は「あれは間違いなくストライクだった。」と語っていますが、私の目にもストライクと映りました。後年ビデオを見ましたが、やはりストライクだったと確信しております。)。延長19回表にメッツが1点を先取、19回裏は当然フランシスコ・ロドリゲス(K-ロッド)の登場です。ところがカージナルスが1点もぎ取り延長20回表にメッツが1点取って2対1での勝利となりました。

2010年4月17日土曜日

12年春 第3節 週間MVP

週間MVP

 今節は各チーム4試合ずつ、合計16試合が選定対象となる。今節4連勝で単独首位を独走する阪急からの選出が妥当。阪急の好調は上位打線の4人、西村正夫、山田伝、山下実、山下好一の好調が続いていること、外野守備陣(山田、山下好、西村)が8球団No1であること、投手陣が駒揃い(今節は重松通雄、笠松実、石田光彦、北井正雄がそれぞれ1勝ずつをあげ、中田武夫が1セーブをあげている。)なことに起因している。

阪急 山下好一 1
 今節16打数5得点5安打7打点1本塁打、阪急4連勝に貢献度No1。4月11日のセネタース戦では満塁ホームランを放っている。


阪急 山田伝 1
 今節17打数4得点7安打7打点、西村、山田の一二番コンビが出て山下実、山下好一の三四番で還すパターンが定着している。しかも二番打者として7打点が光る。

ジャイアンツ 澤村栄治 2
 投手部門は 熾烈なハーラー争いを繰り広げる澤村とセネタース野口明の一騎打ち。今節は野口も2勝しておりピッチング内容も澤村を上回っていたが、阪急との首位攻防戦に0対1の惜敗とは言え敗れたことが減点材料となった。
 一方澤村は何といっても4月10日のタイガース戦の快投が決め手となり第1節に続き2度目の選出。



 殊勲 、敢闘、技能の三賞は職業野球団結成後公式戦初勝利を劇的なサヨナラで飾ったイーグルス勢が独占した。

殊勲賞

イーグルス 杉田屋守 1
 9回裏サヨナラ安打。攻守の要としてイーグルスを引っ張る主将。

敢闘賞

イーグルス 畑福俊英 1
 記念すべきイーグルス公式戦初勝利を完投で飾る。昨年ジャイアンツ在籍時にも巨人軍公式戦初勝利試合の勝利投手であり、「2年連続異なるチームにおいて球団創設後公式戦初勝利投手」という空前にして絶後の快記録を達成する(こういう歴史に埋もれた記録を掘り起こしていくのが当ブログの使命です。)。今期ジャイアンツから移籍し、移籍後初勝利をあげる酒豪。

技能賞

イーグルス 中根之 1
 今節17打数4得点9安打1打点、4月8日阪急戦及び11日金鯱戦でシングル、二塁打、三塁打の準サイクルを記録。流石は昨年の初代首位打者。今期も8試合を終了した時点で8試合連続安打を継続中。32打数7得点14安打2打点3盗塁、二塁打3本、三塁打2本 、塁打21、打率4割3分8厘(1位)で首位打者争いの主役。






2010年4月16日金曜日

三冠への道 ④

 4月14日アストロズ戦はレフトへのタイムリー1本で4打数1安打1打点、15日のアストロズ戦はチームは久々の敗戦でしたが4打数2安打で打率を4割にのせました。9試合を終了して35打数14安打15打点5本塁打打率4割。打率は5位ですが本塁打、打点はトップに立っています。
 しかしながら、本塁打ではチェース・アトリー(現役No1二塁手、というより歴代でナポレオン・ラジョイ、エディ・コリンズ、チャ-リー・ゲーリンジャー、ロジャース・ホーンスビー、ジョー・モーガン、ライン・サンドバーグと比較して語るべき二塁手、昨年のワールドシリーズで5本塁打を放ちました。)に並ばれ、打点ではホルヘ・カントゥ(第1回WBCにおける日本の恩人、メキシコ代表として米国戦でカントゥが打ってくれなければ日本は決勝に進めませんでした。)に並ばれております。

2010年4月15日木曜日

12年春 金鯱vsセネタース 2回戦 

4月12日(月)洲崎  

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 金鯱     1勝7敗 0.125
0 0 0 0 3 0 0 0 X 3 セネタース  5勝3敗 0.625  



敗戦投手 中山正嘉 1勝2敗
勝利投手 野口明  4勝1敗

二塁打 (金)瀬井、江口 (セ)中村民
三塁打 (セ)尾茂田


野口明ハーラートップに並ぶ。
 金鯱は初回、濃人渉の三ゴロをサード今岡謙次郎が一塁悪送球して濃人は二塁へ、島秀之助の三ゴロを又も今岡失して無死一三塁、黒沢俊夫の遊ゴロで島二封、小林利蔵の中犠飛で先制。瀬井清左中間二塁打で二死二三塁、ここで松元三彦は三ゴロ、今度は今岡慎重に捌いてチェンジ。金鯱は4回、右前打の佐々木常助を一塁に置いて江口行男の当たりは右中間を破り佐々木生還、江口は三塁を欲張りライト家村相太郎からの返球をカットしたセカンド苅田久徳からサード今岡に渡りタッチアウト、2-0。4回まで金鯱先発の中山正嘉に2安打無得点に抑えられたいたセネタースは5回、3回から今岡に代わりサードに入った横沢七郎が左前に痛烈な安打、野口明四球からトップに返り苅田が送り一死二三塁、打者中村信一の時中山ワイルドピッチで横沢還り野口明三進、更に中村がスクイズを敢行、野口明が還り2-2と同点に追いつく。二死無走者となったが尾茂田叶が右中間に三塁打、中村民雄三塁線を破る二塁打で3-2と逆転。野口明が5回以降金鯱打線を江口のヒット1本に抑え見事な逆転勝利を飾る。野口明は6安打5三振1四球の完投で4勝目をあげ澤村と並びハーラートップ。

2010年4月14日水曜日

12年春 阪急vsイーグルス2回戦

4月12日(月)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 0 3 1 1 1 0 0 8 阪急     7勝1敗 0.875 
北井正雄-森弘太郎
2 0 0 0 0 0 2 0 3 7 イーグルス  2勝6敗 0.250 藤野文三郎-古川正男


勝利投手 北井正雄  1勝1敗
敗戦投手 藤野文三郎 0勝1敗
セーブ  森弘太郎 1

二塁打 (阪)宇野、山下好 (イ)野村、高橋
三塁打 (イ)古川、寺内

阪急怒涛の5連勝
 阪急は初回、西村正夫が四球後盗塁、山田伝一ゴロで三進、山下実の一ゴロの間に還り先制。この後藤野文三郎はストライクが入らず4連続四球で2点を先取。その裏イーグルスは、寺内一隆四球、野村実が右中間を破り寺内還り2-1、更に杉田屋守中前タイムリーで同点に追いつく。北井は2回は1四球を与えるも後続を断ち、3回は高橋吉雄、杉田屋に連打を浴びるが石井秋雄を4-6-3のダブルプレイに打ち取りなんとか持ちこたえる。しかし肩で息をしながらの投球で明らかに様子がおかしい。
 阪急は4回、そんな北井を何とか援護しようと宇野錦次が左翼線に二塁打、大原敏夫四球、北井の投前バントで宇野三封、西村中前打で一死満、ヘソ伝中犠飛で1点を勝ち越す。更に山下実四球の二死満塁から山下好一が左中間に二塁打して2点を追加、5-2とする。塁に出てホームに戻った北井はすでに投げられる状態ではなく、4回から森弘太郎がリリーフに立つ。阪急は5回、ヘソ伝が押出し四球を選び、6回も大原押出し四球、7回は山下実の右犠飛で1点づつ加点し8-2とリードを広げる。リリーフ森は4~6回を無安打で抑えるが、イーグルスは7回、二番手投手古川正男が左中間へ三塁打、寺内も右中間に連続三塁打、野村の中犠飛で8-4。更に9回、古川二塁内野安打、寺内左飛、野村二ゴロで古川二封の二死一塁から怒涛の反撃。中根之右前にライナーで運び、高橋吉雄の右中間二塁打で二者が還り2点差。杉田屋の当たりは遊ゴロとなり万事休すかと思われた瞬間ショート上田藤夫がお手玉、二死一三塁となり一走杉田屋に代走金井清を送る。ここで金井は二塁へスタート、8回の死球で負傷の大原に代わりこの回からマスクを被る島本義文二塁へ送球、すると三走高橋がホームへ、見事にダブルスチールが決まりついに8-7。しかし石井の遊ゴロを今度は上田が慎重に捌き阪急が何とか逃げ切り5連勝。3回で降板の北井が勝利投手となる。

2010年4月13日火曜日

12年春 名古屋vs大東京 2回戦

4月11日(日)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 名古屋 3勝5敗    0.375 森井茂-田中実
0 0 0 0 0 0 1 3 X 4 大東京 3勝4敗1分 0.429 大友一明


勝利投手 大友一明 1勝0敗
敗戦投手 森井茂  1勝2敗

二塁打 (名)芳賀 (大)水谷

大友一明投打に活躍
 6回まで、森井茂は大東京打線を散発3安打に抑える好投、一方大友一明も2回に連打を許したのみで名古屋打線を2安打に抑え投手戦の様相を呈す。7回名古屋は、二失の小島茂男を岩田次男が送り、白木一二の中前タイムリーで先制。その裏大東京は、先頭の藤浪光雄四球、水谷則一の一ゴロはファースト小島がそのままベースを踏みワンアウト、藤浪のオーバーランを見て小島二塁に放るがこれが悪送球となり藤浪は三塁へ、貰ったチャンスに四番中村三郎が右前に痛打して同点。大東京は8回、筒井隆雄が三塁線内野安打で出塁、柳澤騰市の三前バントをサード岩田が一塁へ悪送球、ワンヒットワンエラーで無死二三塁、ここで好投を続ける大友が一二塁間へ決勝タイムリー、藤浪左犠飛、水谷左前打と続き4-1。投打に活躍の大友は4安打完投で今季初勝利。名古屋小坂三郎は3度盗塁を試み全て藤浪に刺される。

12年春 タイガースvsジャイアンツ 2回戦

4月11日(日)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 0 0 0 0 0 4 1 7 タイガース  5勝2敗1分 0.714 御園生崇男-若林忠志
0 0 0 0 1 1 0 0 0 2 ジャイアンツ 5勝3敗   0.625 スタルヒン-澤村栄治-前川八郎

勝利投手 若林忠志 1勝0敗
敗戦投手 澤村栄治 4勝1敗

二塁打 (タ)広田、藤村 (ジ)伊藤

澤村栄治今季初黒星 
 タイガースvsジャイアンツ第2戦はタイガースが昨日の雪辱を果たし意地を見せた。タイガースは初回、松木謙治郎がスタルヒンの速球を逆らわずに三遊間に流して出塁、藤井勇の遊ゴロでランナーが入れ替わる。ここで負傷の門前真佐人に代わり三番に抜擢された広口修三が期待に応え右中間に二塁打を放ち一死二三塁、景浦将の左犠飛で先制、更に藤村富美男が一塁線を破り広口還って2点目。4回まで御園生に1安打に抑えられていたジャイアンツは5回、筒井修四球、伊藤健太郎遊ゴロでランナー入れ替わり伊藤が二盗、永澤富士雄右飛、内堀保四球の二死一二塁でスタルヒン中前タイムリーで1点を返す。更に6回、呉波左前安打で出塁、水原投前に送って呉は二塁へ、呉のオーバーランを見てファースト松木がセカンドに放るが悪送球となり呉は三塁へ、中島治康二ゴロの間に呉が還り同点に追い付く。セカンド藤村の失策で一塁に生きた中島はすかさず二盗、しかし筒井、伊藤が連続右飛に倒れ追加点ならず。ここで勢いに乗りきれなかったことが敗因となる。
 タイガースは7回、先頭の松木が二塁内野安打で出塁、藤井が送り一死二塁となったところでジャイアンツベンチはスタルヒンを諦め澤村栄治を投入、澤村は広口を捕邪飛に打ち取るが松木が隙を突いてタッチアップから三塁へ、景浦四球後二盗を決めて二死二三塁、しかし澤村は藤村を右飛に打ち取りピンチを防ぐ。しかし澤村は昨日の快投の疲れが残っているか今ひとつボールのキレを欠く。タイガースは8回、先頭の伊賀上良平が中前にクリーンヒット、山口政信の投ゴロを併殺を焦った澤村が二塁へ大暴投、バックアップのセンター呉も追い付けず伊賀上は長駆ホームベースを駆け抜け1点を勝ち越し山口も三塁へ。ここで初スタメンサードの比留木虎雄に代わる代打奈良友夫が一二塁間タイムリーで4-2、御園生送り松木の二ゴロをセカンド筒井がはじき松木盗塁藤井四球で一死満塁、広口三塁線を破り二者が還り6-2となり澤村をKO、代わった前川が後続を抑える。
 タイガースは8回から御園生をセンターに回し若林忠志を投入、山口がライトに回り、ライト景浦がサードに入り逃げ切りを諮る。9回にも山口遊失、若林右前打、御園生四球で一死満塁のチャンスを作り松木の右犠飛でダメ押しの7点目、ライト中島の返球はファースト永澤が中継してホームへ返球、一走御園生は中途半端なハーフウェイでキャッチャー内堀からの返球を受けた永澤にタッチされスリーアウト、しかし大勢には影響なく9回も若林が抑えタイガースが快勝。松木が3安打2盗塁と活躍、景浦も盗塁を決めるなど積極的な走塁が目に付く。澤村を打ち崩しての勝利だけに価値が高いが、今日の澤村は前日の疲れからか球の伸び、ドロップのブレーキとも今ひとつの出来、春季キャンプの秘密練習の効果が出たかどうかはまだ見極めるには早計。御園生は7回投球を完了しており現行ルールでは勝利投手となるが、公式記録では若林が勝利投手である。

三冠への道 ③

 4月12日のアストロズ戦は3打数2安打4打点1本塁打、7試合で27打数11安打14打点5本塁打打率4割7厘。怪我なくシーズンを終えれば予言的中でしょう。

12年春 イーグルスvs金鯱 2回戦

4月11日(日)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 イーグルス 2勝5敗 0.286 古川正男
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 金鯱     1勝6敗 0.143 古谷倉之助

勝利投手 古川正男  1勝1敗
敗戦投手 古谷倉之助 0勝4敗

二塁打 (イ)中根、古川、石井
三塁打 (イ)中根

雪辱の日
 古谷倉之助は8回までイーグルス打線を4安打無得点に抑える好投。古川正男も7回まで金鯱打線を5安打無得点に抑え一歩も引かず。8回裏金鯱は、先頭の瀬井清が四球出塁後盗塁、松元光彦三振後、この日三打席連続送りバントを決めている佐々木常助死球で一死一二塁、三打席2三振と元気のない江口行男の代打平川喜代美の遊ゴロで二走瀬井が三封、二死一二塁、トップに返り濃人渉は中前に痛烈な当たり、佐々木が還り遂に1点を先制、センター杉田屋守の返球が逸れる間に一走平川の代走矢野槙雄は三塁へ向かうがバックアップに入ったピッチャー古川からサード中村実に渡り矢野はタッチアウト。1点を追うイーグルスは9回、先頭の中根之が快心の当たりで右中間を破り三塁打、四番サム高橋吉雄期待に応え一二塁間を破り同点、試合が動き出せばこんなものか。杉田屋一ゴロで高橋は二進、石井秋雄は三塁線を破る二塁打で2-1と逆転に成功。9回裏金鯱の攻撃、一死後黒澤俊夫が四球で出塁、しかし四番小林利蔵は捕邪飛で二死一塁、黒澤決死の覚悟で二盗を敢行するが佐藤武夫の肩が勝りゲームセット。古川は8四球を与えるも6安打8三振の力投で完投勝利。7安打1四球で頑張った古谷は開幕4連敗。中根之は4月8日の対阪急戦に続き2試合連続でシングル、二塁打、三塁打の3安打。
 今季2度目の登板となった古川正男は、第1試合の浅岡がセンター方向からの風に苦しむ投球を参考にしたのかストレート主体のピッチングで好投、3月27日の今季初登板となったタイガース戦では一死も取れずにKOされた雪辱を晴らす。

2010年4月12日月曜日

12年春 セネタースvs阪急 2回戦


4月11日(日)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 0 1 2 4 セネタース 4勝3敗 0.571 浅岡三郎-金子裕
1 6 0 1 2 0 0 0 X 10 阪急    6勝1敗 0.857 石田光彦-中田武夫


勝利投手 石田光彦 3勝0敗
敗戦投手 浅岡三郎 1勝2敗

二塁打 (セ)中村信、中村民、綿貫 (阪)山田2

浅岡三郎洲崎の風に散る
 阪急は初回、山田伝が右中間二塁打で出塁、山下実四球、浅岡暴投、山下好一四球の一死満塁から上田藤夫の右犠飛で先制。更に2回、宇野錦次三塁内野安打、島本義文の三ゴロをサード横澤七郎が二塁に悪送球、石田光彦の一塁線への送りバントはファースト中村民雄が失して無死満塁。西村正夫押出し四球、ヘソ伝一二塁間タイムリーで3-0、山下実二飛で一死満塁、ここで山下好一は右超えグランドスラム、7-0として主導権を握る。セネタースは3回、中村信一三塁線二塁打、中村民雄右前タイムリーで1点返すが、二塁に向かった中村民はライト西村の返球をカットした石田からショート上田に転送されタッチアウト。阪急は4回、右前打で出塁したヘソ伝が黒田健吾の一ゴロの間に還り8-1、5回には、四球の島本、西村を置いてヘソ伝がこの日4安打目となる左中間二塁打で2点追加し10-1。6回の阪急の攻撃は、上田四球、黒田一二塁間安打で無死一二塁、打者宇野の時エンドランを敢行、宇野の一打はショート中村信一へのライナー、中村信から苅田久徳へ渡りツーアウト、苅田ファーストヘ転送し一走上田返れずトリプルプレイ完成かと思われたがファースト中村民雄が落球、大魚を逸す。
 大量得点に守られて十字架投法石田光彦は7回まで1失点、8回北浦三男の内野安打で1点を失い9回も代打綿貫惣司の左中間二塁打等で2点を失い中田武夫のリリーフを仰ぐが開幕3連勝。山田伝は今季2度目の4安打。一方、緩球を武器とする浅岡はセンター方向からの強風に得意の変化球が思うようにコントロールできず痛打を浴びることとなった。

 因みに私も江東区の海沿いに住んでいますが、今朝出勤のためマンションを出たところ、強風で傘が破壊され、一旦部屋に戻って新しい傘に取り換えて出勤したため遅刻しそうになりました。浅岡三郎の気持が少し分かった気がしました。


三冠への道 ②

 セントルイス・カージナルスは6戦を戦い4勝2敗でナショナル・リーグ中地区首位を走っています。プホルスは対ブルワーズ第3戦で5打数3安打4打点2本塁打と初戦以来の爆発。1本目は外角球に軽くバットを合わせてライトポール際へ2ラン、2本目は内外角に厳しい攻めが3球続いた後の甘い球を軽々とレフトスタンドへ2ラン、入った瞬間ESPN(多分)のアナウンサーが「アディオス!」と叫んでいます。通算24打数9安打10打点4本塁打打率3割7分5厘と順調に三冠への道を歩んでいます。
 この試合におけるジョー・マザーのダイビングキャッチは必見。フェンス手前の芝生の切れた土の部分に飛び込んでいます(動画はMLBのホームページで見ることができます。)。 

 ナショナル・リーグ東地区は順当にフィラデルフィア・フィリーズが5勝1敗で首位。今日もジミー・ロリンズが先頭打者ホームラン、ロイ・ハラデイがいつもながらの完投で順当に首位を走っています(おそらく現在のフィリーズ打線は、マーダラーズ・ロウ(殺人打線)と呼ばれた1920年代後半のニューヨーク・ヤンキース、ビッグレッドマシンと呼ばれた70年代のシシナティ・レッズに匹敵する強力打線ではないかと思います。)。
 ナショナル・リーグ西地区はサンフランシスコ・ジャイアンツが5勝1敗で首位。プホルスの三冠と共にティム・リンスカムの3年連続サイ・ヤング賞も予言したいところですが、期待するところまでにしておきましょう(多分そのうち予言に代わりますが。因みにこちらは2年連続的中しています。)。

 ということで私の好きな3チームがそれぞれ首位に立つという近年稀に見る状況にあり笑いが止まりません。特にサンフランシスコ・ジャイアンツは89年も02年も知らないうちにワールドシリーズまで行っていた感じで、リンスカムがいながら全く下馬評にも上がらない今年は意外なことが起きるかも。カギを握るのはバリー・ジト、ニューヨークからのオファーもありながらサーフィンを楽しみたいがために西海岸に居残っている道楽者。昨年後半から調子を上げてきているジトが15勝すればリンスカムには25勝する力があるだけに本当に意外なことが起こるかも。春の珍事で終わらないことを祈っています。

2010年4月11日日曜日

12年春 ジャイアンツvsタイガース 1回戦

4月10日(土)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 910 11 12
0 0 0 0 0 2 0 0 1 0  0 1 4 ジャイアンツ 5勝2敗   0.714 前川八郎-澤村栄治
0 0 0 1 0 2 0 0 0 0  0 0 3 タイガース  
4勝2敗1分 0.667 西村幸生

勝利投手 澤村栄治 4勝0敗
敗戦投手 西村幸生 2勝1敗

二塁打 (ジ)筒井、水原、中島、白石 (タ)岩崎
伝統となる一戦
 ジャイアンツvsタイガースの今季第1戦。ジャイアンツは初回、呉波左飛、白石敏男右飛、水原茂三振と西村幸生は順調な立ち上がり。その裏タイガースの攻撃、松木謙治郎の当たりは一二塁間へ、ファースト永澤富士雄飛び込むが抜かれる、しかしセカンド筒井修が好捕、前川八郎のベースカバーが遅れ筒井がそのままファーストベースに駆け込みアウト、無補殺セカンドゴロを記録する。藤井勇一ゴロ、小島利男三振で前川も無難な立ち上がり。タイガースは4回、先頭の小島左前に痛打、景浦の三塁猛ゴロはサード水原華麗に捌き小島二封、山口政信の二ゴロで景浦二進、伊賀上良平の左飛をレフト伊藤健太郎が落球し1点を先取。ジャイアンツは6回、先頭の水原が右中間二塁打、主砲中島治康は西村のボールになる外角スライダーに強引にバットを合わせ右翼線にライナーの二塁打で同点、中島のアウトステップを見て外にはずれるスライダーで攻めたが中島の腰は残っており、西村はあれを持っていかれるかと職業野球の奥義に感服、続く筒井は三振、ここでタイムリーエラーに2三振と元気のない伊藤に代わり代打にベテラン山本栄一郎を起用、西村は腰が回らないと見て内角にシュートで攻める、山本肘をたたんでこれを痛打し左前にクリーンヒット、日本運動協会以来の熟練の技を見せて中島を迎え入れ2-1と逆転。山本は昨年澤村の無安打無得点試合でも代打で決勝タイムリーを放っており、無類の勝負強さを誇る。
 タイガースは6回裏、一死後景浦、山口が連続四球、前川限界と見たジャイアンツベンチはここで澤村栄治を投入、代わった澤村は伊賀上を三振に斬って取る。しかし負傷の門前真佐人に代わってマスクを被る岩崎利夫が澤村の快速球を左中間に運び二塁打、二者を還して3-2と又も逆転。ここはリードを奪ったところで回の頭から澤村を投入するべきであり、前川を引っ張りすぎたベンチのミスであろう。この点、翌日の読売新聞誌上においても鈴木惣太郎氏が「結果からいうのではないがこの回の初めから澤村を投入すべきであった」と論じている。当時の新聞に掲載されている論評には結果論にすぎないと思われる記事が多く見られるが、鈴木氏は「結果からいうのではないが」とことわりを入れているところは流石の見識というところか。
 ジャイアンツは7回、先頭の澤村が三遊間に流し打って無死一塁、呉が送って一死二塁、白石の当たりは一塁線を破るが澤村三塁で自重し白石二塁へ駆け込み記録は二塁打で一死二三塁の大チャンス、しかし西村は水原を遊飛、中島を三ゴロに抑える。澤村は7回、皆川定之から三振、藤井に四球を与えるが三番小島を三振に斬って取る。8回も四番景浦、五番山口を三振に打ち取りクリーンナップ三者連続三振、あの草薙の快投を彷彿させる。ジャイアンツは9回、先頭の澤村は珍しく引っ張って一二塁間へのゴロ、ファースト松木が捕って一塁ベースカバーに走ったこの回からセカンドに入った加藤信夫に送球、しかし澤村の気魄の走塁に手元が狂ったか悪送球となり無死一塁、呉が又も送り一死二塁、白石の当たりは痛烈なライナーで右翼景浦の前に、澤村今度は三塁を蹴ってホームへ向かう、遠投140メートルの超強肩景浦バックホーム、澤村はキャッチャー岩崎のブロックをかいくぐり遂に同点。澤村は9回も岩崎、皆川から三振を奪い、延長戦に突入。
 宇治山田が生んだ西村幸生、澤村栄治両雄の投げ合いは遂に延長戦へ、10回ジャイアンツは筒井三ゴロ、山本二飛、永澤も二飛で三者凡退、その裏タイガースは先頭の松木が澤村のワンバウンドとなるドロップに空振り三振、と思いきや内堀保がはじき三振ナットアウト、松木一塁へ走るが内堀落ち着いて永澤に送球しワンアウト、記録は三振。藤井が三失で一死一塁、9回の守備から小島に代わりセカンドに入った加藤信夫の代打藤村富美男三ゴロで藤井二封、景浦三ゴロで11回へ。ジャイアンツは内堀一ゴロ、澤村遊飛、呉左飛でチェンジ。その裏タイガースは山口二ゴロ、伊賀上三ゴロ、岩崎中飛で12回へ。
 12回表、ジャイアンツは先頭の白石が中前に痛烈な当たり、白石の気魄が打球に乗り移ったか名手山口がこれを後逸し白石は一挙三塁へ、この願ってもないチャンスに水原中前に弾き返しついに4-3と勝ち越す。中島三振、筒井投ゴロで水原二進、山本中飛でスリーアウト。その裏タイガースは先頭の西村の代打御園生崇男が粘って四球を選び無死一塁、しかし皆川の代打本堂保次は三振、澤村の球威は全く衰えず松木二飛、藤井遊飛でゲームセット。澤村は6回3分の2を投げ代わりばなの1安打のみで9奪三振の力投。
 打の殊勲白石敏男、投の殊勲澤村栄治、昨年茂林寺の合宿、バッティング練習中こめかみに死球を受けて(当時はヘルメットはまだない)倒れた白石、心配そうに駆け寄り起こそうとした先輩水原、三原の手を払いのけ「どきんしゃい、わしゃぁ打つけぇ」、だらけた練習を続けていた投手陣に緊張が走る、澤村が藤本監督に「僕走ってきます」、この瞬間から巨人軍の伝統が始まったと言っても過言ではない。そして「打倒澤村」を合言葉に報道陣をシャットアウトして行ったタイガースの秘密特訓、松木によれば「若手に課した特訓はとても親兄弟に見せられるものではなかった」という。巨人ー阪神戦が伝統の一戦と呼ばれるのは後世のことであるが、本日のような熱戦の積み重ねが伝統を築いていったのである。

12年春 大東京vs名古屋 1回戦



4月10日(土)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 3 0 0 0 0 4 大東京 2勝4敗1分 0.333 近藤久
0 0 0 0 0 0 2 0 0 2 名古屋 3勝4敗    0.429 田中実


勝利投手 近藤久 1勝2敗
敗戦投手 田中実 2勝2敗

大東京内野陣4イニング連続併殺
 3回までは、田中実が大東京打線を坪内道則の三塁線安打一本に抑えれば近藤久は名古屋打線をパーフェクトに抑える。大東京は4回、水谷則一四球、坪内左翼安打で一死一二塁のチャンス、漆原進が中前クリーンヒットで水谷還り1点を先取。更に5回、一死から近藤の二ゴロをファースト小島茂男が落球、鬼頭数雄右翼線安打、藤浪光雄四球で一死満塁、水谷一二塁間を破り2-0、中村三郎三ゴロの間に鬼頭が還り3-0、坪内本日3本目の安打は右前タイムリーとなり4-0と突き放す。名古屋は5回、白木一二遊失、前田喜代士三遊間安打、岡本利三四球で無死満塁の大チャンス、しかし田中三邪飛、三浦敬一の三ゴロは漆原-柳澤騰市-中村と渡り5-4-3のゲッツー。6回も先頭の桝嘉一が四球で出塁するが芳賀直一の当たりは一ゴロ、ファースト中村ベースを踏んで二塁へ送球、ベースカバーに入ったショート筒井隆雄が桝にタッチして3・A-6のゲッツー。お次は7回、小島四球後白木一二塁間を破り無死一三塁と反撃のチャンス、しかし前田喜代士二ゴロで4-6-3のゲッツー、この間に何とか1点を返す。岡本利三四球後盗塁に成功、田中三遊間タイムリーで4-2。続く8回、先頭の桝嘉一が左前にクリーンヒットを放つが芳賀直一は5-4-3のゲッツー。大東京内野陣は4イニング連続で併殺を完成( } はダブルプレーを表す)、ちゃんと守れば勝てる。坪内は4安打の活躍、近藤は5安打2三振6四球で完投勝利。名古屋内野陣も二つの併殺を記録しており、1試合6併殺の珍記録。

2010年4月10日土曜日

12年春 阪急vsセネタース 1回戦






4月10日(土)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪急     5勝1敗 0.833 笠松実
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セネタース  4勝2敗 0.667 野口明




勝利投手 笠松実 2勝0敗
敗戦投手 野口明 3勝1敗

二塁打 (セ)中村民、野口明


首位攻防戦
 共に4勝1敗同士の首位攻防戦。阪急は初回、先頭の西村正夫が右前にクリーンヒット、山田伝が送り一死二塁。セネタース先発の野口明は好調山下実を警戒しすぎて歩かせ一二塁。続く四番も好調山下好一、野口明はゲッツーを狙い内角低めへシュート気味の投球、これをキャッチャー中村民雄がはじいて捕逸となり一死二三塁。山下好一の二ゴロの間に西村還り1点を先制。この1点がセネタースに重くのしかかる。その裏セネタースはトップ苅田久徳が右前にクリーンヒット、中村信一との間でエンドラン、打球は右翼への小飛球、苅田は戻っても間に合わずとみて二塁へ猛進、しかしライト西村前進また前進してこの飛球を好捕、一塁に送球してゲッツー。阪急は2回以降、小さめのテークバックから切れの良い速球を投げ込む野口明に抑えられ2安打のみ。セネタースは2回、捕逸を挽回しようと中村民が左中間に二塁打、今度は家村相太郎が送り一死一三塁、しかし後続が続かず無得点。3回から7回までは笠松実に抑えられ1安打で2塁も踏めず。セネタースは8回、二死から野口明が左中間に二塁打、しかし期待の苅田が投ゴロに倒れ得点ならず。
 圧巻は4回と7回に魅せた野口明と苅田による2つの併殺プレー。共に上田藤夫が出塁して黒田健吾が送りバントを試みるが1-4-3のダブルプレー(写真左)。セネタース内野陣が百万ドル内野と呼ばれる所以である。野口明は後年捕手に転じて成功するが、中京商業時代は捕手として吉田正夫の球を受けていた。投手としてはどの文献にも小さなテークバックから小気味の良いピッチングを見せたとされているが、スコアブックに残された本日のフィールディングからも捕手としての才能が窺われる。
 0-1のビハインドで迎えた最終回、セネタースは先頭の中村信が二遊間を破り出塁、強打の尾茂田叶が送り一死二塁、ここで中村信が三盗を敢行、これが成功して一死三塁、8回からマスクを被る北浦三郎は三飛に倒れ二死三塁、中村民は四球で二死一三塁、打者は序盤戦の当たりが止まっている家村相太郎、ワンストライクワンボールから笠松が3球目を投じてボール、ここで中村民が捨て身のディレードスチールを敢行、キャッチャー島本義文は三走中村信の動きを封じ込めながらショート上田藤夫に送球、上田は横目で中村信の動きを見ながら一二塁間に挟まれた中村民を追いファースト山下実に送球、上田はセオリーどおりそのまま直進してファーストベースのカバーに入る、山下実は前方左の三走中村信の動きを封じ込めながら中村民を追いセカンド宇野錦次に送球、宇野は右目で中村信の動きを見ながら中村民を追い詰める、ファーストカバーに回ったショートの上田も前に出て中村民との距離を詰める、絶妙のタイミングで宇野から上田に送球され上田が中村民にタッチして試合終了。セネタース内野陣の見事な挟殺プレーに三走中村信はホームを窺おうとするがスタートを切るタイミングをつかめず。最後の場面はスコアブックに「2・6・3・4・6」と記録されている(写真右)。
 初回の攻撃は共に先頭打者がヒットで出塁、阪急は送りバントを1点に結びつけるがセネタースはエンドランが裏目に出て併殺、初回の攻防が明暗を分ける結果となった。首位攻防戦に相応しい熱のこもった投手戦、笠松実がスミ一を守りきる力投で阪急が単独首位に躍り出る。阪急の強さは外野守備陣にある。強肩快足の山下好一がセンターに入っているため、他チームであれば当然センターを守るべき山田伝と西村正夫を両翼に配すことができる贅沢な布陣が大きな武器となっている。初回の西村の好守がいい例である。

12年春 金鯱vsイーグルス 1回戦








4月10日(土)洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9 
0 2 1 0 0 0 0 0 0  3 金鯱     1勝5敗 0.167 中山正嘉
2 0 0 0 0 0 1 0 1X 4 イーグルス  1勝5敗 0.167 畑福俊英

勝利投手 畑福俊英 1勝3敗
敗戦投手 中山正嘉 1勝1敗

本塁打 (金)瀬井1、小林1

イーグルス球団創設後初勝利
 本日から洲崎、甲子園と東西に分かれて1日4試合が挙行される(写真は洲崎球場跡地に建てられた碑。城東地区の方々が免許更新でお世話になっている江東試験場の真向かい、オルガノ本社前にあります。)。
 イーグルスは初回、寺内一隆、野村実が連続四球、中根之の一ゴロで一死二三塁、杉田屋の当たりは三遊間を真っ二つに破り二者生還。金鯱もすかさず2回、瀬井清が左超えホームラン、畑福頭に血が上り4連続四球で2-2の同点。金鯱は3回、今度は小林利蔵が左超えホームランで3-2、瀬井も三遊間安打で続く。ここは畑福冷静にバッティングの良い中山正嘉を三ゴロ、佐々木常助を三振に斬って取る。その後は中山、畑福の投げ合いが続き7回裏イーグルスの攻撃、一死後寺内が四球で出塁、野村の中前ポテンの間に寺内三塁を陥れ野村盗塁で一死二三塁、中根死球で満塁、サム高橋吉雄の当りは遊ゴロとなり6-4-3と転送されるが高橋の足が一瞬早く一塁セーフ、この間に寺内が還りついに同点。
 8回表金鯱は、先頭の小林が左前に痛打、瀬井が送り中山は遊ゴロ、二走小林は二塁に戻るがショート山本博愛が一塁へ悪送球、小林は三塁へ、中山が二盗を決め一死二三塁の大ピンチ、しかしここで畑福の剛腕が唸り代打平川喜代美を三振、相原輝夫には四球を与えるが江口行男を三振に斬って取りピンチを切り抜ける。金鯱は9回、一死後濃人渉が三塁線を破り二塁へ向かう、レフト寺内打球をつかむや二塁へ好返球、間一髪アウトとなりピンチを未然に防ぐ。連敗脱出に執念を燃やすイーグルスはその裏、一死後中根が三塁内野安打で出塁しすかさず盗塁、高橋三失で一死一二塁、ここで杉田屋が期待に応え一二塁間を突破、中根勇躍ホームに還り開幕5連敗のイーグルスが今季初勝利、すなわち職業野球球団結成後公式戦初勝利を劇的なサヨナラで飾る。畑福は8安打を許すも5三振5四球で完投勝利。チームは1勝5敗、畑福は1勝3敗。イーグルスの命運は快腕畑福俊英と共にあり。勝利者賞の金一封は当然赤ちょうちんに消える。

2010年4月9日金曜日

12年春 タイガースvs大東京 2回戦

4月8日(木)甲子園

1 2 3 4 5
0 0 0 0 0 0 タイガース 4勝1敗1分 0.800 藤村富美男
0 0 0 0 0 0 大東京   1勝4敗1分 0.200 大友一明


雨中の投手戦
 降りしきる雨の中で行われた第2試合は、藤村富美男と大友一明の投手戦、というより手がかじかんで貧打戦。タイガースは5回まで藤村の左前打と奈良友夫の三塁線安打のみ、一方大東京は藤村にノーヒットに抑られる。雨が激しくなり6回表のタイガースの攻撃までで試合終了、引き分く。公式記録は両軍5回の攻防まで、スコアブックには6回表のタイガースの攻撃について「以下切捨」と記されている。藤村の無安打無得点は参考記録。


12年春 ジャイアンツvs名古屋 2回戦

4月8日(木)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
4 1 1 1 0 1 0 1 1 10  ジャイアンツ 
4勝2敗 0.667 澤村栄治
0 0 0 0 0 3 2 0 1 6   名古屋     3勝3敗 0.500 大沢清-田中実


勝利投手 澤村栄治 3勝0敗
敗戦投手 大沢清   0勝1敗

二塁打 (ジ)伊藤、筒井、水原、澤村
三塁打 (ジ)中島、伊藤2 (名)芳賀、前田

奇襲は通じず
 名古屋はここまで5戦、森井茂と田中実だけで回すという苦しい台所事情、田中がこの3戦を2勝1セーブで3連勝とあってか、この日はここまで代打で大活躍を続けてきた大沢清を先発で起用。しかし奇襲作戦は通用せずジャイアンツは初回、四球の白石敏男を一塁に置いて主砲中島治康が右中間三塁打で先制。筒井修左前に痛烈な当たりで加点、伊藤健太郎左中間二塁打で二死二三塁、永澤富士雄が三遊間を破り4点を先取。2回も二つのエラーで1点、3回も伊藤の右中間三塁打、永澤一二塁間タイムリーで6-0となり、大沢清ついに降板、4連投となる田中実を投入。ジャイアンツは4回も左中間二塁打の筒井を伊藤の右前痛打で還し7-0、6回も中前打後水原の三ゴロと中島の中飛で三塁に進んだ白石が田中の暴投で還り8-0。
 一方澤村栄治は快調そのもの。2回は岩田次男、白木一二、ピッチングで頭が一杯の大沢清を三者三振に斬って取る。4回小島茂男に初ヒットを許すも5回、田中、前田喜代士、三浦敬一からまたも三者三振。しかし名古屋は6回反撃を開始、芳賀直一が右前打、白石が二つのエラーを犯し、白木も右前タイムリーでこの回3点。7回、三浦が投手強襲安打で出塁、小坂三郎は三塁前にセーフティバント、水原猛ダッシュから素手でつかむやワンハンドスロー、小坂懸命に駆け抜けて一塁セーフ、しかしファースト永澤が二塁をオーバーランした三浦を見逃さず二塁ベースカバーに入った筒井に送球、挟殺プレーとなり筒井から白石に送られタッチアウト、三浦は二塁へ。
 名古屋はここから粘りを見せ芳賀が右中間三塁打で4点目、桝嘉一左前に快心の一撃を放ち8-5と追いすがる。更に小島が三遊間を破り一二塁、岩田次男の当たりはサード水原のグラブをかすめ三遊間へ、これを白石逆シングルでつかむや一塁へ矢のような送球、ピンチを防ぐ。ジャイアンツは8回、一死後水原が右中間に二塁打、中島左飛後筒井の当たりはショートへの平凡なフライ、しかしこれを芳賀が落球、全力疾走を怠らなかった水原は本塁へ突入、芳賀からの返球をかいくぐり9-5と突き放す。打者走者の筒井は芳賀のバックホームを見て二塁に突進、キャッチャー三浦はベースカバーに入った小坂に見事な送球で筒井タッチアウト。9回も伊藤がこの日2本目の左中間三塁打でチャンスを作ると二死後澤村が左中間に流し打って二塁打とし10-5。名古屋も9回裏二死後桝が粘って四球、小島右前打で一三塁、岩田の三ゴロを水原悪送球し10-6、しかし最後は白木が中飛に倒れゲームセット。澤村は11三振を奪う力投で3勝目。小雨降る中観衆は僅か675人、大沢清先発で名古屋の捨て試合かとも思われたが中盤以降両軍死力を尽くしての闘い、明日をも知れぬ身で闘い続ける職業野球の魅力ここにあり。

2010年4月8日木曜日

12年春 イーグルスvs阪急 1回戦

4月8日(木)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 1 0 0 1 3   イーグルス 0勝5敗 0.000 畑福俊英
0 4 0 3 0 3 0 0 X 10  阪急     4勝1敗 0.800 重松通雄-中田武夫

勝利投手 重松通雄 1勝0敗
敗戦投手 畑福俊英 0勝3敗
セーブ   中田武夫 1S

二塁打 (イ)高橋、中根 (阪)山下実、黒田

イーグルス泥沼5連敗
 阪急は2回、山下好一四球、上田藤夫左前にライナーで運び、黒田健吾三塁内野安打で無死満塁。畑福は宇野錦次、島本義文を連続三振に斬って取り立ち直ったかに見えたが、相手先発の重松に中前タイムリーを浴び阪急が2点を先取。尚も西村正夫三塁線、山田伝中前痛打と連続タイムリーで4-0。イーグルスは3回、先頭の畑福が中越えあわやホームランかという三塁打、中根之一二塁間を破り1点を返す。しかし阪急は4回、島本中前打、重松ピッチャー強襲安打、キャッチャー佐藤武夫の二塁牽制悪送球で無死二三塁、西村四球後山田の2ゴロで1点、畑福のワイルドピッチで重松還り2点、山下実右翼線に二塁打を放ち7-1。イーグルスは6回、代打石井明雄三失、佐藤武夫の左前打と盗塁で無死二三塁、山本博愛の右犠飛で1点を返す。阪急は6回、トップの西村が三塁前に絶妙のセーフティバントで出塁しすかさず二盗、山田四球後、畑福二塁牽制悪送球で無死二三塁と快足コンビがかき乱す。ここで山下実が中前打で二者を還し黒田の三塁線二塁打で加点し10-2。イーグルスは最終回、5回からリリーフに立った中田武夫から中根の右中間三塁打と杉田屋守の右前タイムリーで1点を返すもここまで。
 阪急上位打線は依然好調を持続し一~四番で17打数7安打6打点を記録する。一方イーグルスは中根がシングル、二塁打、三塁打を放ち気を吐くも開幕5連敗。

12年春 セネタースvs金鯱 1回戦

4月8日(木)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 1 3 0 0 4 セネタース 4勝1敗 0.800
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金鯱     1勝4敗 0.200



勝利投手 野口明     3勝0敗
敗戦投手 古谷倉之助 0勝3敗

三塁打 尾茂田

野口明4安打完封

 本日より潮の香り漂う洲崎球場に舞台を移す。5回までは、金鯱先発の古谷倉之助が尾茂田叶の三塁内野安打一本に抑える巧投、セネタース先発の野口明も小林利蔵の一二塁間安打と黒澤俊夫の左前安打二本に抑える小気味よいピッチングで投手戦が続く。均衡が破れたのは6回セネタースの攻撃、先頭の苅田久徳左前打で出塁、すかさず盗塁を試みるも中村民雄の強肩に刺される。しかし中村信一四球後、尾茂田が中越え三塁打を放ち中村を迎え入れる。更に7回、一死後大貫賢三遊間、横澤七郎中前痛打、自分で楽になれとばかりに野口明が二遊間を破り大貫還り2点目。苅田三振後中村信四球で二死満塁、ここで又も尾茂田が中前に弾き返し4-0とリードを広げる。野口明はその後も危なげないピッチング、4安打6三振無四球の完封で開幕3連勝を飾る。スコアブックの雑記欄に「野口明無四球」と記されている。

2010年4月7日水曜日

12年春 名古屋vsジャイアンツ 1回戦

4月7日 (水)甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 1 1 0 1 0 1 0 6  名古屋    3勝2敗 0.600 森井茂-田中実
0 2 2 0 0 0 0 0 X 4  ジャイアンツ 3勝2敗 0.600 前川八郎-スタルヒン

勝利投手 森井茂   1勝1敗
敗戦投手 前川八郎 1勝1敗
セーブ  
 田中実   1S
二塁打 (名)大沢清、桝
本塁打 (ジ)中島


名古屋粘って逆転
 名古屋は初回、一死後芳賀直一の当りは三塁線にコロコロと転がるゴロ、水原茂はファウルラインの外に出たと見てグラブをとり左手でボールを外にはじき出す。しかし主審川久保はフェアグラウンドでの触球と判定、白球がファウルグラウンドを転々とする間に芳賀は二塁へ進む(三塁線のバントなどでファウルラインぎりぎりのゴロの場合、ファウルグラウンドに出た瞬間左手で外側にはじき出すプレーは昔はよく見られた。一旦ファウルゾーンに出たボールが再びフェアゾーンに戻ってしまうことがあるため三塁手としてはセオリー的なプレーである。土のグラウンド時代によく見られたシーンであるが、グラウンドが整備された人工芝時代になってからはあまり見られなくなった。長嶋もよくやっていたプレーである。本件の場合、芳賀の当りは、切れるか切れないかという軟ゴロがファウルライン沿いに転がったもの。こういうケースではグラウンドの状態によってフェアゾーンに戻ってしまうことがあるため水原は外にはじき出したと考えられる。グラブで処理するとフェアと判定されてしまうかもしれないので、ファウルグラウンドで触球したことを審判にアピールする意味もあり、グラブをはずして左手でファウルグラウンド側にはじき出す訳であるが、主審からもよく見える位置でのプレーであり、川久保の誤審は考えにくく、一塁が間に合わないと判断した水原が一か八かの勝負に出たものではないか。このプレーで水原に失策が記録されているが、これはチト厳しい。現代であれば内野安打が記録されるであろう。しかし当時の記録員は、名手水原だからこそ判断ミスに対して厳しい裁定をくだしたのであろう。ただしこの記録員は委託された新聞記者である可能性が高い。明日8日からは甲子園と洲崎でのダブル開催がスタートするため、公式記録員広瀬謙三氏がこの日だけ甲子園に行ってとんぼ返りする、あるいは大阪に長期出張して洲崎の試合を新聞記者に委託することは考えにくいからである。)。桝嘉一、小島茂男が連続四球で一死満塁、岩田次男が三塁線を破り名古屋が2点を先取。

 ジャイアンツは7回、前の回から前川に代わってマウンドに上がったスタルヒンが中前へクリーンヒット。呉波は三塁前に送りバント、サード岩田次男二塁へ送球、しかしスタルヒン懸命のヘッドスライディングで犠打野選となり無死一二塁。次打者は水原、ここでキャッチャー三浦は森井の投球を捕球するやいなや二塁へ牽制、スタルヒン戻れず一死一塁。スタルヒンはまだ若い、しかしその心意気や良し。ジャイアンツも負けじと水原が中前に弾き返し森井をKO。名古屋はリリーフの切り札田中実を投入、田中は筒井に四球を与え一死満塁で二打席目にホームランを打っている中島を迎えるが、落ち着いた投球で5-2-3の併殺に打ち取り役目を果たす。名古屋は8回、牽制死のショックから抜けきらないスタルヒンから先頭の三浦が四球で出塁、志手三振後芳賀の一打はショート白石へのゴロ、お誂え向きのゲッツーコースかと思われたが白石のセカンド送球が逸れて球は外野を転々、ライト中島のカバーも遅れ三浦は三塁へ。茂林寺の千本ノックで鍛えられた白石もまだまだ若い。気を取り直したスタルヒンは当たっている桝を三振に打ち取り二死一三塁、打者は四番の小島次男、ここで一走芳賀がスタート、キャッチャー内堀の送球と同時にの三走三浦は本塁へ突進、ダブルスチールが見事に決まり6-4。田中実は8回9回を三者凡退に抑え見事にセーブをあげる。名古屋の好走塁、好守備が目立った勝利。一方ジャイアンツはスタルヒンと白石の若さが出て痛い敗戦。両名ともこの敗戦を糧として一層の精進に励め。 ジャイアンツは2回、伊藤健太郎四球、白石二ゴロで伊藤二封、永澤富士雄遊失で一二塁のチャンスに内堀保右翼線タイムリーで一点を返し永澤は三塁へ、前川八郎の三ゴロの間に永澤還り同点。名古屋は3回、先頭の桝が左中間をラインドライブで破り二塁打、小島三振後岩田の打球はフラフラと二塁後方へ、セカンド筒井修が飛び込み超ファインプレー、しかしこの隙に桝はハーフウェイから戻るやタッチアップから三塁へ、白木一二の遊ゴロを白石敏男がはじく間に桝が還り3-2。桝の好走塁が生きる。しかしその裏ジャイアンツは、好守備に気を良くした筒井が三塁線を破り出塁、ここで主砲中島治康が左翼越えの大ホームランで4-3と逆転。粘る名古屋は4回、先頭の森井茂が三塁内野安打、一死後志手清彦が三遊間を破り森井は果敢に三塁を奪う。このチャンスに桝が一二塁間を破り4-4の同点。更に6回、またも森井が左前にクリーンヒット、三浦敬一が送って一死二塁、ここで志手に代わり代打の切り札大沢清が一塁線を破る二塁打を放ち5-4と勝ち越し。

12年春 大東京vsタイガース 1回戦

4月7日(水)甲子園 スペルチェック

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1  大東京    1勝4敗 0.200 近藤久
0 0 0 2 0 1 0 2 X 5  タイガース 4勝1敗 0.800 景浦将


勝利投手 景浦将 2勝1敗
敗戦投手 近藤久 0勝2敗

三塁打 (タ)松木、伊賀上

景浦の剛球冴える

 今節より甲子園と洲崎において東西での開催がスタート。
 タイガースは4回、山口政信が四球で出塁、景浦将遊ゴロの間に山口二進、伊賀上が一二塁間を破り先制、ライト水谷則一後逸で伊賀上は三塁へ、門前真佐人四球で一死一三塁、ここで門前が二盗を試みる、キャッチャー藤浪光雄はセカンドに送球しショート筒井隆雄が門前にタッチしてアウト、しかしこの間に伊賀上がホームを突き2点目、重盗ならずで伊賀上には本盗は記録されない。岡田宗芳遊失後二盗を試みるも又も藤浪の強肩に刺される。タイガースは6回、先頭の松木謙治郎が右前打、山口の二ゴロで松木二封、景浦四球で一死一二塁、伊賀上二ゴロ景浦二封で二死一三塁、門前の打席で三走山口が敢然と本盗を敢行、これが見事に決まり3-0。更に8回、松木右中間三塁打、山口四球後二盗、景浦三遊間を破り4点目、伊賀上四球後門前の中前タイムリーで5-0。大東京は景浦のナチュナルシュートに手も足も出ず8回まで無得点。最終回、先頭の坪内道則が球威の衰えない景浦の剛球に詰まりながら中前ポテンヒットで出塁、立教時代何かと世話になった坪内には内角を突き切れないか。続く漆原進の一打は景浦の唸りをあげるナチュラルシュートに三前ボテボテ打、これが幸運な内野安打となり無死一二塁、筒井四球で無死満塁。しかし代打大友一明は三振、近藤久の遊ゴロは6回から岡田に代わりショートに入った皆川定之から奈良友夫に渡り二死、更に松木に転送されるが近藤懸命に一塁を駆け抜けセーフ、ゲッツーならずの間に三走坪内が還り零封を免れるも景浦は完投で2勝目。強打ばかりが喧伝されるタイガースだが、この日は山口、伊賀上の好走塁が勝因。

三冠への道 ①

 突然ですが大リーグが開幕しました。当ブログでは、「セントルイス・カージナルスのアルバート・プホルスが三冠を達成する。」と予言するとともに、今シーズンの足跡を辿っていくこととします。 因みに私はプホルスの三冠達成を2005年以来6年連続予言しており、これまでのところ的中実績は0回ですが、昨年のスイングを見る限りいよいよ円熟期に入ってきたと見ており、今年こそ予言的中を確信しております。
 4月5日、レッズ戦、5打数4安打3打点2本塁打と、申し分のないスタートを切りました。1本目はバックスクリーン左へ130メートルの特大弾。2本目は右中間と相変わらずの広角ぶりです(画像はMLBホームページで無料で見ることができます。)。

2010年4月6日火曜日

12年春 第2節 週間MVP

週間MVP

名古屋 白木一二 1
 今節9打数6安打5打点と名古屋2連勝に貢献度No1。

セネタース 野口明 1
 延長12回を6安打6四球4三振1失点の完投勝利。西村幸生及び中山正嘉が完封勝利を飾っているが、価値はこちらが上と見て贈呈。

殊勲賞

セネタース 尾茂田叶 1
 微妙な当りではあったが延長12回サヨナラ安打。

金鯱  中山正嘉 1
 3月28日、代打としてはデビュー済みではあるが投手としての初登板初先発を完封勝利で飾る。3月26日付の新聞で複数球団の新人が10名ほど紹介されているが、写真入りで紹介されているのは中山だけ。この中山という男、何かをやってくれそうな雰囲気を持っている。

敢闘賞

名古屋 田中実 1
 2試合連続リリーフで2連勝。

技能賞

タイガース 岡田宗芳 1
 今節無安打ながら、対セネタース2回戦で見せた二塁ランナーをホームに還すために自らは犠牲になるという好走塁を評価。

名古屋 岡本利三 1
 今節6打数3安打4盗塁。対イーグルス1回戦では5打席連続出塁、2回戦では同点に追い付く本盗を含む3盗塁。


2010年4月5日月曜日

12年春 大東京vs金鯱 2回戦

4月5日(月)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0  大東京 1勝3敗 0.250  遠藤忠二郎-大友一明-桜井七之助
0 1 0 0 2 2 1 1 X 7  金鯱   1勝3敗 0.250  中山正嘉

勝利投手 中山正嘉   1勝0敗
敗戦投手 遠藤忠二郎 1勝1敗

二塁打 (金)小林2
三塁打 (大)中村 (金)平川、中山

中山正嘉デビューを完封で飾る
 金鯱は2回、左中間二塁打の小林利蔵を先発投手中山正嘉の右前打で還し先制。更に5回、星野正男の当たりは遠藤忠二郎を強襲し出塁、江口行男が中前にライナーで弾き返し、トップに返り島秀之助四球で無死満塁、しかし濃人渉の三ゴロは5-2-3と渡りゲッツー、しかしここで黒澤俊夫が中前に運び2点タイムリー。6回も平川喜代美の中越三塁打と中山の右中間連続三塁打で4-0、江口の三ゴロが一塁悪送球となり中山還り5-0。7回は黒澤投手強襲安打、小林の中越タイムリー2塁打、8回は星野が右前打後すかさず二盗、瀬井清の中前タイムリーで7-0と快勝。投打に大活躍の中山正嘉は職業野球入り初登板初勝利初完封を3安打7三振で飾り、2年前の松山商業時代、全国中等学校優勝野球大会において優勝投手となった力を遺憾なく発揮する。

2010年4月4日日曜日

12年春 ジャイアンツv阪急 2回戦

4月5日(月)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 1 0 0 0 2  ジャイアンツ 3勝1敗  0.750  スタルヒン-前川八郎
1 0 2 0 0 0 0 1 X 4  阪急      3勝1敗  0.750  石田光彦

勝利投手 石田光彦  2勝0敗

敗戦投手 スタルヒン 0勝1敗

二塁打 (ジ)水原 (阪)山下好、山下実
三塁打 (阪)山下実 

阪急、打線がつながり快勝 
 ジャイアンツは初回、水原茂が右中間三塁打、中島治康が左前にライナーで運び先制。その裏阪急は、西村正夫が左翼線に痛打、山田伝の遊ゴロで二進、山下好一の一塁線二塁打で同点。更に3回、西村四球後山田投前送りバント、ここで山下実が右中間三塁打で2-1、上田藤夫が一塁線を破り3-1。ジャイアンツは6回、中島三遊間、伊藤健太郎三塁線を破り一二塁、ここでショート上田藤夫がスルスルと二塁に入り石田が振り向きざま牽制、中島戻れず一死一塁。永澤富士雄が一二塁間を破り一三塁、内堀保が右前に痛打し1点差に追い上げる。しかし阪急は8回、右翼線二塁打の山下実を黒田健吾が左前タイムリーで還し4-2と突き放す。
 この日の阪急打線は上田、黒田がタイムリーを放ち上位打線からのつながりを見せジャイアンツに快勝。一方ジャイアンツは11残塁の拙攻で今季初黒星。十字架投法石田光彦は12安打を許すも要所を締めて完投で2勝目。トップの西村正夫は4打席3打数3安打1四球2得点の活躍。両チーム無失策と守備面は引き締まった試合であった。
 ここまで4試合で山下実は14打数8安打6得点4打点、本塁打1三塁打1二塁打3、山下好一は16打数8安打6得点4打点、二塁打2と絶好調。三、四番が共に6得点で数字だけ見ると下位打線までつながっているかに見えるが、実の4得点と好一の6得点は大東京との2連戦(14点、17点と大量得点)のものでジャイアンツとの2連戦では好一の得点は0であり鵜呑みにはできない。優勝候補のジャイアンツとタイガースは共に上位から下位まで切れ目のない打線、2強の対抗馬と目される阪急は打線のつながりが鍵となると考えられる。
 クリーンナップは打点を重視すべきで得点を論じるのは無意味ではと訝る向きもあるかと思いますので、イチローとプホルスの例で検証してみましょう。共にメジャーデビューは2001年で実働9年。イチローはほぼ全試合トップを打ち言わずもがなの9年連続200安打で通算2,030安打で973得点。一方主に三番を打つセントルイス・カージナルスのアルバート・プホルスは9年連続3割30本塁打100打点ばかりが喧伝されていますが、私が評価しているのは僅か(もちろんイチローの安打数と比較してですが)1,717安打で1,071の得点をあげている点です。いかにシアトル・マリナーズの打線につながりがなく、毎年のようにプホルスの後ろを打つ四番、五番が目まぐるしく入れ替わっているにもかかわらず(今後は長期契約に成功したので当分の間四番はマット・ホリデーで固定できると思いますが)いかにセントルイス・カージナルスの打線がつながっているかを如実に表しています。因みにイチローはアメリカン・リーグで得点王になったことがありませんが、プホルスはナショナル・リーグで4回得点王に輝いています(得点王は正式なタイトルではありませんが、アルバート・プホルスがカール・ヤストレムスキー以来の三冠王となる際は(間違いなく獲るでしょう)得点王と併せて四冠を獲ってもらいたいと願っております。)。シアトル・マリナーズは2001年こそアメリカン・リーグ西地区を制しましたがその後は下位を低迷(と言うより最下位争いの常連)していますが、セントルイス・カージナルスは2006年のワールドシリーズ制覇を含め常にナショナル・リーグ中地区で優勝あるいは優勝争いを続けています。

2010年4月3日土曜日

12年春 阪急vsジャイアンツ 1回戦

4月3日(土)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 1 0 0 0 0 0 0 2  阪急       2勝1敗 0.667 北井正雄-笠松実
0 1 0 3 0 0 0 0 X 4  ジャイアンツ  3勝0敗 1.000  澤村栄治


勝利投手 澤村栄治 2勝0敗
敗戦投手 北井正雄 0勝1敗

二塁打 (阪)山下実
三塁打 (ジ)白石

澤村栄治尻上がりに好投
 阪急は初回、西村正夫三振後、山田伝の右翼飛球を中島治康が落球し山田は二進、ここで山下実は右中間を破る二塁打を放ち澤村栄治から1点を先取。気を引き締め直した澤村は続く山下好一、上田藤夫を連続三振に斬って取る。ジャイアンツは2回、中島遊失、伊藤健太郎三遊間安打で一二塁、白石敏男の投ゴロを北井が三封を狙ってサードへ投じるも黒田健吾がはじく間に中島還って同点。阪急は3回、四球で出塁した西村が二盗、三盗を決め山下好一の一二塁間タイムリーで再び1点をリード。ジャイアンツは4回、伊藤四球で出塁後、白石が右中間を深々と破り三塁打で同点。更に永澤富士雄が三遊間を破り逆転、内堀保が一二塁間安打で続き澤村の右前打で4-2とリードを広げる。呉波も一二塁間を破り北井はここで降板、リリーフの好調笠松実はその後を無失点に抑える。自らのタイムリーで気を良くした澤村は、4回以降を山下好一の安打1本に抑え、結局3安打7三振完投で開幕2連勝を飾る。それにしてもマウンドで咳き込む北井正雄の体調が気になる。
 阪急は、西村、山田、両山下と一~四番の好調が目立つが、この日は五番以降が無安打、どうも波が大きそうな気配。ジャイアンツ、タイガースの打線は上下位とも切れ目がなく、優勝候補2球団の対抗馬と目されてはいるがちょっと苦しいか。

12年春 金鯱vs大東京 1回戦

4月3日(土)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 3 0 1 0 0 1 0 0 5  金鯱   0勝3敗 0.000 古谷倉之助
0 0 2 0 0 5 0 0 X 7  大東京 1勝2敗 0.333 遠藤忠二郎


勝利投手 遠藤忠二郎 1勝0敗
敗戦投手 古谷倉之助 0勝2敗

二塁打 (大)水谷
三塁打 (大)中村

大東京鮮やかな逆転で今季初勝利
 金鯱は2回、一死後二失に生きた星野正男が捕手牽制暴投で三進、濃人の三ゴロをサード漆原がお手玉して一死一三塁、ここでダブルスチール決めて1点先制。江口行男三遊間、黒澤俊夫二遊間と連続タイムリーで3点を先取。追う大東京は3回、筒井隆雄が四球で出塁、遠藤忠二郎の三ゴロで筒井二封、ランナーが入れ替わる。鬼頭数雄遊飛後、大友一明が三遊間を破り更に二盗で二死二三塁、このチャンスに水谷則一左中間に二塁打を放ち2点を返し3-2。金鯱は4回、島秀之助が四球で出塁後二盗、三盗を決め黒澤の一二塁間タイムリーで還り4-2と主導権を握る。
 大東京は6回、大友中前打、水谷二塁内野安打でチャンス作る。坪内道則の投ゴロで大友三封後中村三郎が一二塁間を破り水谷が還って1点差、坪内は三塁へ、中村二盗を決めて一死二三塁。二番手捕手藤浪光雄の三ゴロをサード星野がはじく間に坪内が還り同点、中村は動けず一死一二塁。ここで中村、藤浪がスタートを切ると漆原進が三塁前にバントエンドラン、サード星野からファースト小島に送球される間に中村が判断良くホームを陥れ5-4と逆転。漆原のバントは安打となり藤浪三進して尚も一死一三塁と攻撃の手を緩めず。更に筒井が三遊間を破り6-4、古谷倉之助は遠藤を歩かせ一死満塁。サード星野は古谷を激励にマウンドへ向かう。ここでボールは巧みに星野のグローブへ、何食わぬ顔でサードへ戻る星野の動きを横目で見ながら古谷もプレートには足をかけずにショックの様子を覗わせる。三走漆原が離塁したところで星野がタッチ、隠し球が完成し二死二三塁、しかし鬼頭が卑怯なりとばかりに中前に痛打を浴びせタイムリーと見事な波状攻撃で7-4。金鯱も7回、佐々木常助、星野、濃人渉の三連続中前打で1点を返すが、遠藤忠二郎が後続を断ち完投勝利。大東京は6失策2捕逸も13安打とらしさを見せて快勝。

2010年4月2日金曜日

12年春 イーグルスvs名古屋 2回戦

4月2日(金)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 3 2 0 1 0 0 0 6  イーグルス  0勝4敗  0.000  畑福俊英
3 0 2 0 0 2 0 0 X 7  名古屋    2勝2敗  0.500  森井茂-田中実


勝利投手 田中実  2勝1敗
敗戦投手 畑福俊  0勝2敗

二塁打 (イ)中根、畑福 (名)小島、白木

二転三転の好試合
 名古屋は1回裏、トップの志手清彦が四球、芳賀直一の三ゴロで二進、筒井良武の捕逸の間に三進、岩田次男三遊間を破り先制。小島茂男も三遊間を破り畑福の暴投で二、三塁から白木一二の三塁線内野安打の間に二者が還り3点を先取。イーグルスは3回、中根之が一塁線を破る二塁打、ライト志手の送球が逸れる間に三進、杉田屋守の遊ゴロの間に還り1点を返す。サム高橋吉雄の遊ゴロを芳賀が大暴投し高橋は一挙三塁へ。寺内一隆四球後盗塁で二、三塁。太田健一は三振に倒れるも畑福俊英が左中間を破り3-3と同点に追い付く。名古屋はその裏、芳賀が大暴投の汚名挽回とばかり中前ポテンヒットで出塁、岩田の三ゴロはサード山本博愛からセカンド野村実に転送されるも併殺を焦った野村が落球、ここまでセカンド高橋、サード野村、ショート山本の布陣を敷いていたが本日守備位置を入れ替えたことが裏目に出る。小島が右翼線に二塁打を放ち再び1点をリード、白木が中前に痛烈に弾き返し5-3とリードを奪う。粘るイーグルスは4回、野村三失後中根が一二塁間を破り一、三塁。中根盗塁後、杉田屋が三塁線を破り二者が還って5-5と再び同点に追い付く。
 6回、イーグルスは代わった田中実から、四球で出塁の野村を中根が送り、またも杉田屋が三遊間を破り6-5と逆転。しかし名古屋はその裏、先頭の岡本利三がサード前に鮮やかにセーフティバントを決めすかさず二盗、田中中飛、三浦敏一四球、志手遊ゴロ三浦二封で二死一三塁、ここで志手がスタート、キャッチャー筒井二塁に送球、三走岡本ホームに向けてスタート、筒井の送球がセカンド悪送球となり岡本ホームインし志手は三塁へ、岡本に本盗が記録され6-6と三たび同点。更にキャッチャー筒井が再び三塁牽制悪送球を犯し志手が還り7-6と逆転。この1点を田中が守り切り二転三転の接戦を制す。白木は4打数4安打3打点の活躍。岡本は同点に追いつく本盗を含む3盗塁。イーグルスは開幕4連敗を喫すが杉田屋が4打点の活躍。

12年春 セネタースvsタイガース 2回戦

4月2日(金)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0  セネタース  3勝1敗  0.750  浅岡三郎
3 3 0 0 0 0 0 0 X 6  タイガース  3勝1敗  0.750  西村幸生


勝利投手 西村幸生 2勝0敗
敗戦投手 浅岡三郎 1勝1敗


西村幸生4安打完封
 タイガースは初回、小島利男、景浦将連続四球後、伊賀上良平が右中間二塁打で1点を先制。岡田宗芳四球で満塁となり門前真佐人は中前タイムリー。三走景浦に続き二走伊賀上も本塁へ、これを見た一走岡田は二塁を蹴って三塁へ向かう。センター尾茂田叶からのバックホームをカットした浅岡三郎はホームをあきらめサード横沢へ送球し岡田を刺す。伊賀上の本塁突入を助ける岡田の好判断が光り3点を先取。タイガースは2回、九番松木謙治郎右前打、藤井勇四球後、小島が右中間に三塁打を放ち2点を追加、景浦の三ゴロの間に小島が還り6-0。西村幸生は序盤のリードに守られ4安打9三振の完封勝利。デビュー戦は3回のみでの勝利で不完全燃焼の感があったがこの日は堂々のピッチング、タイガースに大エース誕生の予感を抱かせる投球であった。
 なお、西村幸生の投球は週間MVPに値するものであったが、野口明の延長12回完投勝利に譲ることとなった。タイガースの勝利は総合力によるものという印象が強く、どうしても西村の印象度が薄れてしまう。これが西村が12年秋、13年春とシーズンMVPを逃す要因ともなっているが、早くもこの週にその予兆が見られており興味深い。

2010年4月1日木曜日

12年春 タイガースvsセネタース 1回戦

4月1日(木)上井草

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
1 0 0 0 0 0 0 0 0  0 0 0  1 
タイガース 2勝1敗 0.667 御園生崇男-景浦将-若林忠志 

0 0 0 0 0 0 0 0 1  0 0 1X 2 セネタース 3勝0敗 1.000 野口明


勝利投手 野口明 2勝0敗
敗戦投手 景浦将 1勝1敗

二塁打 (タ)伊賀上 (セ)北浦
三塁打 (タ)松木

サイレンは二度
鳴る

 タイガースは初回、二番山口政信が四球で出塁し二盗を決める。続く小島利男が右前タイムリーし1点を先制。御園生崇男はスミ1を守り抜き8回までセネタース打線を3安打無四球無得点に抑え込む。一方野口明も2回以降立ち直り9回までタイガース強力打線を5安打に抑える。9回裏セネタースの攻撃は打順良くトップの中村信一から。中村左飛後、完封を意識した御園生から苅田久徳が四球を選び出塁。尾茂田叶が右翼線安打で続き一死一、三塁。ここでタイガースベンチは御園生をあきらめ、右翼景浦将をマウンドへ送る。御園生はセンターに入りセンター山口はライトへ。尾茂田が盗塁で二、三塁とした後、7回から四番中村民雄に代わりマスクを被る北浦三男が右翼へ飛球を放つ、これが前進守備の山口の頭上を越えて三走苅田は勇躍同点のホームを踏むが、尾茂田は自重して三塁に止まる。北浦は二塁に進み記録は二塁打。しかし続く一死二、三塁のチャンスに綿貫惣司は景浦の剛球に詰まり一邪飛、大貫賢三振で延長へ。

 10回は両軍三者凡退。11回、タイガースは景浦が三前内野安打で出塁するが後続なし。11回裏、セネタースは苅田が左前打で出塁、尾茂田三遊間を破り苅田は一挙三塁へ。中村民は四球で一死満塁とサヨナラの大チャンス。続く綿貫の打球はまたも景浦の剛球に押されてボテボテの当りとなり一二塁間へ。苅田猛然とホームに突っ込む、松木謙次郎捕ってバックホームするが左投げの松木にとっては逆モーションとなり送球はシュート回転して一塁方向に逸れる。キャッチャー門前真佐人は左足をホームにつけ懸命に右サイドに体を伸ばす、苅田フックスライディング、松木の送球が間一髪早く、門前の足がホームから離れていないことは主審池田が確認しておりアウト。このシーンは翌日の読売新聞に写真付きで紹介された(河野安通志が丹念に作成していたスクラップブックを河野の死後鈴木竜二(元セリーグ会長)が買い取り、鈴木より野球体育博物館に寄贈されており、現在、野球体育博物館の図書館でそのコピーが閲覧できます。)。二死満塁から大貫中飛に倒れセネタースは絶好のチャンスを逃す。

 12回表、タイガースは三者凡退、野口明は2回から11イニング連続無得点に抑える。セネタースは12回裏、一死後横沢七郎の遊ゴロを名手岡田宗芳が一塁に悪送球。野口明四球、中村信左前打で一死満塁。タイガースは景浦をライトに戻し山口がレフトへ、レフト藤井がファーストに入りファースト松木に代わり若林がリリーフで登場。期待の苅田は二飛に倒れ二死満塁、尾茂田

 セネタースの勝因は12回を投げ抜き6安打6四球4三振の完投で開幕2連勝を飾った野口明の奮闘に尽きるが、見逃してはならないのがその野口明を含む守備陣の活躍、2回は一死一塁で岡田のピッチャーライナーを野口明が好捕し一塁へ転送、5回は一死満塁から小島の投ゴロを1-2-3、8回は一死一塁からまたも小島のニゴロを4-6-3と三つのダブルプレーを完成して延長12回のサヨナラ勝ちを呼び込む。
の当りはライトに戻った景浦の頭上へ、景浦バックして柵寸前で捕球。かに見えたがボールはグラブからこぼれ落ちる。横沢七が生還してサヨナラで終止符が打たれ、サイレンが鳴り響く。ところがタイガースベンチは景浦の捕球を主張して猛然と抗議、15分間の協議の末タイガースベンチの主張は退けられ、正式にセネタースのサヨナラ勝ちが認定されて試合終了を告げるサイレンが再び鳴り響く。